1993年のEU発足以降、EU経済をリードするグローバルなビジネスフレームを備えた若手ビジネスマンの育成を目的として、新たなビジネススクールが誕生してきました。これらは欧州経済全体の合意として設立されていったのですが、欧州MBAのキャリア形成を取りまく最新事情を知ることが、今回の訪問の大きな目的でもありました。
結論から述べれば、プロフェショナルスクールとしてのビジネススクールは、その目的を十分果たしているように思います。各マスコミが発表する評価ランキングに、欧州系スクールが続々とランキング入りを果たしていることからも、それが伺えます。

また、CambridgeやHEC、ESADE、IESEなど、ビジネススクールとして新しい方針を打ち出している各校において、以下のような3つの点が際立っていました。ひとつは、世界数十ヵ国からグローバルに学生が集まっていること。2つめは、勉学する環境(校舎・インタビュールーム・チームスタディールーム・多目的ホール・ITインフラ等々の設備)に投資がされ、すべて新しく整備されているという点。学内の施設は昔ながらの黴臭い図書館風の雰囲気ではなく、建築物としてのデザイン面でも、新しい何かを生み出そうというメッセージに溢れていました。
3つめは、各大学ともまだ若い(歴史の浅い)プログラムであるために、かえって市場のニーズに合わせてプログラムのあり方を模索し、かつ差別化要因を生み出そうと常に改善されていたことです。世界のどこから学生が入学し、世界のどこにMBAの需要があるのか? それを模索しながらプログラムが開発されているようでした。このような取り組み方は、アメリカのビジネススクールのように、学生数が数百名単位になってしまうと難しいことなのかもしれません。振り返って日本のビジネススクールを思うと、まだまだ遅れていると言わざるをえません。

グローバルな目線で、いかに自校の卒業生を送り出していこうか…学校として良い意味での競争をしている雰囲気がひしひしと伝わってきました。残念ながら私はキャリアの観点でしか各学校を見ることができませんし、クラスの質や学際的な取り組み、学生のレベル等々については論じる立場にありませんが、訪問した先の学校は教授陣も意欲的に揃えていたと思います。このような大学側の積極的な経営方針が、世界市場を狙うリーディングカンパニーをビジネススクールに呼び込む源泉となり、その結果、欧州でMBAの需要と供給が急激に活発化しているのでしょう。
インドや中国に進出したいという欧州企業が増え、そのような地域からの学生もチャンスを掴むために欧州のビジネススクールに通っています。アジアからの留学生を国別学内比率で見れば、まだ欧州では日本人学生の方が多いものの、既にアメリカではアジア留学生に占める日本人比率が低くなりつつあります。今後、欧州のビジネススクールはどこも定員増を計画しており、増員後は欧州でも日本人比率が減少すると予想されます。
以下に、今回訪れた各学校の印象を述べていきたいと思います。実際には、訪問校以外のビジネススクールや大学院に通う学生とも多数面談をすることができましたが、ここではビジネススクールのキャリアマネジメントオフィスを訪問できた学校のみを取り上げることにします。