私は慶応大学の法学部で、体育会系のラグビー部に所属していました。その頃は、もうラグビーに夢中でラグビーが勉強のような状態でした。就職にあたっては、1985年当時の日本経済繁栄の原動力は製造業であり、私自身、日本の製造業に大変興味があったということと、海外への強い興味があったことから、ご縁のあった旭硝子に入社しました。より海外に行くチャンスが大きそうな(海外拠点が多く、事務系の人材が少なそうな)メーカーを希望したという程度の理由でしたが、自分のキャリアにとってとても良かったことだと思っています。
最初の2年間、千葉県の工場で日本のモノづくりの現場を学び、その後、入社4年目に、アジアの事業開発拠点の化学品の責任者としてシンガポールに赴任しました。東南アジアにあった化学工場や繊維工場に化学品の原材料や繊維づくりの洗浄剤を売ることが仕事でした。ジョイントベンチャー(JV)設立やM&Aも経験しましたが、そんなにかっこいいことができたわけではなく、一番よい学びとなったのは、優秀な上司複数名と四六時中一緒に生で仕事ができたことでした。また、20名程度の組織ではありましたが、事業・組織をリード、マネージするという経営に近い経験ができたことが、マネジメントや経営ということを意識し始めるきっかけとなりました。
そんな経験を通じ、「自分はビジネスとしての基礎能力が低く、徹底的に勉強しなくてはダメだ。」と感じていたある時、社内回覧板で見た海外留学の募集の案内で、初めてMBAの存在を知り、「なんだ、これは!」と胸が高鳴りました。「2年間で徹底的に経営学を勉強できる!」というMBAの回覧は、目からうろこ。
すぐに志願したところ会社のOKを得ることができ、平日夜と週末は図書館で猛勉強した結果、複数のビジネススクールに合格。ケースウェスタン(オハイオ)とサンダーバード(アリゾナ)の提携Dual Degreeプログラムにチャレンジすることにしました。
それまでアカデミックの面でコンプレックスがありましたが、2年間MBAで必死に学び、結果も出せたことで、そんなコンプレックスはスッと取れていきました。
ビジネススクールに行って良かったことを2つ挙げると:
- 極めて基本的なことと思えることでも、単純に一生懸命やり、体得して、完全ではないにしても、体系的に理解できるようになったこと。
- 自分自身の中でコンプレックスが消え、自分なりの小さい自信がついたこと。
そして、今、いろいろな商売を経験している中で思うことは、「商売をするというのは本当に難しく大変なことで、MBAで学んだことが直に企業再生や、設立まもない会社をインキュベーションしていくことに活かされているわけではない」ということ。MBAは基礎体力をつけるものであり、「実際に経営の現場で戦えるか」というのは別のものだと感じます。