転職ツール外資系/面接攻略のコツ

外資の常識、ご存知ですか?

外資系企業には、日系企業とは異なる独特のカルチャーや価値観が存在します。知っている人といない人とでは、面接の場などで思いがけず差がついてしまうことがあるのです。外資系への転職を考えている方へ。いまいちど「外資の常識」を認識して、面接をみごと突破してください。

画一的な会話ではなく、臨機応変な受け答えを

面接のため本社(本国)から役員が派遣され、滞在先のホテルへ候補者が呼ばれた際の実話。朝のジョギングから戻ってきたばかりの、ランニング姿の役員を前にインタビューが開始。合格者の勝因は「どのあたりを走ったのですか、皇居あたりを走るといいですよ」というスタートの会話。ほかの候補者は「はじめまして」から型どおりに始め、型どおりに終わっていたのです。いきなり自分らしさを出す、表現することに慣れていない日本人…マニュアルどおりの「はじめまして」からしか話せない英語教育の反省にもなる例です。

MBAは、求められる英語力のハードルが高くなる

海外MBAホルダーの多くが、じつは語学力の足りなさが原因で不合格になります。MBAであるがゆえに相手の期待値も高くなってしまうからです。「有名校を卒業してもあの程度なのか」「自分もMBAを持っているが、思い出せば日本人のコミュニケーションは本当に駄目だったなあ」「留学中サボっていたの?」など、辛口の感想を持たれてしまいがちです。本当に優秀なインタビュアーであれば、語学力以外の能力も含めてきちんと判断してくれるのですが。また、日本に着任したばかりの外国人、日本語に慣れない外国人がインタビュアーになった場合には、さらに要求度が高くなる傾向にあります。

自己主張とは、自己中心的主張にあらず

外資系企業では、年収について初回面談からクールに主張していいと信じている人がいます。しかし、最初から希望年収を提示することは非常に危険です。多数のスカウトやオファーがあると伝えることは、採用側の判断にプラスになる場合がありますが、単なる希望は禁物です。

  1. 数字が先方の予算枠からはずれているとき
  2. 人材市場一般では、ありえない数字であるとき

相手から見れば、プロフェッショナルとしての相場観のない人物と映ります。自分の価値を正しくアピールするには、自分と同様の価値を持った人材について、同業・同職種・同職位でのプライスを例に出したり、自分に提示された現実的な数字を述べることが重要です。数字は基本、採用側に提示してもらいましょう。

業界内ネットワークのアピールも程々に

シニアスタッフからマネージャーレベルの候補者の場合に起こりがちですが、やたらに業界の知人の名前を挙げる方がいます。自分の売り込みが不足しているのに、知り合いの話で盛り上がり、終わってしまうのでは意味がありません。自分のことを知ってもらうのが面接の第一の目的であると肝に銘じましょう。

ファンはご遠慮ください

意外に知られていないことですが、ビッグネーム企業の面接では、どうしても候補者がその企業のファンであることを強調してしまいがちです。製品やサービスの特性を良く知っているということは、ある程度はプラスになります。しかし、あくまで製品やサービスの供給側になるためのコンピテンスを売り込まなくてはならないので、過度にファンであることを強調しないようにしましょう。企業が求めているのは、ファンではなく一緒に働ける仲間なのです。

外資系の面接官は、HR(ヒューマンリソース)のプロ

日系大企業の面接では、強面の人事担当者がお説教モードでインタビューをする、なんてシチュエーションをよく耳にします。一方、外資系企業の担当者は、とても洗練された印象の人が多いようです。外資系企業では、候補者を厳しくインタビューすることはあまりありません。ある意味、候補者への公平性を重視しているので、遠慮せず「別に候補者がいるのか?」「つぎのプロセスへの可能性はどの程度あるのか?」などと尋ねることもできます。しかし、相手はプロ。リップサービスが行き届いているので、話が盛り上がったように感じても安心しないこと。一見優しく見える外資系の担当者に、高い希望年収を交渉して失敗する候補者も多いのです。

「英語ができる」こと、「英語でできる」こと

あるアメリカの短大を卒業した女性のケースです。

多くの留学経験者は一様に、英語力をすぐに使える外資系や日系大企業の正社員を目指します。しかし現実は、なかなか仕事にありつけなかったり、入社しても希望の職種に就けず実りのない転職を繰り返すことが多いようです。ところがこの女性は、留学先から帰国してまず、従業員10名弱の日系企業で一般事務からキャリアをスタートさせました。今でいうベンチャー企業です。

事務として経理や総務の仕事を2年経験し、さらに深く経理の仕事をするために別の中堅企業へ転職。徹底的に経理、会計、総務、社会保険、銀行取引、社外専門家である弁護士や会計士との相談、請求管理、社内管理システム、ITなどの業務をこなし、24歳でいよいよ外資系企業へ転職しました。そこでやっと自分の専門性と、留学で培った英語力を同時に発揮させはじめたのです。

その後25歳でUSCPA(米国公認会計士)を取得。28歳でマネージャーに。さらに外資系大企業へ転職し、35歳でディレクター(コントローラー)として1400万円の年収を得るようになりました。一時、四年制大学への進学やMBA留学も考えたようですが、実践と実績に勝るものはありません。彼女のように、最初から自分の力をストレッチするためにキャリアプランを設計し、英語で何ができるかという目標を定めてキャリアを積むようにしたいものです。外資系企業では、「英語ができる」ことではなく、「英語でできる」ことは何か? が問われるからです。

あなたの英語力は大丈夫ですか?