MBAのためのキャリア支援キャリアデザイン講座

アクシアムでは、これまで28年間にわたり約8,000人(海外MBA約6,200人、国内MBA約1,800人/2020年12月)のMBA人材を対象に、キャリアコンサルティングを提供しています。その中から数多くの方が、各方面のプロフェッショナル、マネジメントリーダー、そして経営者となっていきました。そのような方々へのキャリア開発支援、キャリア紹介を通じて得られたエッセンスを、MBAキャリアデザインの基礎知識としてお伝えいたします。

この内容は、現在海外MBA留学中の方を対象にしたものになっていますが、将来MBA取得を考えている方や、既に国内外のビジネススクールを卒業したMBA保有者の皆さんにも参考にしていただけます。

MBA留学という投資が、卒業時の就職や転職のためだけではなく、世界の激変に流されない〈Sustainable Career Development〉すなわち人生の長きに渡り持続可能なキャリア開発となるよう、戦略やデザインを一緒に考え、ご提案させていただきます。

With/after COVID-19、SDGs時代を乗り越えるために、個々人のキャリアにおいてもっとも大切なことは、戦略やデザインを持つことはもちろん、加えてMBA留学前・留学後・PostMBAを通じて、ご自身の人生の意味=Aspirationに気づき、その答えや解決策を生み出せる人となることです。これは今後の社会のリーダーにとって重要な資質の一つです。また、それぞれの人生においてオーナーシップをもって「危機を乗り越えられるキャリア」を歩むことにつながると考えます。

最新求人市場動向

日本の産業社会における組織の課題はいくつかありますが、成長戦略を実現するために必要なものは、以前から指摘されている点から変わりありません。

  1. マネジメントリーダーの不足
  2. グローバル人材の不足
  3. 若手人材育成の重要性の拡大

上記の3点です。グローバルに活躍できる若手MBAの必要性や重要性が高まっているにもかかわらず、企業派遣生も私費留学生も減少傾向にあるのが現状です。

MBA留学を短期的な求人市場ニーズだけでとらえず、長期のキャリアプランを考えることがより重要になってきました。長期のプランを考えるためにも、今のニーズ・現実的な機会がどのようなものなのかをしっかり理解しておく必要があります。以下より2020年から2021年卒のMBAの方を対象とした最新の市場動向をお伝えしますが、卒業時の就職活動のためだけではなく、人生をthriveさせたい人、人生でoverachieveしたい人に、このコンテンツが参考なれば幸いです。

求人市場の変化

2020年卒までの就職状況をレビューし、いくつかの重要な変化のポイントをお伝えします。単なるMBA卒業時の就職、各業界の求人動向を知るだけではなく、「MBA卒業後の中長期的キャリア」をキャリア形成、キャリアのデザインという視点でしっかりと考えることが重要です。そのために、MBA卒業時とポストMBAの求人市場を包括的に、かつ市場の変化と合わせてお伝えします。

対象別アドバイス

1年生、2年生、企業派遣などの対象別に、皆さんから良く受けるご質問を踏まえつつアドバイスします。

求人市場の変化

ここ数年、MBA求人は空前の売手市場が続いていました。2020年卒のMBA諸氏は、今年に入りCOVID19の感染拡大を受けて、多くの学校で最後の学期がオンラインのクラスとなってしまいました。しかしながら、就職活動そのものは昨年からの活動が功を奏し、既に進路を見つけられていた方が大半でした。活動中であった人たちも好調で、複数のオファーを得られています。

COVID-19の正体はまだ解明されておらず、治療法も確立されていません。海外では収束宣言が出始めていますが、日本ではまだ収束までのロードマップがはっきりしないという状況の中、世界経済に深刻な影響を与えることだけは明白となりつつあります。

過去には、売手市場が絶好調から反転し壊滅的な状況になる…そんなことが何度もありました。戦後の日本的経済構造の崩壊、ネットバブル崩壊、アンダーセン破綻、リーマンショックなど、MBAを取り巻く経済環境の大きな変化は数々ありましたが、今回のパンデミックは、それらとは比較にならない変化や大転換の契機となりそうです。

コロナ禍にあっても、海外留学を決意・決行する勇気をもった皆さんを、心から尊敬し応援したいと思います。過去にも、不況の中でMBA留学を決行し大きな成功や幸福を勝ちとった方々が多くいらっしゃいました。個別コンサルティングの場では、それらの事例を紐解き、留学成功の秘訣をお伝えしたいと思います。

失敗から学び、修正し、次の挑戦を見つけられるのが、海外MBA人材の特権・強さなのだと思います。

MBAのキャリア形成で大切なことは、需要の増減に一喜一憂することなく、世界経済の潮流や枠組みの中で、Post MBA市場の動向を大局的にとらえ、同時に己心(こしん)に従ったビジョンを見つけ出し創造していくことです。留学の目的は単なる『就職』や会社を移る『転職』ではなく『キャリア・デベロップメント』。すなわち『展望を備えたキャリアの開発』です。

アクシアムでは創業以来、すでに8,000名を超えるMBAの方々の一人一人の展望について相談を行ってきました。相談者の多くは現在、経営者あるいはプロフェッショナルとしてご活躍されています。これこそが、アクシアムが提唱する『展職』であり、私たちが皆さんにご支援できることです。

では、これから卒業にむけ本格的な活動を始める皆さんに、MBA求人のハイライトをご説明します。

  1. 完全な売り手市場からの反転時期が、遂に到来。多様なキャリアから、さらにその先へ。新しいリーダーシップの時代へ。新世代 経営者の時代へ。求人は、まだら模様。SDGs、ESG投資の時代へ。
  2. 金融業界の求人は、冷静。求人の積極性維持。静かなリストラ、トランスフォーム。VC、PEの積極的なファンドライズ。新興ファンド、サーチファンドのスタート。
  3. コンサルティング業界では、求人増。経営戦略、IT(IoT)、財務、M&A、海外展開支援、イノベーションにかかわる業務の稼働率が高く、大企業のみならず中堅・中小企業へと需要が拡大。VC、PI、JVのなどへの業態変化。新興コンサルティング会社の誕生と淘汰。コンサル業界は必ずしも安全業界ではない。
  4. 日系ベンチャーの動きでは、積極求人の陰に潜む、資金ショート、倒産、淘汰に注意。CVCの大幅縮小とVCの存在意義、PEとVCの協働。IPO、事業会社への譲渡、M&Aと多様化。CFO、COO求人の増加。
  5. 日系大手・中堅では、After Digitalへの遅れ。『45歳/MBA/本部長』募集の意味に注意。設備投資、採用縮小、コロナ対策がキーワード。
  6. 大手外資企業では、戦略コンサル、ヘルスケア等の領域で積極採用。コロナの影響が出ているのは、エネルギー、ラグジュアリーブランド、リテール、シェアリングエコノミー、インバウンド関連など。リーダーシッププログラム、FP&Aニーズは増大だが予断を許さない。
  7. MBA卒業時に、留学先の国で就労先を見つける人が増加していたが、2020年からはコロナ直撃で 激減、難易度が高まる。VISAスポンサーができずオファーが直前で取り消しとなるケースもあるので注意。
  8. 30~50歳までの求人が増大する一方で、50代以上の求人の激減。
    「サービスに関わる産業:財にかかわる産業」の求人対比は「9:1」。
  9. 好事業承継、事業再生、創業家と経営者、ガバナンスの変化がある。ローカルビジネス、地方経済への注目、社会起業家の活躍。

新規にMBA採用を開始する企業もあります。最新の市場動向については、ぜひ、アクシアムのキャリアコンサルタントに随時お尋ねください。

対象別アドバイス

全体的な助言 ~MBAの価値とは?~

MBAの価値について考察してみると、まず第一に、海外MBAを採用対象としている企業は、以下の5つを期待していることがわかります。

  1. 知識、スキル、ビジネスフレーム(企業財務、マーケティング、何百というケーススタディの知見などのハードスキル)
  2. コミュニケーション能力や見識(英語によるビジネス遂行力)
  3. 共通概念・価値観・キャリアに対する考え方(これからの社会と産業と自分のキャリアの関係性)
  4. 人的ネットワーク(世界から集まる優秀な教授陣や多彩な経験をもつ学生達)
  5. 将来の経営陣やビジネスリーダと成りえる、リーダーシップとポテンシャル

この中で、もっとも重要な採否を決定する要件は、(3)の共通概念・価値観・キャリアに対する考え方です。なぜMBA留学し、なぜその会社に応募し、なぜその仕事がしたいのか。また、将来何をしたいのか。こうした質問に、説得力をもった回答をできる人が採用されます。

その際、願望や希望の大きさをいくら熱心に説明しても、「報酬が高いから」「学べるから」「成長できるから」「社会に貢献したいから」などと言った自分の利益だけを述べるだけでは採用されません。もっと具体的に、「MBA留学を経て、自分は何をしたいと思いそのためどんな努力したのか。」「その結果、何ができるようになったか。」「何をするためにその会社のその仕事を希望するのか。」などについてしっかり語れることが望まれます。

そのためには、深く考え、悩み抜いた上で自分なりの応えにたどり着いておくことが大事です。付け焼刃なインタビュー対策では、まったく刃が立ちません。薄学も見抜かれてしまいますので、しっかり学ぶことも大事です。また、冗談のような話ですが、海外MBAの方が英語でインタビューを受けて、英語力不足を理由に落ちるということが実際起こるので、英語でのビジネスコミュニケーションもしっかりできるようにしておいてください。

教授や卒業生からは、キャリア機会の提供が行われます。チャンスとなるドアがたくさん開かれていることが、最も大きな留学の価値かもしれません。これはトップスクールでは想像に難くないと思いますが、中堅ビジネススクールでも、MBA前とはまったく異なる、想像以上にわくわくするような機会に恵まれることがあります。

ただし受動的なMBA留学ではなく、能動的なMBA留学であることが前提条件です。2000年以前のように「何かいい事が約束されているからMBA留学をする」という人ではなく、これからのSDGs時代にはMBA留学を経て「自ら社会にとっていい事を生み出す」という能動的な留学をする人材が求められます。

課題やリスクは明確に考えながらも、デザイン化、パターン化、先人に設計されてしまったコモディティ的なキャリアの道を歩まず、新たな人類の課題やゴールの達成を目標にし、自分の人生の軸=Aspirationに気づき、過去に例をみない先駆的ながらも個性的なキャリアを歩み始めている挑戦的なMBA人材が見受けられる時代になりました。短期的なことではなく長期的なゴールとして、MBA卒業時、5年後、10年後、さらには人生をかけて目指すべきゴールについてじっくり考えられることも、MBA留学の価値と言えるでしょう。

結論として、「MBAの持つ価値」とは前述の5点に以下の2点を加えた7つであるといえます。

  1. 能動性を持てば、過去のキャリアの延長線にはないキャリア機会に恵まれること
  2. 内側に閉ざされた世界(日本国内だけの議論)ではなく、開かれた環境下で新しい世界の秩序、変化への回答を探せること


以上、「MBAの価値」について述べましたが、つぎに「MBA人材がマーケット情報を見る際の注意点」をお伝えします。

  1. COVID-19が与える人類への影響(経済・政治・科学・生活)を考慮し、MBAの価値の再構築が必要
  2. 求人数が過去最多からの急激に反転する「変化の時代」に有効なキャリアデザインとは?
    ⇒『リスク回避』から『リスクマネジメント』へ
    ※留学時点と卒業時点での時間差を意識
    ※転職後5年もたたず想定外のリスクに見舞われる人もいれば、20年後に恵まれる人も
  3. Post MBA の5年間/およそ38歳までに『ユニーク×大きな実績』を見える化した人は、経営人材となることが多い
  4. 時代と年齢のデザイン、リデザインの連続
  5. 今やりたいことと、将来やってくれと言われることの相違
MBAで学ぶ大きな意味のひとつは、不確かな世界の中ながら定まりつつある新しい秩序、経営者やリーダーの在り方などについて、議論できる環境と時間があることだと思います。コロナ禍にあっては海外渡航そのものが難しくなったり、感染防止のためにクラスのオンライン化が始まったりしています。あるいはMBA不要論やビジネススクールそのものの在り方が問われることも多くなってきました。

しかし、それらのことを差し引いたとしても、世界の産業をみるとグローバルであれローカルであれ、破壊と創造が起きているわけですから、おのずとこれからの社会では、年齢にかかわらず、20代、30代、40代でも経営者や起業家、企業家になれるMBA人材が増えていくことでしょう。年功序列に与しない、50歳までかからずともマネジメントリーダーとなれる時代になりました。ですからMBA人材である皆さんには、ぜひ社会をけん引するリーダーとして自らの道を発見いただきたいです。

就職に苦労している方、苦労しそうな方への助言

以前に比べ、願望だけの留学生が減り、現実的なチャンスをつかもうとする人、大きな挑戦を目標にする人など留学の動機も多様化しています。その中で、i)市場の求人ニーズをつかんで有利にキャリア開発につなげている人と、ii)ニーズをつかまず勘違いの方向ばかり身勝手に見ている人の二極化が進んでしまいました。

就職が難しいのは、

  1. 職歴なし
  2. 35歳以上で留学
  3. キャリアに関連しない分野で留学

といったタイプの人です。就職先を見つけるにはかなり努力を強いられると思いますので、他の人とは違うアプローチが不可欠であると覚えておいてください。

まず、求人の傾向をしっかりと把握しておきましょう。 外資系、日系を問わず事業会社での財務会計・事業開発・マーケティング・セールス・オペレーションの求人には、一定のMBA人材ニーズがあります。マネジメントを目指せるポジションの求人も出てくるようになりました。また、コンサルティングや金融など、スキルや知識を高いレベルで要求する業界でもニーズはあります。

ただし、ベンチャーや新規事業開発、企業再生にからむ求人では、ポテンシャルではなく実践的なスキルがより求められるようになっています。さらに、大手企業とは異なり、学歴やスキル以上に「新しいことに挑戦したい」という志向性や価値観が求められます。言葉だけで「挑戦したい」というのでは不足で、実際にどんな挑戦をし、どんな苦労や失敗をしたか、それをどうやって乗り越えたかなどの質問に具体的に答えることができるかどうかがポイントとなります。夢ばかり語る人材よりも、実践派が望まれているのです。 こうしたいわゆるチャレンジ精神は、留学した人すべてに当てはまることではないと思われます。意外なことですが、日本から海外へ留学する人の中には、「異文化交流や挑戦をしたい」と言いつつ、本心では「安定優先で、挑戦やリスクなどは程々にしておきたい」という考えの人が多いのです。

安定を目指す人は、このような分野にはキャリアを方向付けないほうがよいといえますので、しっかり考えてみてください。採用側も、その点への理解が進んできていますので、軽い気持ちで応募してもあっさり見抜かれてしまいます。

留学経験だけで新たなキャリアが拓ける時代は遠い昔です。しっかりとした自分の展望、価値観を持ち、自身の経験と強みを理解し、そして就職をゴールでなくキャリア開発の一環とらえて活動を進めていきましょう。MBAや大学院留学後のキャリアを設計し、未来の展望、すなわちキャリアゴールの実現に向けて、人生の投資先を探すつもりで活動することが成功する秘訣です。

私費留学生の方への助言

企業派遣生に比べ、ジョブマーケット情報の蓄積があり、加えてキャリアプランが明解なので、より多くのチャンスに恵まれます。ただし自己資金で留学しているので報酬面を重視せざるを得ないため、ベンチャーへの就職は報酬の面で難しい傾向がありました。

最近は堅実な比較的高い報酬提示を行うベンチャーが増えていますし、ストックオプションやワラントなどアップサイドの報酬や期待できます。

●注意:Post Pandemicは、留学前からの願望だけで業界を選ぶことや、具体性のないキャリアデザインは厳禁です。同時に、過去の常識に従うだけの留学プランやキャリアプラン、あるい脈絡のないものも厳禁です。「新しい秩序を探すためにあえてノープランで留学する」というやり方については、このような激変時代の留学の場合には、新たな人生の軸を見つけられる場合があります。



※アクシアムでは、弊社経由の紹介先企業ではなくても、オファーを受けるべきかどうかやベストなキャリアとなるかどうかなど、無償で相談しています。メール、電話、Web面談による相談、一時帰国中の対面相談も歓迎です。

定期採用している企業については、直接応募をお勧めすることもありますが、アクシアムにMBA新卒の紹介を依頼している企業のご紹介は可能ですし、他にもMBAを対象としている通常の求人案件もご紹介することができます。一度、ご希望や展望、キャリアデザインをしっかり相談いただければ、それに合致した案件を随時ご案内することができるようになります。担当コンサルタントまでご遠慮なくご質問・ご相談ください。

企業派遣生の方への助言

ここ数年は多数の派遣生が、新たな場所で新しいキャリアをスタートさせました。私費留学生と同様の転職活動を行い、結果的に目指すべきキャリアを派遣元以外で見つけた人が多数出ました。

他方、帰国後数年たって転職したいと考えた時にはすでにマーケットが求める年齢を超過してしまっているケースが目立ってきました。

アクシアムでは、一旦会社に復帰してMBAで得た知識・スキルを活かせるか、まずは卒業時の配属先でのキャリアを見極めることを推奨してきましたが、今後は「帰任後5年以上経過してから転職しよう」と思っても、機会を失う時代が到来したとお伝えしておきます。

企業派遣の方、官庁派遣の方も、留学中からキャリアについて長期の視点でしっかり考えておくことをお勧めします。

まだコンサルタントと個別相談していない方は、ご相談内容を明記の上
[mail@axiom.co.jp]までメールでご連絡いただくか、キャリアコンサルティング申請ページよりお申し込みください。