転職コラムキャリアに効く一冊

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2011年3月

ウェルチ GEを最強企業に変えた伝説のCEO/ウィニング 勝利の経営/ジャック・ウェルチ わが経営(上)(下)
ロバート スレーター(著),宮本 喜一(翻訳)

ウェルチに関する3冊は、世界のビジネスリーダーの多くが参考にした書であろう。

第三者が書いた「ウェルチ」よりは、ハーバードMBAでもある奥さんの力も借りながらまとめられた「ウィニング」の方が、ウェルチの経営哲学が滲み出ていて示唆に富んでいる。キャリアを考える時には、こちらの方が参考になるだろう。そして、「わが経営」になると、ウェルチ自身の言葉が実践的なノウハウと共に示されている。読み手には時系列で読んでもらうと、よりウェルチの凄みがご理解いただけることと思う。

さて、「ウェルチ」の日本語版が出版された1999年2月頃、日本は構造不況といわれていた、甘い考えが吹き飛ばされるようなショックを受けていた。日本長期信用銀行、そして日本債券信用銀行といった、日本でもっとも安定経営されているべき政府系銀行が破綻したのだ。

当時からウェルチは「イノベーションが大事」、「変化を恐れるな」と叫び続けていて、多くの経営者がそれに勇気づけられ、変革を試みたはずだ。

ところが、何度か政党が変わったり、政策が変わったり、経営再建が行われたり、ファンドが活躍したり、ベンチャー企業が隆起したりといった「変化」は起こったものの、一方で、その度により戻しが起きたり、中途半端に終わったり、後退が起きたりしている。そう簡単に「変化」や「イノベーション」は成功しないのだ。そして、あまりにも「変化を起こすリーダー」が出てこないものだから、今度は「フォローする人が大事」だとか、「一人のヒーローには頼らず、団体やネットーク全体で改革しよう」という主張まで出てきた。

また、2001年に伝説のCEOウェルチの後を継ぎ交代したイメルトが、さらに困難な経済状況をあまりに見事に乗り切ったことから、最近は以前に比べてウェルチが注目されることも少なくなったように思う。さらには、あれから10年以上が経ち時代も変わり、昔のリーダーシップ・スタイルは通じなくなったという人もいる。

しかし、そんな今でも、ウェルチの書を読むと目が覚める思いがする。そこには、時代に流されない「リーダーの本質」が語られているように思う。

「ウェルチ」そして、「ウィニング」そして、「ジャック・ウェルチ わが経営」の3冊は、リーダーを目指す時、そしてリーダーとしての資質を磨く時にこそ読んでおくべきだ。そこには、触れておくべき言葉、学んでおくべき哲学がふんだんに盛り込まれている。そしてもちろん経営リーダーとなった後でも、この書はあなたが孤独な中で自問自答する機会を与えてくれるだろう。

3冊の中で、最も私の心に滲みた言葉は、「ウィニング-勝利の経営」のP.74にある次の一言だ。


「リーダーになる前は、成功とはあなた自身が成長することだった。ところが、リーダーになった途端、成功とは他人を成長させることになる。」


他人を成長させられるリーダー、社会を変えられるリーダーとなるために、ウェルチは「境界線をなくせ」「一貫性を保て」「自分より優秀な人材を採用せよ」と主張している。

これは2011年の日本のビジネスシーン、組織、経営の中で、まだまだ必要とされる不変の概念であろう。

ウェルチ GEを最強企業に変えた伝説のCEO/ウィニング 勝利の経営/ジャック・ウェルチ わが経営(上)(下) 出版社:日経BP社
著者:ロバート スレーター(著),宮本 喜一(翻訳)


ウィニング 勝利の経営


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出版社:日本経済新聞社
ジャック・ウェルチ(著),スージー・ウェルチ (著),斎藤 聖美(訳)
ジャック・ウェルチ わが経営<上>/ジャック・ウェルチ わが経営<下>


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出版社:日本経済新聞社
著者:ジャック・ウェルチ(著),ジョン・A・バーン(著),宮本 喜一(訳)