転職コラム注目企業インタビュー

A.T. カーニー株式会社2022.09.15

『日本を変える、世界が変わる』をスローガンに、様々な企業の経営改革に取り組む戦略コンサルティングファーム、A.T. カーニー株式会社。1926年に米国シカゴで創立された、世界有数のファームの日本法人です。


高度な専門性、目に見える成果の実現、クライアント企業との密接な協働作業を強みとし、世界41の国と地域、63拠点のグローバルネットワークの下で、約4,200名のスタッフを擁し、「Fortune500」企業の75%以上と各国政府を主要なクライアントとしています。日本オフィスの開設は1972年。現在、約200名のメンバーが在籍しています。


今回は、そんな同社がいま特に注力している「リーダーシップ・組織改革」領域、「ヘルスケア」領域でご活躍中のコンサルタントの方々に、アクシアムの若張がインタビュー。同社のカルチャーや人材育成に対する考え、独自のコンサルティングスタイル、プロジェクト事例など様々なお話を伺いました。


他のファームとは一線を画す、同社ならではの特長や魅力とは? コンサルティング業界でのキャリアをお考えの方には、必見の内容です。


(インタビュアー アクシアム取締役/エグゼクティブコンサルタント 若張正道)

A.T. カーニー株式会社

<第一部>
「個」を大切にし、「個」の情熱に寄り添う風土

若張:

第一部として「リーダーシップ・組織改革」を手掛ける部門から、西谷様、中村様にお越しいただきました。本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。よろしくお願い致します。

西谷氏・中村氏:

こちらこそ宜しくお願いします。

若張:

早速ですが、まずは御社全体のことについてお伺いします。世の中には多くの戦略コンサルティングファームと呼ばれる企業がありますが、その中でのA.T. カーニー(以下、Kearney)様の独自性とは、どのようなものでしょうか?

中村氏:

「個」を非常に大事にしている点が挙げられると思います。日本オフィスでは『日本を変える、世界が変わる』というキーワードを掲げ、その実現に貢献していくために「社内外の才能溢れる “尖った個” からなるベストチーム」を組成することを宣言しています。社内のプロフェッショナル人材を “尖った個” に進化させるためにも、「個人」が何をやりたいのかをとても大切にしています。

私はコンサルティングのサービスラインとして「リーダーシップ・組織改革」を手掛ける部門に属しているほか、業界別のプラクティス(部門)では「消費財・流通小売プラクティス」に属しているのですが、「消費財・流通小売プラクティス」で多く担当するマーケティング関連のプロジェクトは、私自身がやりたいこと・興味があることです。一方、「リーダーシップ・組織改革」については、今の産業社会において強い必要性を感じており、その意味で関心の高い分野であり、どちらも自分自身で「なにをやりたいのか」という視点で考え、所属先を決めています。

このようにKearneyには、「個として、どのようなパッションを持っているのか?」という視点で業務を選び、キャリアを深めていける環境があります。例えば宇宙ビジネスに熱いパッションを持っていて、実際に「宇宙プラクティス」を立ち上げ、新しいコンサルティングサービスの仕事を作ってしまった社員もいるほどです。

若張:

新たなサービスラインを作ってしまわれたんですか!

中村氏:

そうなんです。全社のビジョンは共有しつつも自分がしたいことをできる、興味のある領域で専門性を作ったり高めたりできるところが、“Kearneyらしさ”だと思います。

若張:

たしか、プロジェクトのアサインメントに対して“非希望の表明”もできるのですよね。

中村氏:

プロジェクトは基本公募制で、興味のあるものに応募できるだけでなく、非希望を出す権利も合わせて与えられています。ですから何を専門性として深めていくかは、自ら考え選択していくことができます。半年に一度、社内に対して自分の興味・関心がある領域やテーマを申請するプロセスも用意されています。

個人がどのように自分のキャリアを築いていきたいのか? その思いを大切にし、寄り添いたい。Kearneyでは、専門性の蓄積と個人のやりたいことの一致が、「個」を尊重するうえで最も重要だという考え方なんです。

若張:

なるほど。素晴らしいですね。経験がない領域やテーマでも、本人が希望すればアサインされるのですか?

中村氏:

はい。もちろんマネジャー以上からは知識・経験が問われて各プラクティス(業界別の部門・サービス領域別の部門)に紐づきますが、専門性がない人も、逆にこれまでの専門性を引き続き活かしていきたい人も、自分でチャンスを選び取ることができ、活躍できる場があります。

パートナーとして入社後に感じた、Kearney独自のDNA

若張:

西谷様は、約2年前にパートナーとしてご入社されたのですよね?

西谷氏:

はい。ちょうどKearneyの日本オフィスで、組織改革に関する部門を強化しようとしているタイミングで声をかけてもらい、パートナーとして入社しました。当時グローバルでは組織改革領域のコンサルティングが広がりつつあったのですが、日本ではまだまだの状態。それをサービスのひとつとして確立する。そのために必要なものを立ち上げ、広げていく。非常に面白い仕事だと思い、入社を決めました。

若張:

コンサルティング業界に長くいらっしゃる西谷様からご覧になって、御社の特長やユニークさなどは何だとお考えですか?

西谷氏:

そうですね…Kearneyといえば戦略ファームの中でも、オペレーションと調達改革が強い会社と認識していました。実際そこが強いわけですが、それを実行する社員に対して抱いていたイメージが予想と随分違っていました。

入社するまでは、オペレーションの細部にまでこだわり、例えはガリガリと妥協をせずにコストを下げていくようなイメージを抱いていました。ある種、もっと画一的な集団だと思っていました。ところがそうではなかった。先程から中村がお話ししているように、“尖った個”として強いパッションを持って働くメンバーたちでした。

その背景には、創立者の影響があると感じました。私は、会社というものには創立者のDNAが残るものだと思っています。創設者のAndrew Thomas Kearneyは元々エンジニア。いまのシリコンバレーの技術者らと同様に、「技術が世界を変える」「正しいことをすれば結果がついてくる」といった感覚が強い人だったと想像しています。彼は1960年代に、すでに「ダイバーシティが強みのカギになる」と主張していました。そんなDNAが生きている会社だと思っています。

若張:

御社が今も大事にされている“Essential rightness (本質的な正しさ)”や、目標とされている“The most admired firm(最も評価され、信頼されるコンサルティング会社)”につながっているのですね。

「人」を起点に、変革を起こす必要性と面白さ

若張:

「リーダーシップ・組織改革」というコンサルティングサービスでは、具体的にどのような支援を提供されているのでしょうか?

西谷氏:

人を真ん中に据えた、組織改革と言えると思います。例えば、何かのオペレーション改革をするとき、プロセスの設計だけでは不十分です。戦略策定でも同じです。プランニングでは不十分なんです。個別のプロセスや製品サービスの作り変えにとどまらず、大きな変革、トランスフォーメーションといって良いような、会社そのものの作り変えまでやる。構造やプロセスを変え、組織の動き方やカルチャーも変える。その変化の出発点は「リーダー」になります。こうした変化を実現していくことが我々のやることです。

我々は、組織のサービスプラクティスを“Leadership, Change & Organization”と名付けています。「人」、特に「リーダー」を起点に「変化」を起こして、それを「組織」の中に定着させていくことに取り組んでいます。

変化を起こし組織を動かしていくことは、今後様々な会社で必要になってきます。すでにKearneyのグローバルは大きく動き出しています。日本でも取り組みは始まっているものの、まだまだです。色々なプロジェクトの中に埋もれている感が否めません。だからこそ、大切な課題として取り上げ、クライアントに認識してもらい、サービスラインとして確立していくチャンスや醍醐味はあると思っています。

組織の問題を課題化して取り組む余地は大きくあります。そうした取り組みが進むことで、我々の提言が実行され成果に繋がる率が上がってくるはずです。大きく会社を変えて、CEOへのサポートを拡大していくうえで、カギとなるオファーだと考えています。

若張:

日本企業、特に大企業は、様々な根深い問題を抱えていますよね。キャリア相談をお受けしていると、硬直化した組織に疑問を持ち、外へ出ようと決意したというお話をよく耳にします。そのような大企業に、どのように切り込んで変化を起こそうとされているのですか?

西谷氏:

組織を変えること自体は目的ではありませんから、会社の中にある「本当にやるべきこと」をあぶり出すことが重要です。新規事業を始めたい、顧客のニーズをもっと効果的に吸い上げたい、もっとリーンでスリムなオペレーションにしたい…など。そうした課題が戦略の根っこにあるはずです。その根っこを明確にしたうえで、どんな戦略が必要か。その戦略を実行するための組織とはどんなものか? と考えていく必要があります。この全体の流れをフルパッケージでサポートできるのがKearneyの強みです。

それからミドルから変化を起こすのはなかなか難しい。「変わらなきゃいけない」という意識をトップが持ち続けることが重要ですし、具体的な変え方にまでトップがコミットする必要があります。Kearneyは、現場にもトップにも寄り添うことで、変革に必要なコミットメントを確保することができます。

中村氏:

私がご支援したあるケースでは、経営者がすごく熱いパッションを持っていて「会社を変えていきたい」という強い気持ちをお持ちでした。若手、特に30代・40代の社員の方たちに新規事業を自ら構想して作り上げていくような人材になってほしい、そうならなければという課題意識をお持ちだったんです。そこであるべき姿の議論を重ね、社員の育成プログラムを一緒に走らせて、実際に新規事業の種を作っていくというサポートをさせていただきました。

また、別のクライアントでは、中期経営計画の骨子案をつくるご支援をし、一緒に戦略を考えさせていただく中で、この計画を進めるには今のままでは実現できない、組織のこの部分がまず変わらなきゃいけないだろう、と議論が深まって、社長直下で組織改革を行った例もあります。

このように、最初に「何を成し遂げたいか」をクライアントと合意し、あるべき姿や将来像のようなものを共に描くことが大切だと思っています。

関灘氏の日本代表就任で、より明確になったこと

若張:

2020年1月、関灘様がKearney史上最年少の38歳で日本代表に就任され、大きな注目を集めました。就任から2年半ほどが経ちますが、社内に何か変化をお感じになりますか?

中村氏:

あらためて「Kearneyの思想」が、はっきりと見える形に言語化されたことが大きいです。関灘が『日本を変える、世界が変わる』をはじめとする10のキーワード(※)などを示してくれたことで、社員の目線合わせができたように感じています。我々が目指す世界、志(こころざし)を共有できたことで、つながりが強くなったと思いますね。

また、つながりという意味では、様々な制度も変わりました。コロナ禍ではリアルでの開催はなかなか難しいものの、オンラインでの社内イベントを定期的に行ったり、個人の体験をシェアする共有ミーティングを持ったり、メンターとメンティーが悩みを持つものがいれば共有したり、それを解消するために相談をする機会を設けたり。社内では「Kearneyファミリー」なんていう言葉をよく使うのですが、まさにファミリーとして連帯感を持って、世界観を共有して活動できるようになりました。

※「Kearneyを読み解く10のキーワード」

西谷氏:

私は関灘が代表に就任してから入社したのですが、彼の打ち出す方向がグローバルの動きと連動しているな、と常々感じています。単にファームとしての規模の拡大を目指すのではなく、我々が強みを持つところで徹底的に勝つ、といった方針もそうですし、「20社+200社(※)」というメッセージもそうです。

Kearneyの中でも日本は様々な変化の先をいっている面があり、また実績もありますので、グローバル側も日本がやりたいことを支援しようとしてくれています。この点は、仕事をするうえで大きいです。

※世界のロールモデルとなる大企業20社+グローバルで戦えるベンチャー企業200社に、集中的にKearneyのリソースを投下し、日本企業の世界における存在感を引き上げようという取り組み。

同じ目標に向け、共に長くキャリアを築いていける仲間

若張:

中長期的な視点では、どんなファームを目指されているのですか?

西谷氏:

「会社を大きく変えようとするときのパートナーといえば、Kearneyだ」と、思っていただける存在になりたいですね。一般的に会社を変えるというと、剛腕のコンサルタントが乗り込んでいって強引にコトを進めていくようなイメージを持っている人がいらっしゃるかもしれませんが、我々はまったく違います。あくまでクライアントに寄り添い、かつ熱いパッションを持って、一緒になって最後まで改革を進めていくスタイルです。そんなスタイルを持ったコンサルタントが、どんどん育っていってほしいです。

加えて、戦略とオペレーションだけでなく、人と組織に関する改革の知見を持ったコンサルタントを増やしたいと思います。この領域に苦手意識を持っているコンサルタントは、案外多いんですよ(笑)。でも、だからこそ、それを自身のツールボックスに入れて、武器のひとつとして持っている人材が増えればと願っています。

若張:

「リーダーシップ・組織改革」のチームでは、どんな人材を求めていらっしゃるのですか? あるいは、どのような方が活躍できますか?

西谷氏:

まず、相手としっかりコミュニケーションをとれることが出発点です。そして、組織の構造やダイナミクスを理解し、それを「解析」できる能力が必要ですね。クライアントも起きている現象は認識していて、問題点はわかっています。そこを「解析」し、どう変えていくべきかを考えていくことが求められます。言い換えれば、組織をシステムとして理解・解析する「システムシンキング」の能力といえるかもしれません。

ただ、このような能力を入社時に持っていらっしゃる方は少ないでしょう。ですから、人と組織に興味を持って「何かを変えたい」というパッションを持っている方であれば、入社後に一緒に力をつけていってもらえるとも思っています。

若張:

何らかの人事領域に関する業務経験が、必須ではないのですか?

西谷氏:

もちろん人事業務への理解は必要ですが、人事経験等が必須とは考えていません。じつは我々の仕事では、人事のトップがクライアントになるケースは非常に少ない。それよりも、事業のトップやマネジメント陣がクライアントになる方が多い。ですから、事業に必要な組織の変革の方が大事で、これは必ずしも人事中心の考え方とは一致しない。事業と人事の発想の両方をつなげていくことが大事になります。

若張:

なるほど。最後に、Kearney様でのキャリア、「リーダーシップ・組織改革」領域でのキャリアに興味をお持ちの方に、メッセージをいただけますか?

中村氏:

企業の組織変革を手掛けるためには、クライアントとの信頼関係が何より大切です。組織は、個人に例えれば、家の中のことですから、まず玄関から入れてもらい、家の中を見せてもらえるような関係性が必須です。当然長いお付き合いといった面も必要になってきます。その意味でも、Kearneyに10年・20年といった単位で一緒に働いていただける方を求めています。

コンサルティング業界には、膨大な残業があるなどハードワークのイメージがあるかもしれません。たしかにKearneyでもかつてはそんな側面がありましたが、現在は違います。長くキャリアを続けられるように働きやすい環境整備を行い、制度を整えていっています。

私はいま入社10年目で、2人の子どもを子育て中です。時短勤務をしていますが、そのことが昇進に影響することはもちろんありません。同期入社が9人いますが、そのうち5人が現在もKearneyで働いています。じつはその5人の中で、2人はいったんKearneyを卒業して事業会社で活躍した後に戻ってきたメンバー。そのように外でスキル・経験を磨いたメンバーを歓迎し、受け入れるカルチャーもあります。

社内にいるメンバーにも卒業したメンバーにも「良い会社だ」と言ってもらえる企業であり続けたいと考えていますので、ぜひKearneyでのキャリアをご検討いただければと思います。

若張:

御社のカルチャー、また「リーダーシップ・組織改革」のお仕事についてよくわかりました。ざっくばらんにお話しいただき、ありがとうございました。

<第二部>
ヘルスケアは、人々の生活に多大な影響を与える業界

若張:

続いて「ヘルスケア」のコンサルティングサービスを手掛けていらっしゃるチームより、お2人にお越しいただきました。後藤様、Mooren様、よろしくお願い致します。

コロナ禍においてヘルスケア分野は以前よりも人々の関心が高まりましたが、それでもなかなか見えにくい業界だと思います。まずはヘルスケア業界全体について、その現状や課題をお聞かせください。

後藤氏:

端的にいうとヘルスケアというのは、その質の進歩が人々の生活に大きく影響を及ぼす業界だと考えています。ヘルスケアに関する技術が進歩することによって人々の生活が良くなるという点において、相関関係があることは間違いありません。今後も様々な技術開発や技術革新は起こるでしょうが、これからの一番大きな課題は、様々なイノベーションが進んだとして、それに対するアクセスがしっかり担保できるのかということだと思っています。

例えば現在、日本の国民医療費は税金で賄われています。いわゆる公的な医療支出ですが、約40兆円もの額になります。どんどん高齢化が進む中、現状以上の国民医療費は維持できない一方で、国民は老いていきます。その結果として、今までと同じように全ての医療に対してフリーアクセスを求めるのは難しくなってきています。

いま世界各国で起きているのは、限りある医療資源を最適配分しようとする流れです。例えば、医療費の支出に対して費用対効果の観点から、病気ごとに薬剤価格の上限を設けるなど。ですから、イノベーションが進んだ場合にそのイノベーションに対してどう適切な価格をつけるか、必要な人に対してどこまでアクセスを許容していくのか、といった方法論やプロセス構築が求められています。我々の仕事の多くは、まさにこの“イノベーションとアクセスのバランス”をどう考えていくか、ということです。

若張:

なるほど。日本の社会が抱える大きな課題の解決に、まさに直結するお仕事ですね。

後藤氏:

はい。じつはいま、医療の概念はどんどん広がっています。単にがんなどの病気を発症した場合だけでなく、認知症やメンタルヘルスに問題が生じた場合など、従来よりも医療行為の裾野が広がっており、その医療行為を誰の財源でどう支えていくか? という課題に取り組む仕事も多くなっています。

コストの観点からみても、病気の発症後だけでなく、そもそも病気を発症させないことが重要。健康を維持し予防するにはどのような制度・仕組みがあればいいのか? また、雇用者や健康保険組合が持つ財源を、単に医療費の支払いに使うだけでなくどう上手く活用していけばいいのか? など様々な側面からの解決策を探しています。

若張:

一つの企業の課題を解決する業務というよりも、国などとの取り組みが多いのでしょうか?

後藤氏:

たしかに国や省庁とのプロジェクトも多いですね。私自身、2019年から厚生労働省・経済産業省が主導する「未来イノベーションワーキンググループ」で委員も務めさせていただいています。もちろん個々のクライアント企業とのプロジェクトも担当していますが、日本の医療の未来において、インフラストラクチャーや法制度をどうするかといった国レベルでの様々なプロジェクトにも関わっています。

ヘルスケア業界でも光る、Kearneyならではの強み

若張:

ヘルスケア各社が経営課題の解決に向けて活動しようとするとき、御社が果たす役割とはどのようなものなのでしょうか? また、御社ならではの提供できる価値とはどのようのようなものですか?

後藤氏:

まず一つめは、「マーケットアクセス」に関する支援です。我々はグローバルでもこの領域に関する幅広い知見を有しています。例えば有望な新薬があったときに、どういう論理でどう価格設定をしていくべきなのか、そのためにどういうエビデンスやデータを集めていくのかといったケースです。あるいは革新的な技術があったときに、それをどういうロジックで当局なり世の中なりに出していくのかをサポートすることができます。

二つめは、「他業界との連携」の支援です。現在のヘルスケア業界では、何らかの新しい取り組みを行おうとしたとき、その製薬会社や医療機器メーカーが1社だけで完結できることは少なくなっています。今後必要になってくる医療全体の構造改革や、患者さんたちの意識改革といったものでは、なおさらです。他業界を巻き込み、あるいは業界同士をつなげ、さらにエコシステムとして構築していく。我々なら、そのようなパートナーリングのお手伝いが可能です。

三つめは、「無駄の削減」の支援です。やはり我々の出自はオペレーションや構造の改革ですから、その知見・強みはヘルスケア業界でも十分に活かすことができます。

Mooren氏:

そうですね。特にヘルスケア部門では多くグローバルと連携し、クライアントをサポートしています。海外ではR&Dの生産性の向上、意思決定プロセスなどでも多くのプロジェクト実績がありますから、国内の案件においても、グローバルの同僚たちと連携し、その知見を活かして価値提供をしています。

海外の“下請け”ではない、真にグローバルな業務

若張:

海外オフィスとの連携も多いのですね。もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

後藤氏:

ヘルスケアは産業自体がすごくグローバルですし、クライアント企業もどんどんグローバル化しています。ですから英語を使う機会は頻繁にあります。Erikのように海外にバックグラウンドを持つ人材がプロジェクトに入ったり、プロジェクトそのものをグローバルで組成したりすることは日常茶飯事。逆にいえば、日本だけで完結するプロジェクトは、ほとんどありません。

若張:

なるほど。弊社にキャリア相談にいらっしゃる方、特にMBAホルダーの方は海外事業であったり海外駐在であったり、形は様々ですが「グローバル」をキーワードにキャリア構築の場を探していらっしゃる方が少なくありません。

後藤氏:

「グローバル」な業務と一口に言っても、外資系企業の場合、一般的には日本サイドでやれるのは海外プロジェクトの下請け的作業だけ…という場合も多いと思います。一方、Kearneyではそうではありません。日本市場において強いプレゼンスがありますので、日本発のグローバルプロジェクトが多いという特長があります。

若張:

「日本発のグローバルプロジェクト」ということは、その意思決定も日本サイドで行えるのでしょうか?

後藤氏:

もちろんそうです。

若張:

海外出張の機会はよくあるのですか?

後藤氏:

はい、現在はコロナ禍の影響で少なくなっていますが、私もコロナ前は毎月のように海外出張がありました。海外のプロジェクトのサポートをするためにインドネシアやシンガポールに行ったり、クライアントと一緒に現地の視察に行ったり。また、海外のヘルスケアチームのメンバーとのミーティングに参加することも多かったです。

若張:

Moorenさんは海外オフィスで採用され、日本に赴任していらっしゃるのですか? また、Kearney様でのお仕事の面白みなど、どう感じていらっしゃいますか?

Mooren氏:

いえ、海外ではなく日本オフィスで採用され勤務しています。Kearneyでの仕事はとても面白いですね。自分の好きな分野のプロジェクトを選んで自分でキャリアパスを描けるので、そこに集中してキャリアを伸ばしていけるところが魅力だと感じています。

後藤氏:

Kearneyは、比較的若いときから「自分が何したいのか」「何に興味を持っているのか」を踏まえて、かつどういうペースでキャリアを築いていきたいのかを重視してくれます。Erikのようにハイパフォームでどんどんキャリアを積み上げていくことも、専門性をもっと磨くためにゆっくり色々な業界を見てみたいというやり方も可能。何かひとつの杓子定規なキャリアのパターンがあるのではなくて、多様なキャリアの形が存在し、認めてもらえるカルチャーがあります。

“解のない難題”にチャレンジし、日本を、世界を変える

若張:

後藤様はMBAホルダーでいらっしゃいますよね。MBA人材の強み、MBAでの学びの価値は、どのようなものだとお考えですか?

後藤氏:

ファイナンスがわかるようになった、マーケティングがわかるようになったといった知識・スキル面というよりも、一番重要なのは異なる国籍・バックグラウンドの人たちと一緒に、何かの課題解決を行ったという体験ではないかと個人的に思っています。

その体験の過程では、当然ながら価値観の合わない人や計画どおりに物事を進めてくれない人とも対峙する状況に直面するはず。そのような人たちともコミュニケーションをとり、彼らの行動をうまく変えて、きちんとスタディグループのワークをやり切れたとか、何らかの成果を出したという経験が得られているなら、それこそ貴重だと思うのです。

やはり海外ビジネススクールという稀有な環境に置かれないかぎり、なかなかそんな経験はできないですから。逆にいえば、そんなハードな環境で何かをやりきった経験があるなら、あとはどうにでもなるのではと思います。

若張:

最後に、Kearney様の「ヘルスケア」領域でのお仕事・キャリアに興味をお持ちの方に、メッセージをいただけますか?

後藤氏:

日本は、ヘルスケアや広義の健康に関して「課題先進国だ」と、よくいわれます。日本には様々な“解のない問題”が山積しています。それらに対して問題意識を持っていても、医療の真ん中にいるとかえって解けないというケースが往々にしてあります。Kearneyなら、そんな社会に対して大きなインパクトを持つ課題に対してチャレンジができます。“解のない問題”に取り組みたいという知的好奇心のある方には、とてもいい機会が提供できると思います。

また、ヘルスケアは様々な産業の中でも最もグローバル化が進んでいる業界。そんな環境の中で、今後の日本企業がどうサバイブしていくのか、どう進んでいくのかというリアルな現場に触れたい方には、非常に面白くかつ意義深い仕事ができる場なのではないでしょうか。

若張:

ヘルスケア業界の現状や今後の課題、御社のコンサルティングサービスに関するお話の数々は、大変参考になりました。本日は、長時間にわたりありがとうございました。

Profile

西谷 洋介 氏

A.T. カーニー株式会社 リーダーシップ・組織改革プラクティス シニアパートナー

<専⾨領域>
・医療機器、医薬品を中心に、大規模な戦略トランスフォーメーション、組織改革についてのコンサルティング経験豊富
・コンサルティング分野:マーケティング戦略、全社戦略、組織能力構築、組織文化変革、等
<学歴・職歴>
・東京大学教養学部卒
・ペンシルバニア大学ウォートン校MBA with Distinction(Palmer Scholar)
・モニターグループ、BCG、ボストン・サイエンティフィックを経て現職

中村 文香 氏

A.T. カーニー株式会社 リーダーシップ・組織改革プラクティス マネジャー

<専⾨領域>
・消費財・小売・サービス分野を中心とした、マーケティング、メディア・コミュニケーション戦略
・企業変革に向けた組織改革やリーダーシップ・人材育成等
<学歴・職歴>
・東京大学大学院国際保健学修士卒業後、A.T. カーニーに入社
・コンサルティング経験(約9年)

後藤 良平 氏

A.T. カーニー株式会社 ヘルスケアプラクティス シニアパートナー

<専⾨領域>
・医薬品、医療サービスを中心とした15年以上のコンサルティング経験
・コンサルティング分野:マーケティング戦略、全社戦略、医薬関連の規制対応及びヘルスエコノミクス
<学歴・職歴>
・東京大学経済学部卒
・ロンドン大学 ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)
・モニターグループ(東京、ロンドン)を経て現職
・厚生労働省・経済産業省「未来イノベーションWG」委員(2019~)

Erik Mooren 氏

A.T. カーニー株式会社 ヘルスケアプラクティス プリンシパル

<Summary of areas and focus>
– 8 years of mgt consulting experience, working for Pharma/MedTech MNCs and Private Equity firms.
– Key areas of focus:
– Strategy & Top-Line Growth
– GtM transformation
– Digital Transformation
– (Pre-clinical) asset forecasting & valuation
– Portfolio review
<Education>
– Master of Science in International Business, Maastricht University (Graduated with distinction)
– International Exchange at ICU (国際基督教大学)
– Drug Development Product Management Specialization from UC San Diego Skaggs School of Pharmacy & Medicine

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

若張 正道

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。

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