転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第43回 
2006.08.03

直感 心の声 vol.2

前回、ビジネスにおける「直感」について、一般的な重要性と、採用をする側での問題について書きましたが、今回は立場を変え、転職をする側における「直感」について考えてみたいと思います。

優秀な採用責任者(人事責任者のみならず、社長や当該部門責任者など、その採用の最終意思決定者)は、採用にあたっては「直感」に頼りすぎることがないよう、まずは「直感」を疑いダブルチェックを行っている事を書きました。

翻って、転職をする立場で考えてみると、この話は直接的・逆説的に二つの点で大きな示唆を与えてくれていると思います。

1)レジュメや面接の印象(第一印象)は、採用においてとても重要な要素であり、時としてそれだけで決まってしまうことがあること。
これは、以前『最初の30秒』という稿でも書きましたが、対人認知における「認知的不協和理論」や「原因帰属理論」などとで説明されるものです。「ある人を一度良い人だと判断してしまえば、後にその判断と矛盾することがあっても、自分の判断を覆すのは不愉快なので(認知的不協和が発生するので)、良い人だと思えるほかの証拠を集め、よい人であることを立証しようとする心理が働く。その逆も然り」という話です。

このことを考えると、その会社(ポジション)で採用されたいと考えるならば「よい第一印象」を作ることはやはり重要であるといえます。

 

2)転職を決める側でも「直感」に頼りすぎるのは危険であるということ。
採用側で「人を見誤った」ということが起こるのと同様に、転職する側でも、「会社(あるいは上司)を見誤った」ということはあります。やはり採用側と同様に、直感に頼りすぎず、ダブルチェックを行うことが大切であることが分かります。

ではどのようにチェックを行うとよいのでしょうか?

具体的には、

  • 上司ばかりではなく同僚となる人、その上司の部下であるほかの人にも会わせてもらう。
  • その会社に過去、在籍していたことがある人を探し、話を聞いてみる。などという方法があります。

 

そして一番最後に、自分の目で見て、耳で聞き、心の声に耳を傾ける。

心が感じた「直感」に従うのは、最後の意思決定の際に行うというのがよいでしょう。「直感」は、どんなタイミングでそれを働かせるか、どんな場合にそれを信頼するかが重要なのです。早すぎる段階で使い、目を曇らせることなく最後の決心に使う…。

前回お書きしたの南場社長のケースもそうですが、十分に検討・分析し、最後の判断の際に「心の声に耳を傾ける」というのが、成功の秘訣であると思います。そうすれば、目を曇らせることなく、且つ、心が感じ取っている無意識レベルの重要なメッセージを汲み取れるでしょう。

「頭で考え、そして、心で決める。」いかがですか?