イベントジョブフェア

海外大学院合格者 ジョブフェア2012 開催リポート2012.07.12

アクシアムでは、本年度、私費で海外の大学院にご留学される方々を対象とした「海外大学院合格者 ジョブフェア 2012」を開催いたしました。

当日は留学を目前に控えた海外大学院に合格された皆様と、MBAをはじめとした海外留学生の採用をお考えの、外資系・日系企業18社(開催時点過去最多)が一堂に会し、大変盛況なイベントとなりました。

2012年 参加企業一覧

アーサー・D・リトル(ジャパン)株式会社

アクセンチュア株式会社

アマゾン ジャパン株式会社

ウォルマート・ジャパン

株式会社 カンター・ジャパン

J.P.モルガン

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社

デロイト トーマツ コンサルティング株式会社

株式会社 ドリームインキュベータ

日本イーライリリー株式会社

日本GE株式会社

日本マイクロソフト株式会社

フィリップ モリス ジャパン株式会社

ベイン・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド

株式会社ボストン・コンサルティング・グループ

UBS証券株式会社

楽天株式会社

ロゼッタストーン・ジャパン 株式会社

※五十音順

開催のご挨拶

◆株式会社アクシアム/代表取締役・キャリアコンサルタント 渡邊光章

皆さんMBA合格おめでとうございます。皆様は、大震災の後に出願をされたわけですが、この厳しい時代に留学を決意されたことにあらためて敬意を払うとともに、アクシアムとして、皆様の卒業時の就職支援はもちろん、10年、20年と長期のキャリア開発をご支援させていただきたいと思っておりますことを最初にお伝えいたします。

さて、本日は、過去最多の18社の企業様に参画いただいています。

皆様を応援し、またMBAなどに海外留学される方への期待が大きくなっているということは、ぜひ覚えておいていてください。この後、壮行記念講演として程 近智 様からもエールをいただきますが、私からも3つだけ、簡単なお話をさせていただきます。

  1. グローバル化:
    海外留学の機会に、あらためて一度、これまで日本国内で見聞きしてきたグローバル化や日本というものにとらわれず、枠を外して考え直してみてほしいと思います。米、欧、亜、様々な地域でいろいろな国の人たちとディスカッションをする機会があるわけですから、ぜひ地球視点、あるいは本質的な視点で考えてみてください。
  2. 多様化:
    MBAのキャリアの選択肢は多様化し、求人需要も拡大しています。しかし、選択肢が増える一方、その分選ぶのが難しい時代になっているということも頭にとめておいてほしいと思います。実は選択肢が少ないほうが迷わないで意思決定ができるということもあるということです。コロンビア大のシーナ・アイエンガー氏の『選択の科学』という著書も大変参考になるので、興味のある方は読んでみてください。
  3. リーダーシップ:
    皆さんも、リーダーシップについてはいろいろ見聞きされていると思いますし、それぞれいろいろな分野でのリーダーを目指されていると思います。
    本日お話をいただく程様は、世間一般ではアップorアウトと呼ばれているコンサルティングの業界で、30年変わらずアクセンチュア様に在籍し、転職することなくリーダーシップを発揮し続けている方です。
    MBAをとったら転職するのが当たり前のように思われる方も多いかと思いますが、これだけ変化の激しい時代になっても、変わらないことで成功をすることもあるということです。
    実は、キャリアで成功している方には、このような「常識とされていること」、「メディアに載っていること」とは違うことを、ご自分の主体性や独自の判断でされている方は多いように思います。

皆さんも、ご自分の主体性、独自性を持って、リーダーシップを磨いていってください。

壮行特別講演

海外大学院合格者 ジョブフェア2012 開催リポート

厳しい状況の中、海外大学院のオファーを得られましたこと、大変おめでとうございます。
今は、皆さんが所属されている企業のビジネス状況も厳しいでしょうし、また、グローバル競争の中で大学院に合格するのも厳しくなっていと思います。この二重苦三重苦の時代にチャレンジし、入学のオファーを得られたこと、本当にすばらしいことだと思います。おめでとうございます。

さて、まずは簡単に自己紹介をいたします。

1. 自己紹介

私は、高校は日本のインターナショナルスクールに通い、大学は、叔母がいたサンフランシスコのスタンフォード大へ進学しました。 1982年当時、”Japan as No.1″ といわれていた時代であり、日本がアメリカの自動車やエレクトロニクス業界を脅かすまでになっていました。

ちょうど、第二次オイルショックから日本がピークアウトしかけていた時でしたが、スタンフォードには日本人が3人来ていて、まだみな周囲から注目を受けていました。

そういう背景の中、留学している日本人は、みなアメリカで働きたがっていました。ただ、私はアメリカでは働かないつもりでした。日本から身も心も離れてしまうというのがいやだったためです。

特に行きたい業界など定まってもいなかったのですが、たまたま立ち寄ったジョブフェアでアクセンチュア(当時アーサー・アンダーセン)に出会い、入社することになりました。そのときは、まだ明確な目標をもっておらず、まずは2-3年勤めてから今後について考えるか、あるいはビジネススクールに留学するか位にしか思っていませんでしたが、結局、これまで30年勤め続けています。私自身もこれほど長く勤めるとは思っていなかったので、とても驚いています。

当時80年代のアメリカでは、今と異なり、日本の企業を学ぼうという風潮がありました。アクセンチュアからも、とりあえず2年間、大学院で学ぶつもりで入りなさいと言ってもらい、それならばと思い入社しました。「2年間学ぶつもりで、その後は辞めてもいいから」というのは日本の企業では考えにくいことだと思いますが、アクセンチュアはそういう会社でした。

また、大学院にははじめから行こうと思っていました。

アメリカの学生は学生時代にものすごく勉強します。将来を考え、科学者になろう、弁護士になろう、ベンチャーを起こそうなどと強い目的意識を持って学んでいます。そうした風潮の中、法学部だった私は、大学院はビジネススクールに絞って考えていました。

さて、80年代の日本はバブルの最盛期でした。そのころは金融業界のクライアントが多く、将来は金融の分野に進みたいと思っていました。コツコツとものを作るのもいいが、「これからは金融」と思っていたわけです。

そして留学を決め、89年にアクセンチュアを退社し、コロンビア大学のMBAに進学しました。

2. 現在の仕事(アクセンチュアについて)

当時の日本は、会計事務所に150人程度、コンサルティング部門に70人程、全社で200人ちょっとの会社でした。
その後2000年に上場し、今は日本で5000人以上、グローバルで25万人近い人が働く会社になっています。
30年この会社に勤めているわけですが、当初2年で辞めるはずでした(笑)。そうならなかったのは、会社が成長を続けていて、やりたいことが次々に出てきたためです。やりたいこととそれを実現できる環境が社内にあったので辞める必要がなかったというのが実態です。

MBA卒業時も、実はアクセンチュアに戻るつもりはありませんでした。当時金融業に関心が高かったので、サマーインターンでは大手外資金融で働き、オファーももらえたのでそこに行くつもりでした。
ところが人生とは面白いもので、たまたま新橋駅でアクセンチュアの当時の社長に会い、私がMBA留学中とも知らなかった社長から、「MBA留学しているならちょうどいい。戦略コンサルティング部門を立ち上げるから、戻ったらやらないか?」といわれ、結局他社を断って戻ることにしました。戻る際の条件もかなり配慮してもらえました。

話を戻すと、3-4年ごとに常に新しい分野にチャレンジできる環境があり、会社とともに成長できたので、結果的にアクセンチュアで働き続けています。
皆さんの中には留学を終えた後に転職される方が多いかもしれませんが、こんなキャリアパスもあるのかなと思っています。

今現在のアクセンチュアの話もしますと、1.経営コンサルティング、2.テクノロジー(システム)、3.アウトソーシング の3つの部門があります。特に最近はアウトソーシングが重要になってきています。
近年、企業が押し進めている主な戦略には、「グローバリゼーション」のほかに「アセット・ライト戦略:できるだけ資産を少なく身軽にする戦略」というものがあります。

会社の持つ資産で一番重要なもの、宝でもある一方重荷にもなってしまう資産は、「人」です。
その「人」を、自社ですべて抱えるのではなく、コアな業務を除いては部門ごと社外に出し、あるいはコアな業務であっても時に一部を外部に出し、パートナーシップを結んで柔軟に対応するという企業が増えてきています。
その中でアクセンチュアは、提案だけでなく、時にお客さまと一緒に実行し、あるいはリスクを取って「人も」引き受け、場合によっては成果報酬型でコンサルティングを行うというように変化してきています。

コンサルティング業界は、今、大きく二極化しているといえます。
一つは戦略に特化して行うようなブティック型のコンサルティングと、そしてもう一つは、アクセンチュアのような総合系、というよりはリスクを取って成果をお客様と分かち合うタイプ、事業会社型のコンサルティングです。
アクセンチュアはパートナーシップの会社から上場企業へと変わり、事業会社としてリスクを取れるようにしたともいえます。

皆さんが務める組織を選ぶときの選択肢としては、日系企業か外資系企業か、ベンチャー企業か大企業か、パートナーシップの会社か上場会社かなど、いろいろあります。それぞれ異なるメリット・デメリットがあるので、自分に合った企業をしっかりと見極めたほうがよいと思います。特に、外国には割と多いパートナーシップの企業と、上場している企業とでは、株主からのプレッシャーなどまったく違います。

アクセンチュアも最初の20年はパートナーシップの企業でしたが、ある意味ではファミリーのような甘いところがありました。一方、お客様企業のほとんどは上場企業であり、経営者は3ヶ月ごとに業績をチェックされ、厳しい投資家の目にさらされるわけです。そういったお客様へのコンサルティングをしている中、上場企業として株主からのプレッシャーの下で経営をしたことがないというのでは、コンサルティングが机上の空論に終わってしまう可能性もありますし、それがコンプレックスにもなっていました。その意味においても、アクセンチュアが上場企業になり、それを経験できるようになったというのはよかったと思っています。

皆さんも、そんな観点での選び方もあるということで頭にとめて置いていただきたいと思います。

コンサルティングの仕事は、本当に面白いです。毎日、新聞を読んでいても、楽しくてしょうがない。 トップページから社会面まで、クライアントに関係すること、ライバルの話、驚くようなM&A、新たなビジネスチャンス、自分たちがやったことが成果につながった話など、日々の仕事でかかわりのあること、その中で驚いたりわくわくしたりする記事がたくさんあり、本当に読んでいて楽しいです。コンサルティングはそんな面白い仕事でもあるので、卒業後、何人かでも来ていただけたらなと思います。

3. ビジネススクールでの収穫

ビジネススクールの収穫についてもお話をしたいと思います。
皆さんこれから自己投資をして留学をされるわけですから、その収穫についてもデザインをしていただくとよいと思います。私もそこまでデザインできていたわけではないかもしれませんが、振り返ってみて収穫を得られたことを参考までにお話します。

  • 共通言語の習得
    世界の共通言語である英語、それもいろいろな訛りのあるブロークンな英語を理解して、話せるようになったこと。そして、ファイナンス・数字です。徹底的に数字で議論できるようになったというのも収穫です。
  • ディスカッションの仕方
    日本人は、言語の問題だけでなく、ディスカッションの場で質問もしないししゃべらないという傾向がどうしても出てしまいます。それではダメで、やはりマルチナショナルな環境でリーダーシップをとり、ディスカッションをして物事を決めていく必要があります。そのいい訓練になるというのは間違いありません。
  • 様々な分野の方との出会い
    私が留学したニューヨークは特に有名な人たちが行きかう場所であり、いろいろな政治家、財界の方々などと会うチャンスがありました。国連の事務総長や竹下元首相、デミング博士など、様々な分野のトップの方と会う機会が豊富にありました。皆さん、N.Y.以外に留学される方もたくさんいると思いますが、それでもビジネススクールにいると普段会えない人に会えるチャンスは多いと思います。それはぜひフル活用してください。

4. もっとやればよかったこと

一方、今思えばもっとやればよかったなと思っていることもあります。きっと参考になると思い、お話します。

  • ほかの学部の授業の受講
    たとえば、コロンビア大学では通称SIPAといわれる国際関係の学部やロースクールなど、いろいろなコースがあります。それを一つも受けていなかったのが、今思うと心残りです。人脈作りも含め、ほかの学部の授業をもぜひ受けてみてください。
  • エクスチェンジ・プログラム
    1990年というのはまだアメリカが主役の時代でしたが、他国MBAとのエクスチェンジ・プログラムはありました。今はさらに新興国にも広がり、エクスチェンジ・プログラムとして様々な国で学ぶ機会があります。
    現在は、GDPの成長額でみると新興国が先進国(G20)を超えるほどになっています。そうした状況を考えるに、アジアをはじめとする欧米以外の新興国へエクスチェンジ・プログラムを使って行ってみるというのは良い経験になると思いますし、行くべきだと思います。
  • 第3外国語の習得
    日本語と英語以外、留学中にもうひとつ言葉を覚えればよかったと思います。私は、50歳になった頃から中国語を勉強し始めていますが、この年になるとなかなか覚えられません。留学当時も、統計にしろ何にしろなかなか覚えられず「記憶力が悪くなったな」とショックを受けた覚えがありますが、今はさらに記憶力が衰え、その時の5倍10倍のショックを受けています(笑)。
    世界のトップエリートは、3カ国語4カ国語を当たり前に話します。実は5-6年前、某韓国財閥企業のマネジメントに就いている方にお会いしたとき、55-56歳くらいにして新たに中国語を勉強されていると聞いて驚きました。すでに日本語は達者で、英語に、もちろん韓国語も話される方が、「これからは中国だ」といって新たに中国語を学ばれていました。日本の50代60代の現役の経営者でも、新たに語学を学ぼうとチャレンジしている方はなかなかいらっしゃらないと思いますので、本当にすごいなと感心しました。それで私も50ながらにして中国語にチャレンジしようと思ったわけです。
    もちろん、英語を極めて世界中で英語でビジネスをするというのも一つの考え方ですが、韓国をはじめとした世界・アジアのトップエリートはアグレッシブに3カ国語4カ国語を学んでいますので、中国語やスペイン語などこれからの発展が期待される地域の言語など、留学中に学んでみるのも良いと思います。
  • アートへの接触
    N.Y. は、経済界だけでなく、世界中からアーティストが集まる街でもあります。古典、リベラルアーツなど、さまざまな領域のアートに触れる機会があります。こうしたアートにはもっと触れておくべきでした。
    だいたい50―60歳になるとクラシックが好きになるなど、アートの世界に惹かれてきます。多くのマネジメント層やリーダー達も、こうしたアートの話を好んでするようになります。
    極端な話、ビジネススクールで学んだことの9割は直接的には使わないし、忘れてしまう部分もありますが、アートの話は本当によく使います。そうしたビジネス以外のものにも触れる環境にあるのなら、せっかくなので貪欲に学び、吸収してほしいです。

5. 皆さんへの期待 ― グローバル化の先導役

アクセンチュアはグローバル企業ですが、日本においてのお客様の多くは日本の企業です。 その日本の企業においては、今またグローバル化というのがテーマになっています。

このグローバリゼーション、第四波なのか第五波なのか定義にもよりますが、今起きているのは、「グローバル展開を進める中で、日本の本社が、人件費のコスト高などで重荷になっている」という問題です。 製造も海外に出て、世界の競合と海外市場で闘うようになっていても、基本的に日本語しか話せない日本の本社の社員が、半年功序列、半終身雇用という守られた状況で大きな人件費を占めることになっていて、組織の足かせになってしまっているのです。
そして、課題として一番大きいといわれているのが、「グローバル化を進める人材の確保と育成」です。 まさしくMBAをはじめとして海外留学される皆さんが、このニーズにミートする人材となるわけです。 ただ、今度はそうした企業が日本人だけでなく全世界からグローバル人材を採用しようとしますので、そういう視点で競争していかなくてはならないということにもなります。

これから留学される皆さんには、是非こうした状況を理解されて、グローバル人材として活躍されるようになってほしいと思います。

では、グローバル人材にどういったことが期待されるのか、リーダーの条件とはどんなものなのか、私個人の視点ですがお話しします。

コミュニケーション力、柔軟性、プロフェッショナル力等基本的な能力が必要なのはもちろんですが、次の3つはとても大切な条件だと個人的に考えています。

  1. Individualized MACRO View – 独自の大局観
    世界中の経済が連動しまた多極化している中、経済・文化・教育等々、広い視野や様々な視点で物事をみることがとても大切になっています。
  2. Enjoy risk-taking – リスクを楽しめる性格
    皆さん、私費を投じてMBA等留学をされるわけですから、リスクを取っていると言えると思います。しかし、リスクは取るだけでなく楽しめないと長続きしません。逆に楽しめるといろいろできるし、成果につなげられます。
  3. Passion – 思い・熱意
    グローバル・リーダーの多くは、強い思い・パッションを持っています。特にアジアの方々はすごいエネルギーとパッションを持って仕事に臨んでいるので、リーダーがパッションを持っていないと尊敬もされないし、リーダーシップを取れません。冷静に、大局観を持ちつつも熱い思いを持っている必要があります。

経営層、マネジメントリーダーを目指す方は、こういったことを学び、身につけていってほしいと思います。

また、グローバル・リーダーに限らず重要なことというのもあると思います。 そうしたことについて、私が個人的に気をつけていることを最後にお話しします。

  • Timing (Every 3year)
    3年ごとに、1)この3年でどれくらい成長できたか、2)これから3年いたら、もっと成長できるか、3)今の自分のマーケットバリューはどれくらいか、を点検するようにしています。
  • Design & Stretch
    自分の能力を分解し、それぞれについてちょっとストレッチした目標を設定し、それを達成していくようなデザインをしています。例えばですが、お客様を何社持てるかとか、財界でどのような立場に就けるかなど、大きすぎない届く範囲で、常にストレッチをすることを意識しています。
  • Network & Connecting Dots
    経営者になって一番差が出るのは、「何人に信頼されているか」とか「信頼してくれている人の人脈・ネットワークをどれくらい構築しているか」だと思います。私が会社の仕事以外にもう一つやってきたのは、異業種交流会に徹底的に参加することです。大学もアメリカで、日本での人脈がなかったので、これは徹底してやりました。

ビジネスにおいて最終的に大事になるのは、信用です。「信用している友達が信用している人」は、信用するものです。経営者も皆さんと同じで、最後は信用や好き嫌いで判断します。コンサルティングでどんなに良い提案をしたとしても、信用されていない、あるいは嫌われていたら仕事は頂けません。これは日本の企業だけでなく、グローバル企業も同じで、上に行けばいくほど、ビジネスは信用・信頼をベースに成り立っているものです。

そして、これから皆さんはいろいろな岐路に立ち、意思決定をされることがあると思います。その時に思い出してほしいのが、スティーブ・ジョブスのスピーチで言われていた”Connecting Dots” です。

「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない。君たちにできるのは過去を振り返ってつなげることだけなんだ。だから点と点がいつか何らかの形でつながると信じなければならない。自分の根性、運命、人生、カルマ、なんでもいいから、とにかく信じるのです。歩む道のどこかで点と点がつながると信じれば、自信を持って思うままに生きることができます。たとえ人と違う道を歩んでも、信じることがすべてを変えてくれるのです。」

皆さんも、今回何かを信じ、留学という意思決定をされたわけです。これからも、自分のやってきたことは必ず役に立つと信じて、できるだけ多くの点を創って繋げていただき、よいキャリアを創っていただきたいと思います。

質疑応答(一部抜粋)

異業種交流のコツ、信頼関係を創るコツは?

計算してできるものではないのですが、強いて言うと、自分なりの何か特徴を持っていることだと思います。それと、自分が持っていないものを持つ人と接すること。
例えば、異業種交流会からさらに勉強会を作ろうという発展をしたりするのですが、その時に声をかけてもらえるかどうかが大事です。私は、自らがベンチャーや金融など、自分が詳しくない業界の人たちとあえて交流するようにしていました。すると、私も知らない世界のことを学べるし、相手も自分のあまり知らない大企業の話などに関心を持ってくれて、いろいろ誘ってくれるようになります。
あとは、リーダーシップをとって、「こいつえらくなりそうだな」と思ってもらうことかもしれません(笑)。

日本人が海外に行って認められるようになるために気をつけることは?

一般的に日本人は、「何を考えているかわからない」と思われがちです。それをひっくり返さないといけないので、黙っていないで話すこと。後は目を見てしっかりとコミュニケーションをとることなど、基本的なことをしっかりすることだと思います。
また、いろいろと対立がある中で、自分のスタンスをしっかりとることも大切です。リーダーシップを取ろうと思うならしっかりと仕切らなければならないし、接着剤になろうと思うならしっかり仲裁をしなければならない。
日本人は、中立で良識があると思われているところもあるし、いいところもたくさんあるので、黙っていないで話すこと、コミュニケーションの基本をしっかりすることで認められるようになると思います。

日本企業のプレゼンスを上げるために1点だけ変えるとしたら?

この20年で日本の変革を遅らせた一番の要因は、雇用の問題だと思います。つまり、人をレイオフできないという問題です。多くの人が、年齢が高くなるにつれて守りに入り、バツがつかないようにすることばかり考えるようになってしまっていす。そして企業がそういう人を抱えてしまう。これを変えて、もっと人が自由に動けるようにした方がよいと思います。もっと雇用の流動性を高めていけば、日本の企業も変わり、また競争力も出てくると思います。

MBAを持っている人といない人で差を感じるか?

アクセンチュアでいうと、少し違いはあるように感じます。ただ、金融業界にいるとあまり関係ないと感じるかもしれません。あるいは、会社の中の仕事や業務に限ってしまえばそれほど違いはないのかもしれませんね。
私の場合、勉強したことの95%は使っていないのですが、そこで得た大局観とか考え方はとても役に立っています。いろいろなフレームワークで物事を仕分けする能力は少し身についているのだと思います。だからこそ、最初にお話ししたように、MBA以外のことももっと学んでおけばよかったということにつながるのだと思います。

ジョブフェアに参加して~参加者の声~

  • 各社ブースで、十分に話す時間をとってもらえ、素朴な疑問から尋ねることができてよかった。
  • しっかりと時間が取れ話が聞けたのが良かったです。
  • MBA採用を行っている企業の話を効率的に聞けてよかった。ブースは個人が具体的に質問をするにはいいが、全体像はつかみにくいので、全企業がプレゼンをすればもっと良かったと思う。
  • いろいろな会社の話を効率的に聞けたので、大変有意義でした。人数とのバランスも良かったと思います。
  • 金融、コンサルが充実しており良かったです。
  • 様々なお話を伺うことができ、有意義だった。
  • とても面白かったです。ありがとうございました。
  • 名前は知っていても、事業の中身を知らなかった会社についての情報を得たことが良かった。コンサル各社で微妙に違うところを知れて良かった。
  • 多くの企業様が参加され、非常に有意義だった。ブースでの経験談を伺うことができ、参考になった。
  • 様々な企業が来ていて良かったです。
  • 積極的なアプローチが重要なんだということを再認識させられました。
  • コンサルや投資銀行は、個別の壮行会を行っているところが多いが、この会では事業会社が多く、非常に有意義だった。
  • 個別で話を聞くことができたので、非常に良かったです。
  • 凄くビッグネームの企業が多くて大変役立った。
  • 今後のキャリアの幅を広げる良いきっかけになった。
  • 20分間のプレゼンテーションが役に立ちました。長すぎず、短すぎず、企業が何を行っているのかが分かった。個別のブースは企業によってやる気が伝わってこないところがあった。
  • 卒業後のイメージが具体化できて有意義だった。

参加者の皆様から、来年参加される後輩へのメッセージ

  • 参加すべきです。
  • ぜひ参加して、卒業後に向けて聞くべきことを確認すべきと思う。
  • 早期に就活(企業を知る)を始めたほうが、ネットワークが早く築ける。
  • できるだけ多くのブースをまわることが重要だと思います。
  • 説明してくれる方のバックグラウンド等、具体的、個人的質問ができるチャンスだと思います。
  • ぜひジョブフェアを積極的に参加して、サマーインターンやフルタイムの採用の獲得だけではなく、MBAへのモチベーションを上げて留学先に旅立って欲しいと思います。
  • 絶対に参加するべき!

以前のジョブフェア参加者からのメッセージ~

  • 想定外の企業と出会い、インターンシップを受けることができました。その後フルタイムのインタビューを受け、結果としてその会社に入社することに決めました。留学は単なる夢ではなく、ビジネスの現実をしっかり理解し、自分の中の「価値観」を磨くことであると渡航前のタイミングで気付けたことが、ジョブフェアに参加した何よりの収穫だったと思います。
  • 外資系企業の求める人材、コンサルタント会社が求める人材がどのようなものなのか、しっかり留学前に知ることができて気合いが入りました。その「目線の高さ」を理解することができ、留学期間中の励みになったと思います。モチベーションを高く持ち続けられたこともあり、卒業後には志望していた外資系戦略コンサルティングファームでオファーを頂くことができました。ですが、入社がゴールではないので、常に「目線の高さ」を維持・向上できるようにしたいと思っています。
  • 多くの採用ご担当者は、金融であれ事業会社であれ、売り手市場となっても、やはり能力やスキルだけでは計れない、より優秀な人材を求めていることが良く分かりました。売り手市場と高をくくっていた自分の認識の甘さに気付かされました。就職活動・インタビューが本格的に始まる2年生の秋までに、真剣に自分の希望を理解しておくこと、そして自分なりのキャリアの考え・プランを持つ必要があることを知りました。MBAならどんな業界でも可能性があるという曖昧な話ではなく「この会社ならこんな人を求めている」という企業の本音を知ることが現実を知る第一歩だと思います。
  • もっと多数の企業の本音を知りたかったです。しかし、日本ではまだまだMBAらしいキャリアパスを提供可能な企業が少ないことを理解できました。このようなイベントが盛んになり、MBAを理解している企業の参加をもっと呼び掛けてほしいと後輩の方たちのためにも希望します。海外に留学してしまうと、どうしても日本の市場の変化を細かく知ることは難しく、現地に行く前に企業の生の声を聞けたことで、留学中の活動パターンを立てられたのは良かったです。
  • 自分以外のMBA合格者(つまり競争相手)が、どのような業界を希望しているのかを知ることができました。他の人と同じキャリアパターンを選択することは、逆に非常にリスキーだと考えており、採用企業の情報はもちろんのこと、同期のMBAたちの動向を自分の目で見られたのは有意義でした。

渡航前のお忙しい中、貴重なお時間を割いてご参加いただきました皆様に心より御礼申し上げます。 今回のジョブフェアの内容が、これからの皆様の展望を実現させるために、少しでもお役に立つことを願ってやみません。
アンケートにご協力頂きました皆様のお声を大切にし、今後の運営に反映させていただきます。
皆様お一人おひとりの留学生活が充実したものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

株式会社アクシアム スタッフ一同

講演者/パネリスト 略歴

アクセンチュア株式会社 代表取締役社長
程 近智(ほど ちかとも)氏 プロフィール
程 近智氏 プロフィール【学歴】
程 近智(ほど ちかとも)氏
1982年 米国スタンフォード大学工学部 卒業
1991年 米国コロンビア大学経営大学院(MBA) 卒業
 
【職歴】
1982年 アクセンチュア株式会社 入社
1987年 同社 マネジャー
1989年 米国コロンビア大学経営大学院留学
1991年 アクセンチュア株式会社
シニア・マネジャーとして復職
1995年 同社 パートナーに就任
2000年10月 同社 戦略グループ統括パートナー
2001年 6月 同社 戦略グループ統括パートナー 兼 通信・ハイテク本部 通信業統括パートナー
2003年 9月 同社 通信・ハイテク本部 統括本部長
2005年 9月 代表取締役に就任
2006年 4月 代表取締役社長 兼 通信・ハイテク本部 統括本部長に就任
2008年 9月 代表取締役社長
現任に加えて、2009年6月‐2010年12月の間、グローバル経営会議メンバーを兼務
 
大手企業、ベンチャー、省庁などの様々な規模と、通信、ハイテク、製造・流通、金融、化学、公共サービスと幅広い分野における、戦略立案、M&A、アウトソーシングプロジェクト等、70社以上の担当経験をもつ。
 
・上智大学非常勤講師(2000年~)
・東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム外部講師(2008年~)
・早稲田大学客員教授(2010年~)
・経済同友会幹事

お問い合わせ

本イベントについてのお問い合わせは、下記連絡先までお願いいたします。

株式会社アクシアム イベント事務局
Email:event@axiom.co.jp