転職コラム転職市場の明日をよめ

四半期ごとにお届けする転職市場動向。アクシアム代表・キャリアコンサルタントの渡邊光章が、日々感じる潮流を独自の視点で分析しています。

1997年 1月~3月 
1997.01.15

労働市場元年 人を起こし、業を起こす

4月から人材紹介業規制緩和

起業とは業を起こすと書くが、同時に人を起こす事でもあります。
教育機関や政策、企業等もこれらを人材育成、キャリア開発と称して検討していますが、当てには出来ません。機会を得られれば良いのですが、待つだけでは何も変りません。

  • 機会を自ら創造しましょう。
  • 選択し、行動しましょう。
  • 夢を見ないで、夢を実行しましょう。
  • 夢は人の出会いから生まれます。
  • まず自分で起きてみて下さい。
  • 起きて行動すれば、夢を実行すれば、また沢山の事が起きます。
  • 業はこうして起きてきます。
  • 会社の中でも、自分一人でも、すべて社会の中で起きる事です。

97年、アクシアムはあなたが起きる時、最大限のお手伝いをします。

さて4月から人材紹介業の規制が緩和されます。具体的には経営管理者、科学技術者など29種類の紹介職種が一部を除き紹介自由となります。今迄できなかったが、これからできる事として以下の様な方の展職相談を、許認可事業ではありますが、お手伝いができるようになる見込みです(平成9年1月現在)。そうなればインターネットによる相談の窓口も多くの人々を対象としてぐっと拡がります。

アクシアムでは、4月迄に一人でも多くの方とじっくりと個別相談をしておきたいと思います。

1)営業職

営業に自信のある方、これは不思議ですが、今迄は経営管理者として紹介出来ませんでした。労働市場に於いてこの職域の求人が一番多いのです。20代でも構いません。営業職こそ年令に関係なく経験がものを言います。製造業、非製造業、何れのキャリアコンサルティングでもお任せ下さい。

2)コンサルタント

不思議な事にこの領域も今迄は紹介出来ませんでした。システムコンサルタントを科学技術とみなす変な国になりそうな状態でした。経営コンサルタントは経営管理能力を有していない事、となるような判断もされかねない状態でした。多彩な領域の人材が求められます。専門性を有しておられればアソシエイトでも、コンサルタントでも、プリンシパルでも結構です。

3)税理士、公認会計士

これも不思議な話ですが、決して会計事務所や税理士事務所にだけおられる訳ではなく、事業会社にも金融機関にも勤めておられる方がいます。税務会計から財務会計に重心が移り、国際会計が重視され、インフォメーションテクノロジーが必須となる現在、より優れた人材がより優れた環境を選びます。

4)インターネット関連、デジタル関連新職種

リサーチャー、編集長、管理職、マーケティイング担当、様々な職業が生まれます。

5)担当部課長よりスタッフ、マネジャー。社長より代表取締役パートナー。

ネットワーク社会における企業組織は大企業、ベンチャーなどサイズや歴史に関係なく、タイトルがなくなり、フラットな組織構造となります。SOHO等が発達し、マーケットアウト、カスタマーインの発想が自由活達に普及する中、20代でスタッフ、30代でマネジャー、35才以降でパートナーとなるほど自己の能力開発にスピードが要求されます。日本の大手商社でも30代で現地の副社長になってしまいます。これらどのレベルでも異業種への転身が増える事が予想されます。職能がより重要になり、また職責も同時に拡大する力が求められます。要は、自分の仕事をこなせる人がスタッフ、人の仕事もプロジェクトとしてリードできる人がーマネジャー、会社をリードできる人がパートナーです。

ただしパートナーをゴールにする人は、役員損害賠償等の危険もあり、少なくなると言われています。ましてや起業となれば更にリスクが高くなります。しかしながら、リスクに対する報酬は現金だけではなく、これからはストックオプションやインセンティブワラント等、選択幅が広がっていく事でしょう。資産や資本をご自分で獲得できるようにしましょう。そんな事まで考える時代になりました。年齢が若い程、これらを知る事は有利です。一般的に多くの外資系で、定年が65才である事はあまり知られていません。また退職金以外に、ストックオプションの行使により充分な報酬を獲得できる事もあまり知られていません。ですから早期退職プログラムの場合でも、退職金以外に充分な報酬を合理的に受け取る事ができます。外資系は一般消費財メーカーでも投資銀行でもこのストックオプションがかなりの動機付けと組織への従属性を維持しています。日本のベンチャーでもこの辺りの導入が進んでいます。展職相談、職業紹介の際に、これら新しい報酬制度に付いても提案できるキャリアコンサルタントが必要です。最近ようやく職業紹介に先立つキャリア相談の必要性が言われ始めました。アクシアムでは創業時から他に先駆けて新規産業の動向に重点を置き、若い感性で全ての年齢層の方を対象にキャリアデザインの相談ができます。

規制緩和は、雇用側、被雇用側双方に大きな責任をもたらす事になるでしょう。人材紹介業者が首きりコンサルタントとなる場合もあります。この辺り充分注意が必要です。企業側だけを向いている人材紹介会社やコンサルタントはちょっと気をつければすぐに判ります(見分け方をキャリアデザインセミナーでも紹介しています)。富と人材が成長産業に集中してしまうと警告を出す人がいますが、成長しない企業に人材が集中してしまう現在の状態の方が問題です。大失業時代の中で、適材、適所、に加えて「適時」を考慮し、ご自分にあったキャリアプランを実行しましょう。

起業家、起業に参画できる人材の育成、人材の流動化に関わる事業の多様化、そして長期報酬制度の導入と活用が、一度に行われる年が1997年です。

(それでも大学新卒には有料職業紹介できませんので、新卒の方向けのページや、求人情報を参考にして下さい。22才の高卒の営業マンは紹介可能です。まだ不思議は残りますね。)

労働市場元年ともいうべき年が1997年です。労働基準法が1947年に施行されて半世紀が経過し、次の世紀に向け動き始めました。

概況

96年11月の有効求人倍率は0.65倍で93年4月以来の水準に回復。

関連情報

コンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)