転職コラム転職市場の明日をよめ

四半期ごとにお届けする転職市場動向。アクシアム代表・キャリアコンサルタントの渡邊光章が、日々感じる潮流を独自の視点で分析しています。

2004年 1月~3月 
2004.01.10

日本のキャリアを元気に

前回のジョブマーケット情報でご案内した通り、財務省が12月に発表した景気予測調査の結果によれば、2004年3月末には中堅企業の雇用が「不足気味」超に転じる見通しとなっています。実際、有効求人倍率も継続的に高まっており、この調査結果を裏付けるような求人が最近では増えています。

以前は外資系企業やベンチャー企業でしか、スカウトタイプの求人依頼はなかったのですが、この半年を振り返ってみると、これらのセグメント以外からもスカウトタイプの求人が出てきています。例えば、NPO法人、二部上場企業。公開後も更に拡大している成長ベンチャー、一部上場企業の新規投資事業等、これまでとは異なった領域での求人が始まっており、求人案件が多様化してきています。

このような市場の変化を捉えておけば、きっと新しいキャリアを見つけることができるはずなのですが、皆さんがこれらの求人案件を見つけることは決して容易ではありません。何故ならば、これらの案件は『スタッフ求人』ではなく、『キャリア採用』、『幹部採用』となるため、求人誌や求人企業のホームページにも掲載、開示されていないものが多いからです。つまりこれらの求人は機密性が高く、例えサイトで掲載されていても、その情報にアクセスすることができる個人は極めて限られているからだと言えるでしょう。

また、昨年ぐらいから起きている傾向としては、職を失ってから求職活動する方の再就職時の報酬が極めて低くなっていることが挙げられます。現職での報酬は、企業が報酬を提示する際に極めて強く影響します。職を失って現職報酬が0(ゼロ)になってからではなく、職についている時にこそ、真剣にキャリアを長期に考えてみてください。求人が多くなってきたということを喜ぶのではなく、求人需要の中身をしっかりと把握することが重要です。ほとんどのケースにおいて、過去のキャリアやスキルを生かす仕事を探すことに終始してしまい、今後の展望を合致させることができずに見つからないとか、年収が合わないということで、ミスマッチしているケースがまだまだ多いのが現状なのです。

過去の製品が売れなくなっても、今後も売り続けたいと願望を持ち続けている経営者のような発想では、その方のキャリアの先行きは暗いと言わざるを得ません。現実を直視することが何よりも重要なのです。

そんな中でも、心からやり遂げたい仕事に出会った時、人は必ず元気になります。日本のキャリアを元気にするためにも、また、皆さんが元気になれるように、アクシアムは今年も皆さんの展職活動を応援して行きます。

関連情報

コンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)