転職コラム注目企業インタビュー

株式会社 経営共創基盤2015.11.25

「ハンズオン型コンサルティング」を標榜するコンサルティングファームは数多くありますが、経営共創基盤のパートナーである冨山和彦氏は、同社が掲げるハンズオン型経営支援は「他とはまったく違う」と断言します。現実の経営に関わる“マネジメント・プロフェッショナル”の仕事とは、どのようなものなのでしょうか。また、同社が求めるのはどのような人材なのでしょうか。経営共創基盤のパートナー代表取締役CEOの冨山和彦氏、パートナー取締役マネージングディレクターの塩野誠氏、マネジャーの富岡さやか氏にお話をうかがいました。 (インタビュアー アクシアム 渡邊光章) [掲載日:2015/11/26]

株式会社 経営共創基盤

「ハンズオン」とは当事者として関わること

渡邊

経営共創基盤(以下、IGPI)はその特色として「常駐協業(ハンズオン)型成長支援」を掲げていらっしゃいます。しかし、昨今では様々なコンサルティングファームが同様に「ハンズオン型」をうたっています。貴社と他のコンサルティングファームとの違いは、どのあたりにあるとお考えですか?

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冨山氏

決定的な違いがあります。喩えるなら「サッカーの試合でピッチに立つ11人のうちの1人となるのか、11人を外から応援するだけの立場でいるのか」の違いです。選手の1人としてプレーすれば、ミスをする可能性もあります。そのために試合に負けてしまうこともあり、その責任を負うことになります。グラウンドの外から見守るだけであれば、試合展開に直接影響を及ぼすこともなければ、勝敗に責任を負うこともありません。我々がいう「ハンズオン型」とは、まさに選手の1人となってプレーするスタイルを指しています。その現場に当事者として関わるのか、限りなく当事者に近い形で関わるのかは、似ているようでいて大きな違いがありますよね。

渡邊

コンサルタントというよりは、経営者の集団なんですね。

冨山氏

といっても、単なる事業経営者というわけでもありません。試合が重大な局面をむかえ、通常のメンバーでは対応できないとなった場合に交替要因として出場する、いわばスーパーサブのような存在。我々のところに持ち込まれる案件は、事業が緊急の状況にある時に“助っ人”“ピンチヒッター”として経営に関わるものが多く、平時の経営を知っているだけでは務まりません。我々はこれまで、そうした極限状況、修羅場を数多く経験してきています。ですから修羅場での熟練度が高いというか、ビジネスの重大な局面でどう動いたらいいのか、という経験則を他社よりも多く持ちあわせているのです。

渡邊

緊急時にかけつける、消防士や外科医のような存在でしょうか。

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冨山氏

そうですね。ただ、極限状況、修羅場といっても、そこにはピンチだけではなくチャンスもあります。そもそもピンチは最大のチャンスですし、市場環境が変わり「新しい事業をスピーディに起ち上げたいが、今までの経営メンバーだけでは足りない」といった場合に、スキルも経験も豊富な“チャンスヒッター”を送りこんでホームランを打たせる、といったことも行っています。いずれにしても、「本気で事業推進に関わる」上では、こちら側も生きるか死ぬか、それなりのリスクを負う覚悟を見せなければ立ち行きません。そのため、時には常勤役員を送り込み、資本参加という形で自ら経済的なリスクを取って経営に参画するなど、協業のような形での実行支援を行うこともあります。社内では、これを「根性見せ出資」「根性見せ経営者派遣」などと呼んだりしています(笑)。弊社の資本金額が大きいのも、そのためにあるのです。

渡邊

「根性見せ出資」というのはネーミングからして気合が感じられますね!

冨山氏

もちろん、顧客企業の内部で問題を解決できることが理想ですので、すべての案件で当事者となって経営に参画する、というわけではありません。しかし、事業推進の立案と実行支援を行いつつ、必要とあらばいつでも現場に飛び込んで意思決定・実行に携わる「選手兼監督」をやるというのが、我々の関わり方です。

経営のプロ“マネジメント・プロフェッショナル”とは

渡邊

IGPIのコンサルタントの方々は、どんな思いで働いていらっしゃるのですか?

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塩野氏

他に適当な用語がないので“コンサルタント”と称していますが、そもそも我々はコンサルタントではなく、経営のプロ=“マネジメント・プロフェッショナル”である、という認識でいます。

その思いは、創業メンバーが社名に「基盤」と付けたように「我々は経営人材を輩出する基盤、プラットフォームである」というところにあります。弊社を卒業あるいは退職した人の中で、他のコンサルティングファームへ次々と移り、コンサルティング業界を渡り歩いているという人は、ほぼいません。事業会社の経営人材になったり、起業したりと、その多くが経営者になっています。そこにも我々の思いが表れているのではないでしょうか。

そういう意味では、“マネジメント・プロフェッショナル”の仕事はコンサルティング、アドバイザリー業界の最終形といってもいいのかもしれません。いわゆる“戦略系コンサルタント”とはまるで違うのです。

渡邊

具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

塩野氏

いわゆる“戦略系コンサルタント”は、いきなり事業会社に役員として送り込まれたとしても、リアルな経営の現場では対応できません。取締役会でどう動いたらいいのか、会社法やバランスシートはどう読んだらいいのか、経験がなければ分からないからです。弊社では全員が“マネジメント・プロフェッショナル”である、という意識で現場に入り込んで働いています。先日も20代のアソシエイトを投資先企業の取締役として送り込んだばかりです。30代で上場企業の社外取締役を担っている人もいます。

渡邊

20代のアソシエイトが取締役として送り込まれているというのは、すごいことですね。ところで、貴社には日本企業の再生案件が多く集まっている印象があります。やはり、「日本企業への支援を通して、日本という国を良くしていこう」といった思いがおありなのですか?

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冨山氏

特別愛国的な思いがあって仕事をしているわけではありません。ただ、ある企業の活動を良くしようとすることは、その企業が社会で果たしている役割をきちんと担えるよう改善することであり、それが結果的に社会を良くすることにつながる、という考えでいます。企業活動を持続させるためには、基盤となる収益力が高いということが前提です。バス会社であれば、バス事業でしっかりと収益が上げられないと、新しいバスを買うことも料金を下げることもできません。過疎化が進む地域で、中山間部の路線を走らせ社会インフラとしての役割を果たすことも叶いません。このように、事業の持続性にこだわる我々のスタンスが、結果的に日本のために良いことをしている、というように見えているのでしょう。

IGPIで初めて見えた「経営のリアル」

渡邊

富岡様は新卒で大手外資系コンサルティングファームにご入社され、5年間勤務なさった後、IGPIに移っていらしたそうですね。前職とはどういった点が違いますか?

富岡氏

入社した当時は、弊社と他の戦略系コンサルティングファームとの違いがどこにあるのか、じつはよく分かっていませんでした。ですので、入社してしばらくは戸惑ってしまうことも。例えば、いきなりベンチャー企業に出向となったのですが、それまで契約書といえば「守秘義務契約書」と「コンサルティング契約書」の2種類しか見たことがなかったのに、いきなり投資契約書をはじめ経営に関わる契約を締結する必要があり、弁護士と打ち合わせをすることに。ほとんどのことを一から勉強してやっていきました。また、取締役会の機能、という知識はあっても実際の取締役会はどんなものか、決議はどうやってとるのか、など実際のところはまったく知らなかったのですが、ひとつひとつ経験を積んで乗り越えていきました。

渡邊

取締役会の裏工作、なんていう政治的なこともありますしね。

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富岡氏

そうですね。重要事項は取締役会ではなく、前日の夜中に決まっていた、などということもありますし、今まで見えていたものは経営の片面でしかなかったのだなとつくづく感じました。入社前は、外資戦略系コンサルタントとしての経験から「なんでもできる」と錯覚していたところがあったのですが、入社後は「自分ができると思っていた仕事と、実際の経営というものの大きさが全然違う」ということを身に染みて感じました。入社後、できることの幅は10倍、いや100倍でしょうか(笑)。考えられないくらいに広がったように思います。

冨山氏

こうしたことは、新卒でコンサルティングファームに入社する人の構造的な問題点ではないでしょうか。経営の一面は見えていても、本当の人間社会の闇は見えていないのです。しかしながら、現実の経営の世界では、ほとんどの意思決定は会議室の外で決まっているようなところがありますし、それがゲームの本質でもあったりします。しかし、コンサルティングファームしか知らない人は、どうしてもそうした部分が苦手。論理的に正しいことが言え、分析ができ、説得力がある、ということももちろん大切なのですが、それだけでは本質的な経営に携わっているとはいえないのです。そういう意味では、弊社で働けるかどうかは、現実の経営に関わる人間として役に立ちたいか、形而上的な世界で経営学に近い地平で経営に携わりたいのか、という志向性の問題なのかもしれません。

仕事内容は再生から事業創造まで

渡邊

貴社では、どのようなプロジェクトが多いのでしょうか。なにか特徴的な案件をご紹介いただけますか?

塩野氏

ベンチャー・大企業などの企業区分的にも、起業時・成長期・再生などフェーズ的にも、偏りなく様々な案件があります。業種も人工知能からバスまでありますしね。我々の強みは、どんな市場環境でも仕事があるところです。景気が良ければ新規事業案件の依頼が来ますし、景気が悪ければ再生案件の依頼が来ますので、景気にあまり左右されることがありません。

また、資本力があることで、商社に近いような仕事ができる、というのは他社にない特徴かもしれません。例えば、コンサルティングを行ううちに「どうやらこのマーケットにはニーズがありそうだ」ということが分かってきたとします。すると、その分野に強い企業に投資をするプライベート・エクイティ投資のようなこともできますし、投資先としてふさわしい企業がない場合は、会社を起ち上げてしまおう、といったことも可能なのです。

渡邊

事業創造もできてしまう、というわけですね。

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塩野氏

はい。それも、少人数でスピーディに起業することができますので、そういったところは面白いと思います。期間を限定せずに自己資本を投入できるため、必ずしも売却する必要はなく、一種のプリンシパル・インベストメントのような形で恒久的に事業を行うこともできます。バス会社などはその一例です。このように、単なるコンサルティングに留まらない非常にフレキシビリティのある会社です。

富岡氏

会社として本当に様々な案件を扱っていますので、個人としても色々な案件に関わることができます。私もこれまで、ベンチャー企業の立ち上げ、大企業の再生案件から新規事業立案、冨山の手伝いで地方創生の仕事など、様々な企業の様々なフェーズのプロジェクトに携わることができ、非常に勉強になっています。

IGPIが求める人材とは

渡邊

どんな方に来ていただきたいとお考えですか?

冨山氏

まずコンサルタントとしての基礎能力が高い方、というのは大前提ですね。しかし、それ以上にEQといいますか、泥臭い人間関係に強い人、多様性に満ちた人たちと関わりながら仕事をすることに興味があり、好きな人がいいですね。そういったことが苦でない方でないと、生々しい経営の仕事がストレスフルに感じられてしまうかもしれません。また、現実の経営の仕事には、戦略的なことだけではなく、日々の資金繰りから労務問題まで、非常に地味で細かい話がたくさん出てきます。そうした経営の森羅万象にも好奇心を持てる人がいいです。

あとは、とにかく経営に対するオーナーシップが強い人に来ていただきたいですね。我々の仕事は極端な話、どんな手を使っても勝てばいい、という側面があります。プレゼンが完璧、分析が完璧、といったところにオーナーシップを持っていても、それが勝つことにつながっていなければ、まったく意味がないのです。今期中に制度を変える、経営方針を変えさせる、誰かを辞任に追い込む…など、リアルな経営に関わる仕事は非常にストレスフルです。こういった苦しい仕事を進めて行くためには、何がなんでもやり遂げようとする責任感、経営に対するオーナーシップが強くないと、精神的に耐えられないのではないかと思います。もちろん、それだけの強いオーナーシップを持てるのには、社是でうたっている通り『自己利益、顧客の利益、社会的利益が一致しているプロジェクトだから』というところもあります。その点では、案件を受ける際に、担当者個人にとっても、顧客企業や投資先企業にとっても、社会的にも利益が一致しているということを、社内でしっかりと確認するようにしています。

渡邊

お2人は、どんな方に来ていただきたいと思っていらっしゃいますか?

富岡氏

自由な社風ですし、つらいことも楽しめる会社です。「ロールモデル」といった考え方もないので、型にはまることなく自分なりのやり方を試していくことができます。自分で決められる裁量も大きいので、それなりの責任は伴いますが、そこを楽しめる方にはやりがいもあり、きっと面白いと思いますよ。

塩野氏

実務プロフェッショナルでありながらもクリエイティブな仕事をしたい、という方に来ていただきたいですね。実務プロフェッショナルとして与えられたミッションをこなせるという部分は当然持っていていただきたいのですが、それだけでなく、弊社では、新しい領域で誰もやったことのないことをやれるような“ビジネス上のクリエイティビティ”が求められます。また、ビジネスだけでなく、冨山が手掛けているような公共セクターの仕事がしたい、という方にもぜひ来ていただきたいです。

冨山氏

我々のところには、現実的な公共政策に大きな影響を与える仕事がたくさんありますので、非常にやりがいがあると思います。また、公共セクターの仕事には、先ほどの話にもあったような、舞台裏で行われる生々しい駆け引き、工作のようなことが多々ありますので、そこでの経験は通常の企業に関する仕事にも非常に役立ちますし、力がつきます。ですから、若い方には積極的にそうした経験を積んでもらえるようにしています。

「アップ・オア・アウト」は、ありえない

渡邊

貴社の考えるダイバーシティとはどのようなものでしょうか?

07

富岡氏

ダイバーシティという意味では、非常にフラットな組織だと思います。国籍や性別などの違いについて意識することがまったくない位フラットですね。評価についても、男性だから女性だから、といった点を特に意識することはなく、非常にフェアに扱われている感じがあります。もちろん、育休制度や時短制度などは整っていて、男性も女性も取得できますし、実際に男性で時短を取って働いているイクメンもいます。女性社員はまだ1割程度と多くはありませんが、若い人を中心に増えてきています。30代でマネジメント職に就いている女性も何人かいます。私自身、2児の産休育休を取っていますし、ライフイベントとキャリアを両立させられる会社だと思います。

冨山氏

我々は「アップ・オア・アウト」などということは言いません。成長を急かすことはしたくないのです。先ほどもお話したように、我々の仕事は人間的な成熟度、マチュリティーで勝負する部分が大きく、そうした「大人芸」を身につけるためにはどうしても時間がかかるので、それまでは辞めさせられません。もちろん、「大人芸」を発揮できるようになるのにも個人差があります。大人びていて30代くらいからできる人もいれば、成熟の遅いネオテニー的な人もいて、40代になってようやく身につくという場合もあります。経営上は、子どものように自由な発想や若い情熱が必要な局面もありますので、必ずしも早く大人になればいいというものではありません。ただ、実際のところ、それなりに年を重ねた男性経営者が、経営上の非常にデリケートな話を20代、30代そこそこの女性に相談する、ということはなかなか難しいものがあります。やはりそういった話は、人生の酸いも甘いも知り尽くしたような落ち着いた雰囲気の女性でないと打ち明けにくいものではないでしょうか。我々にとって、実践的な経営人材に育つ前に去られてしまうのは経営上困りますので、やはり「アップ・オア・アウト」はありえないのです。

渡邊

最後に、IGPIを今後どうしていきたいのか、といった点についてお聞かせください。

冨山氏

明確なヴィジョンはないんですよ。敢えていうとすれば、「その時々に我々が遭遇する領域において、最も困難で解決が難しい問題に関わり続ける」ということでしょうか。他が手をつけて解決できるような仕事には関わらない、我々しかできないことをやる、というところが基本的な判断基準です。といっても、単なるきれいごとを言っているわけではありません。自分たちにしかできないことをやる、ということはビジネスとして一番ソリッド、堅実な考え方です。誰もやらないことをやるのは、つまり独占できるということですし、その領域においてリーディングエッジでいられること。ですので、他が真似をしてやり始めたら「もうダサいよね」と止めてしまうこともあります。AIや地方創生なども世の中が騒ぐ前から手掛けていますし、「稼ぐ力」「L型大学、G型大学」などの流行語も作っていますしね。これからも、我々しかできないことだけを手掛けていきたいと考えています。

※当記事でご紹介している内容は、ご登場頂きました方の所属・役職を含め、掲載当時のものです。

Profile

冨山 和彦(とやま かずひこ) 氏

パートナー 代表取締役 CEO

BCG、CDI代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。機構解散後、IGPIを設立し現在に至る。
オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役
経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、財政投融資に関する基本問題検討会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、文部科学省中教審実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員他。
東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格

塩野 誠(しおの まこと) 氏

パートナー 取締役マネージングディレクター

ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニー、ライブドア証券(取締役副社長)等にて国内外の事業戦略立案・実行、資金調達、M&A、投資に従事。テレコム・メディア・テクノロジー業界を中心にベンチャーから企業再生までを経験。IGPI参画後は、大手メーカーの資金調達、エンターテインメント企業のM&A、大手テレコム企業のクロスボーダーM&A、事業開発等に従事。
慶應義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士

富岡 さやか(とみおか さやか) 氏

マネジャー

マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、製薬業、病院、小売業、製造業などに対するコンサルティングを経験。主に、全社改革、成長戦略、組織改革、業務改善(ライセンシング、臨床開発、CRM)等に従事。
東京工業大学理学部卒

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