転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第5回 
2005.10.13

どうなる?成果主義 vol.2

前回、『虚妄の成果主義?日本型年功制復活のススメ』(高橋伸夫著/日経BP社)をご紹介し、「給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いる日本型の年功システム」の利点が書かれていることをご紹介いたしました。

マヅローやハーツバーグの理論を持ち出さずとも、『金銭ではなく次の仕事で報いる』というのは、たいへん重要かつ有効なことだと思います。しかし、問題はその時間軸の取り方ではないでしょうか。

いくら終身雇用を前提としても、それ自体に懐疑的にならざるを得ない今日の社会環境の中では、『10年後の昇進、45歳以降の役職、55歳の退職金』を想定した評価では、若く優秀な方々の「成果を正当に評価されない」という不満はもはや昇華できないようです。

新興市場の上場企業などで、20代・30代の経営者がどんどん出てきています。そのような企業では、若くして経営を経験できる機会が多く提供されていることを考えると、45歳以降のメリットしか示せない従来の日本的年功型人事制度は、優秀な人材にとって、どうやらよりデメリットが大きく映って見えるようです。

優秀な人材の確保と、その人材の継続的な活躍を期するには、もっと短期的に成果を評価し、さまざまな形で報酬につなげる必要があると思われます。

確かに多くの方のお話を聞いていると、期待する『評価と報酬』とは必ずしも金銭的なものではなく、『より責任のある職務機会を与えられること』である場合が多いようです。そういったものを求める方は、年収が下がるにもかかわらず、より責任のある仕事を経験するために転職していきます。

「優秀な人材が流出しないため」という一点においては、やはり、成果を短期的に報酬として(それが金銭的なものではなく、次の仕事の内容だとしても)還元するシステムが不可欠なのではないでしょうか。

次回、成果主義についてもう一点、
採用企業側の立場から考えてみたいと思います。