転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第11回 
2005.11.24

ベンチャー企業への転職リスク

今年の5月に、以前よりキャリア相談をお受けしていた方が起業されたのですが、先日、「急成長に伴う求人を手伝ってほしい」とご連絡があり、今度はクライアントとしてお付き合いをさせていただくことになりました。

彼は、大手人材会社で新規ビジネスの立ち上げなどを経験されていたとても優秀な方で、ご相談時には弊社がご紹介した某上場ベンチャーの社長から、直々に「是非来てほしい」といわれたほどの方です。

結果的に転職ではなく起業という選択をされたのですが、まだ1年と経っていないのに会社は売上高数億円規模にまで成長。初年度から大幅黒字が見込める優良企業となり、求人を依頼されるに至りました。

一般的に「ベンチャーへの転職はリスクが高い。ましてや起業となるとかなりのリスクがある」という認識を持たれがちですが、彼の考えはまったく違います。

ご自身のブログの中でも、「ベンチャーだからリスクが大きいというのは全くのウソ」と言い切っておられます。「リスクの定義にもよりますが、今は大手でも安定は保証されていません」と、自ら経験した大手人材紹介会社の仕事を通じ、実感されているそうです。

また、彼はベンチャーの成功者を見て「自分がどうあがいても敵わないようなすばらしい方=スーパーマンではなく、むしろ十分普通の人であることが多い。ただ、行動力・実行に移す力があるのだ」と認識されています。つまり、自分でも十分できうると。

だからこそ、リスクはそんなにないと思えるのでしょう。それに、ベンチャーから再度転職することになったとしても、しっかりとした経験を積んだ方であればいろいろな企業から声が掛かり、困ることはないように感じます。

一方、大企業で40代を迎え、はたと「このままではまずいかも」と思われて今後の相談にいらっしゃる方が多くいらっしゃいますが、意外と大企業でのしっかりとした経験をお持ちの方でも、次の展開には苦労されます。

40代のマネージャーや経営層での求人において、その求人主体である株主や経営者は、実は「大企業で40代までお勤めの方は、ベンチャーなどで若くして経営に近いところのご経験をされている方に比してマネジメント経験が少ない」といったマイナスの評価を下す傾向があるのです。これは40代まで日本の大企業に居続けることの大きなリスクです。

もちろん、どのベンチャーも大成功するわけではないですし、給与なども一時的にダウンする場合があります。しかし、大企業では10年かかる経験を数年で持てますし、うまくいったときの金銭的リターンが大きい、あるいは、21世紀の大企業に成長するかもしれないという、リスクに見合ったリターンがあるのも確かな事実です。

すべての方へベンチャーでのチャレンジを進めるわけではありません。しかし「自分ならできるかも」と思える方は、それほどのリスクではないとお感じになりませんか?

是非、選択肢の一つとして考えていただきたいと思います。