転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第36回 
2006.06.15

最初の30秒 vol.2

前回、採用における面談・面接でも第一印象というのはたいへん重要な要素であり、最初の30秒程度で結果の大部分が決まってしまうことがあることを書きました。今週は、もうすこし具体的な例を挙げながら第一印象に影響する要素についてご案内したいと思います。

通常、第一印象は「外見」「態度・行動」「話し方」で決まるといわれています。皆さんも、初対面の方についてはこれらの要素で「きっとこの人は…な人だ」と判断していると思うので、振り返っていただくとよく分かると思います。

まず、「外見」。

「人を外見で判断してはいけない」などといいますが、裏を返せば「外見で判断しがちである」ということになります。これは紛れもない事実です。服装はもとより、靴、髪型、体型、カバンなどの持ち物も当然「外見」の要素となります。

ここで注意しなくてはいけないのは、絶対的に「こういう服装・髪形が良い」などというものがあるわけではないことです。重要なのは、相手に(相手の要望に)合っているかどうかになります。

例えば、外資系ラグジュアリー・ブランドのマーケティング・マネージャーでの面接であれば、『ダークスーツで白のYシャツに無地のネクタイ』という昔の銀行員のような、ある意味無難な服装では、おそらく会った瞬間に「この人は違う…」と思われてしまうでしょう。一見して「センスがあるな」と思わせる、アクセントの利いた服装のほうが印象がよくなります。

一方、大手企業を相手にするコンサルティング職などでは派手な服装は嫌われ、落ち着いたダークスーツが好まれる傾向にあります。また、インターネット系ベンチャーなど柔軟性やスピード、自立性を要求される企業では、硬い印象を与えるダークスーツより、やわらかい印象を与える色のスーツや明るい色のシャツ、女性であればどちらかというとカジュアルな服装のほうが、「自社に合う」と思われる可能性は高いでしょう。

蛇足になりますが、これを逆手にとり、自分の弱みを補うべく服装などで第一印象を演出することも可能です。例えば、論理性に自信がないのであれば、あえて黒の四角いフチの眼鏡をかけるなどして、論理的である雰囲気を出すなど…。(ちょっと反則技でもありますが。)

次に、「態度・行動」。

これも外見同様、相手や状況に合うかどうかがポイントです。ただ、共通して好まれる態度や行動というのはあります。形容詞・形容動詞でいうと、「明るい」「素直な」「謙虚な」「誠実な」「自然な」「礼儀正しい」などで表現される態度は、概して好まれます。反対に「暗い」「言い訳がましい」「尊大な」「不誠実な」「わざとらしい」「不躾な」態度・行動はマイナスに映ります。

例えば、お辞儀一つとっても、しっかりとしたお辞儀ができない方は意外と多くいらっしゃいます。たったそれだけのことでマイナスの第一印象が形成され、話を聞いてもらう前にシャッターを閉じられてしまうことがあるので気をつけてください。

あるいは、仕事の都合で予定の時間に遅れてしまった場合や日時の変更をしてもらった場合など(キャリア採用の面談ではよくある話しですが)、真っ先に頭を下げ、お詫びやお礼をしっかりと伝えられるかどうかなど、細心の注意を払う必要があります。

そして「話し方」です。

具体的には声の大きさや話すスピード、抑揚や話の語尾、そして敬語の使い方。敬語の使い方はもちろんのこと、声の大きさや抑揚、スピードが与える印象は意外と大きいものです。例えば声が小さすぎると自信がないような印象を与えますし、大きすぎれば「尊大な」印象をもたれる可能性があります。

抑揚のない話し方は、無機質な冷たい印象を与えてしまうでしょうし(それが良い場合もありますが)、抑揚がありすぎても「わざとらしい」と感じられるかもしれません。

以上、当たり前のことのようですが「きっとこの方は第一印象で損をしている」と思われることも多いので、改めて書かせていただきました。

前回の繰り返しになりますが、採用の面談・面接というのは一発勝負であることがほとんどで、何回も会って(時間をかけて)理解してもらうということは難しいのが実情です。第一印象の重要性が高くなる分、いつも以上に意識していただければと思います。