転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第6回
2006.11.14

日系企業の海外支社長45歳。日本へ戻り外資系へ転職したい

ある日系企業の海外支社長の任期を終えて帰国した45歳です。

本社のリストラが終わり、海外でも同様にリストラを終了させて帰国してきたのですが、今後は本社に籍を置いて新規事業開発に当たるべく辞令が出ています。

これから先、日本の会社で役員を目指すには別の力学が必要になり、仕事の実績だけではなく、いわゆる社内の派閥等にも巻き込まれてしまうと自覚しています。単純かもしれませんが、ビジネスに専念したいと考えており、外資系企業への転職を検討しています(もちろん外資に派閥や政治がないとは思っていません)。

アメリカ勤務が長かったものの外資系企業に慣れているとは必ずしも言えませんが、外資の立場で日本市場を開拓するような仕事に就ける可能性はありますか?また、外資の日本のマネジメントポジションを狙うにはどうすればいいのでしょうか?

Answer

業界毎に状況がまったく異なりますので上記の内容のみで答えることは難しいのですが、回答に挑戦してみます。

まず、外資系企業の立場で日本市場を開拓するような仕事はありますか?というご質問について。現在と同様の業界に移られると仮定して業界別にみると、完成品メーカー・消費財メーカー・金融機関・サービス業におられるのであれば難しく、逆に部品メーカー・コンサルティング・IT業界・商社などであれば歓迎される傾向にあります。

理屈は簡単で、前者の業界において、ご相談者のような海外経営経験者は日本の顧客のチャンネルや市場知識を期待できないと捉えられます。後者の業界では、海外の市場での経験を日本国内市場でも活かしてもらえると評価されるからです。

乱暴な見立てで恐縮ですが、逆にこの点をカバーできる材料をお持ちであれば、例えば完成品メーカーの海外支社におられたとしても可能性はあります。「海外にいましたが日本の市場動向もちゃんと把握しています」とアピールするのではなく、「マーケティング」「財務会計」「経営」などのスキルで売り込めるかどうか、お考えください。つまり、異業種でも売り込めるポイントを持っていることが重要なのです。

それから、マネジメントポジションを狙うにはどうすればいいか?というご質問について。

45歳なら是非、外資系企業の日本のトップを目指していただくべきだと思いますが、そのほとんどはセールス及びマーケティングの力を要求し、期待していることを知ってください。海外本社の経営陣まで、キャリアプランの中で狙える真にグローバルな企業は全体の5%となく、ローカルのセールスヘッドというのが実情です。役員会を実際に日本で開催している外資系企業はわずかです。

ですから、マネジメント能力はチームマネジメントができるレベル(上場企業の課長程度)で可能な一方、責任感は社長レベルで必要です。年収が高いのは事実ですが、進退を覚悟で業務にあたらなければならない局面も多々あります。

以上のように、「マネジメントポジションを狙うにはどうすればよいか?」というご質問の本質が、「経営を目指す」というものであれば、本当に経営者が日本支社に在籍している外資系企業を知り、お選びになる必要があります。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)