転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第24回
2007.08.30

MBA卒業後2年。MBAをもっと活かせる職場に移りたい

ある日系企業に勤めている32歳です。28歳のときに米国のビジネススクールに合格し、2年間の留学を経てMBAを無事取得しました。

帰国後、在籍していたもとの会社に復帰したのですが、MBAで学んだことを業務の中で活かせているという実感が持てずに悩んでいます。現在の仕事を軽んじるつもりはないのですが、一緒に学んだ仲間の活躍を見るにつけ、転職を意識するようになってしまいました。

まずは現状の環境の中で、目の前の仕事で成果を出すことが今後のキャリアにつながるでしょうか? それとも、思い切って外へ出るべきでしょうか?

Answer

ビジネススクールを卒業されて既に2年が経過したということですが、その2年間、MBAで学んだ知識・スキルを活かせなかっただけではなく、留学中に得た志やわくわくした感情なども失ってしまわれたのではないかと推察します。様々な経験や異なる価値観を持った世界の同世代のリーダーと交わした議論、これからのビジネスや技術・世界・生活・社会がどうなるかといった議論の時間さえもが失われたとすれば、大変残念なことです。

同窓生の活躍に対し、単なる嫉妬ではなく、さらに差がつきつつあるという危機感を持たれているのではないですか?

ビジネスフレームを習得しても、実践で活かさなければ意味がありません。したがって、これ以上の忍耐は不要だと思います。目の前の仕事で成果を出すことはもちろん大事ですが、現在与えられている仕事の目標が、ご自分と会社にとって本当に重要なものかどうか、お考えください。本当に企業価値を高め、利益を生み出すために重要な業務であるかが転職を決意するための判断の基準だといえます。

また、卒業後2年も経過し、年齢が32歳となると、MBAとして人材市場から評価される効力が減じ始める頃でもあります。異なる業界あるいは職種に移りたいとすれば、MBAで学んだことを活かしつつ新たな専門性のあるスキル、実務経験を一刻も早く獲得しなくてはならないタイミングです。もし、マネージャー・マネジメントを目指しているのであれば、なおさら今しっかり見極めるべきでしょう。

転職を空想するのではなく、実際に考えながら行動してみることをお勧めします。

転職に際しては、ご自身の学歴・職歴がキャリアの資産としてしっかり評価されれば、採用インタビューも入るでしょう。しかしながら、MBAで学んだことを活かしてこなかったことは意外に大きく影響し、書類選考で落とされ、面談に至らない可能性も既にあります。

いずれにしても、転職すべきかどうか思い悩むのではなく、現職のキャリア価値がどれくらいあるものなのか、転職市場に出て確かめるのもひとつでしょう。転職活動をしてみて、採用のオファーをもらってからキャリアを選択することもできますので、まず現実を知り、直視されることをお勧めします。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)