転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第186回
2018.08.02

転職回数が増えると、転職は難しくなりますか?

現在39歳、今の会社に転職して2年半が経ち、社数は5社目です。5社ともに経理・財務会計分野で仕事をしてきており職種は共通しているのですが、業種が会計事務所、ソフトウェア、専門商社、メーカー、教育関連とバラバラです。転職した理由も様々です。

現職の採用面接では気づかなかったのですが、入社してみると職場の雰囲気が暗く、近年の業績は横ばい。どうしても我慢できないということはないものの、このままでは前向きな気持ちで仕事ができず、楽しくありません。また仕事内容もいわゆる経理のみで、職域の広がりがありません。次を最後にするつもりで、新たに職域を広げる挑戦をすべく転職活動を始めたいのですが、友人からは「それ以上、転職回数を増やさないほうがいいぞ」と止められています。

友人の言うように、転職回数が増えると転職は難しいのでしょうか? 今の会社で我慢しながら働いたほうがいいのでしょうか?

Answer

「転職回数が多い=NG」ということではありませんが、無用な転職は1回でもしない/重ねないに越したことはないというのが私の持論です。

あまりに短期で転職を繰り返すと「堪え性のない人」「行く先々で成果を出せない人」といった見方をされてしまい、転職活動において不利になるのはよく言われることです。

一般に公開されている求人票にはあまりストレートに書かれませんが、求人企業から私たちのようなエージェントへ依頼が来る時には、応募条件として「転職回数は次で3回目まで」といった項目が書かれていることは珍しくありません。中には「転職回数が多くても理由次第」と言ってくれる会社もありますが、「いかなる理由があっても受付不可」と強硬に受け入れてくれない会社があることは、覚えておいてください。

転職回数の多さが、転職先企業で実際に仕事をするうえでデメリットとして働くことはほぼありません。転職回数が増えるデメリットというのは、結局のところ、『さらにその次に転職活動をする際に不利になる』ということに尽きます。ですからご相談者がおっしゃるように、それこそ今回の転職を最後にするつもりで、石にかじりついてでもやり遂げる覚悟があるならば、チャレンジしてみる価値はあると思います。

ただし、あなたの働きかけで今おられる会社をもっと良くしたり、ご自身の職域を広げたりできる機会は本当にないのでしょうか? そのようなアクションを何もせずに、安易に転職活動を開始するのは賛成できません。その努力をせずして転職回数を増やすほうに、私はデメリットを感じます。それらをやってみた結果、状況が変わらなかったということであれば、活動を開始してみてもいいと思います。

しかし、盤石と思えた会社であっても倒産したり、突然事業がまるごと売却されたりもする時代です。転職活動中にその見極めをすることはとても困難ですが、可能な限り情報収集をし、転職の意思決定前に「本当にこの会社で働いてみたいのか?」「自分がワクワクできるのか?」を冷静に頭で考え、ご自分の心にも尋ねてみることが大事でしょう。

また今回のご相談者の場合は、経験社数が多いだけなく経験業界が様々ですので、面接企業から軸がないと言われてしまうことがあるかもしれません。しかしながら、経理・財務会計分野で一貫してやってきたことを武器として、突破していってほしいと思います。

転職回数が多くても、例えば直近の2社でそれぞれ5年間勤務しており、決して極端に短いスパンで移っているわけでなかったりすると、スムーズに転職活動を進められる場合もあります。逆に1社目は10年務めたが、直近2社が1~2年の勤務期間だったりすると、転職活動に苦労される方が増えます。直近の経歴を重視する企業が多いといえるのかもしれませんね。

企業のホームページの役員・社員紹介欄に、メンバーの経歴を載せている会社は多くあります。経験社数が多くても責任ある位置で活躍して方がいるような会社であれば、転職回数には寛容である可能性があります。参考情報として調べてみるのも一つの方法です。

最後に蛇足ながら…実際にキャリア紹介の仕事をしていると、「40才で転職回数が0回の人はむしろ紹介して欲しくない」と採用企業から言われることがあります。新卒からずっと同じ会社で働き通すのはとても立派で素晴らしいことですが、価値観の広がり、他の環境への適応力、仕事の進め方の固定化などの観点で、敬遠されてしまうこともあるのです。

決して転職を促すわけでないのですが、キャリアマーケットの実際の声としてお伝えしておきます。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

若張 正道

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。