転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第204回
2020.04.02

選考が進む中、別のポジションに興味が。企業側へ希望を伝えてもOKですか?

ある企業からスカウトの連絡を受けた者です。転職は積極的に考えていなかったのですが、以前から注目していた企業であることと、現在の職務と近い内容であることから話を聞いてみようと思い、面接を受けて2次へ進んでいます。

企業自体への興味は高まっているのですが、採用ページを見たところ別のポジションが面白そうで、そちらへチャレンジしたいと思うようになりました。正直なところ、現状選考が進んでいる職務内容ならあえて転職しなくてもいいかな、とも感じています。

新たに希望する別のポジションで選考を進めてもらいたいと思うのですが、2次面接の場で、そのような申し出をしてよいものでしょうか? 転職活動は初めてですので、今後の進め方についてアドバイスをお願いします。

Answer

スカウトを受けたポジションを仮に「A」とし、興味を持ちチャレンジしたいと思うようになった別のポジションを「B」として回答を進めていきますね。

結論から申し上げると、「A」ではなく「B」にチャレンジしたいというお気持ちを率直に話してみてください。ただし、話の仕方には準備・工夫が必要です。

企業側は、「A」のポジションにフィットする、やって欲しいと思いスカウトしたのですから、当然「A」を担う人材として期待しています。一方、あなたはスカウトされた「A」ではなく、「B」の職務に興味をもち始めた状況です。このまま「A」で面接を進めていくと、あなたの熱意は伝わらず、採用側もそれを感じ取り、お互いにすれ違っていずれはNGとなってしまうかもしれません。

企業そのものへの志望度は高まっていらっしゃるようですので、NGとなってしまうのはもったいないですね。それゆえ、率直に話してみることをお薦めします。ただし、「B」のポジションに興味を持ち、チャレンジしたいと思う「根拠」を明快に説明できますか? その点がきちんと説明できない、ということでしたらお話はされない方がよいと思います。思考力が浅く、思い付き・単なる興味に左右され目移りするタイプと評価され、「B」はもちろんのことスカウトを受けた「A」でもNGとなる恐れがあるからです。

つまり、「B」のポジションに興味を持った「根拠」を、企業側が納得する形で話せるかどうかがポイントになります。

例えば…「A」の職務は現在も手掛けていますので恐らくできると思いますし貢献できると考えます。一方で「B」という職務があることを知り、「本当にやりたかったのはこういう職務だった」と気づきました。その理由は…などとロジカルに語れますか?

人は自分の中に“ある判断軸”があって、興味ある多数の事柄の中から1つを選ぶとき(意思決定するとき)、意識して(もしくは無意識に)その軸に沿った選択をしているのではないでしょうか。転職に限らず人生で何かを選択する際でも同じで、この『判断軸』はとても重要です。

採用側でも、単に興味だけで話しているのか、自分の軸を持って話しているのかを見極めるため、そのポジションを志望する動機・根拠を掘り下げて質問してきます。どのような考えを持ち、何をやりたいと思っているのか。これまでどのような軸で判断、意思決定してきたのか。思考に深さがあるのか、考え方に一貫性があるのか等々。面接官は質問の回答から、このようなところを読み取ろうとします。そして意思決定の軸が明快である人に、自社の仕事を任せたいと思うでしょう。

また、そもそも今後のキャリア展開を考えたとき、目先の興味だけで仕事を選択してしまうと、やっていること(経歴)に一貫性がなくなり、転々とした残念なキャリアになってしまいます。

以上のように、2次面接の場では、スキル・能力のアピールだけではなく、「B」をやりたいと考えている根拠を示し、考え方に一貫性があることを示しましょう。それがあれば、熱意も含めて面接官に伝わるでしょう。そして、それならば「B」の担当者とも検討を進めてみようか、となる可能性はあります。

「B」のポジションを志望する根拠をしっかりと準備した上で、率直にお話ししてみてください。目指す企業で、やりたいと思う仕事に向けて、一歩前進となることを願っております。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。