転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第203回
2020.03.05

ベンチャーキャピタリストに関心あり。転職実現の可能性はありますか?

現在20代後半で、直近の約3年は有名ITサービス企業にてサービス企画や事業開発を手掛けています。担当サービスのローンチもうまくいき、軌道に乗り始めたタイミングで自分の手から事業推進業務が離れ、今は新規事業開発プロジェクトに関わっています。事業開発フェーズでは、マーケットリサーチ・収益性分析・外部企業との事業提携などの仕事を任せてもらっており、やりがいも感じているのですが、最近、投資業務(特にベンチャーキャピタル業務)にも関心が出てきました。ベンチャーキャピタリストという職種についてあまり詳しくは知らず、そして投資そのものの経験はありませんが、転職できる可能性はあるものなのでしょうか?

Answer

最近、ベンチャーキャピタリストを目指す方が増え、人気職種の一つになった印象です。「日本を元気にするために」あるいは「海外に負けないユニコーン企業を生み出そう」など、社会的意義をその事業目的として掲げるベンチャーキャピタル(VC)も多く、若い方々を惹きつけるのかもしれません。

VCという仕事には、どのような魅力があるのでしょうか?

・投資活動ができる
・投資家から預かった資金を運用するという、緊張感・高揚感がある
・投資企業のバリューアップに関わり、経営視点を身につけられる
・多くの経営者と接点を持てる
・事業会社と異なり、様々な事業に触れることができる
・ベンチャー企業を大きくすることに貢献でき、ひいてはそれが社会貢献となる
・報酬(キャリー)を期待できる

このあたりが魅力といえる点ではないかと思います。列挙してみると、たくさんありますね。人気職種であることに加え、少数精鋭で運営しているVCも多く(=そもそも採用枠が少ない)、ベンチャーキャピタリストへの転職は狭き門になっているのが現状です。

さて、1点質問なのですが、あなたはなぜベンチャーキャピタリストになりたいのでしょうか? その動機が 「投資業務に関心がある」だけですと、採用面接の場では、十中八九見送りとなります。

ぜひ覚えておいていただきたいのが、同じように「投資業務+バリューアップ」を手掛けるといっても、プライベートエクイティ(PE)とVCは似て非なるものということです。PEでは戦略コンサルタントやファイナンスバックグラウンドを持つ方が好まれますが、VCは実はそこまでファイナンスに関する経験は求められず(ファイナンス面でのハードスキルはもちろんあればベターですが)、「ベンチャー企業のことやベンチャー支援が本当に好きか?」「なぜベンチャーキャピタリストなのか?」「数ある中でも、なぜそのVCなのか?」など、強い志望動機に加え、会社やメンバーとの深いレベルでのフィット感が問われます。

また、経営者やベンチャーキャピタリストが集まるイベントに積極的に顔を出していく営業マインドがあるかといったソフトスキルや人間性がより重視されます。さらにVCでは、新しいビジネスやテクノロジーにアンテナを高く張っているか、ご自身がその分野が好きかということも見られます。特に少数精鋭で運営しているVCになればなるほど、このあたりを重視する傾向があるように思います。

あなたのご経験とご年齢とを掛け合わせると、ベンチャーキャピタリストとして選考が進む可能性は一定数あるでしょう。しかし、上記で述べた部分(しっかりとした動機、そのVCとのフィット感、その他の重視する点)をどのくらい強く持っているか、あるいは大部分を満たすかという視点が選考において必ず入って来ますので、よくご自身に問うてみてチャレンジをしてください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

若張 正道

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。