イベント海外セミナー

海外ビジネススクール生(MBA)対象
【Online CAREER DESIGN SEMINAR in Autumn 2022】 開催レポート2022.12.08

アクシアムではこの秋、米国・欧州・アジアの海外ビジネススクールを対象として、各学校別にオンラインにて『キャリアデザインセミナー』を開催させていただきました。約1カ月半にわたり、計17校でセミナーを実施。120名を超える留学生の方々にご参加いただくことができました。

セミナー実施校 ※アルファベット順

Carnegie Mellon University (Tepper)
Duke University (Fuqua)
Emory University (Goizueta)
ESADE
Harvard Business School
IESE Business School
INSEAD
London Business School
Massachusetts Institute of Technology (Sloan)
Northwestern University (Kellogg)
National University of Singapore
University of California–Berkeley (Haas)
University of California–Los Angeles (Anderson)
University of Cambridge (Cambridge Judge)
University of Chicago (Booth)
University of Michigan–Ann Arbor (Ross)
University of Pennsylvania (Wharton)

開催レポート

新型コロナウィルスへの対応が続きつつも、世界中で経済の立て直しが進められた2022年。この春以降、海外MBA人材向けの求人は好調でした。しかし、長引くロシアのウクライナ侵攻が、秋には世界経済にも悪影響を強くもたらしはじめました。今回のセミナーを開始した10月初めには予想ができなかったような歴史的円安が起こり、クレディ・スイスの経営危機が報じられ、また複数の米系大手企業の世界的人員削減の発表がされました。

外食、観光、小売など “Cash is King” と呼ばれる業界では、コロナ禍にあって求人が止まってしまっていましたが、これまで概ね海外MBA人材の新卒マーケットは平常どおりでした。コンサルティング業界、PE(プライベートエクイティ)業界、ヘルスケア業界等を中心に積極採用が続いており、特にこの半年は弊社アクシアムに寄せられるVC(ベンチャーキャピタル)やベンチャー企業の求人、ファンド(VC、PE)投資先のCxO求人は倍増しました。

ですが、油断はできません。これまでも、過去何度か繰り返されてきたリセッションにも似た状況への懸念をお話しし、万が一にもリーマンショックのようなことが生じた場合のキャリア開発、就職活動についてお知らせしてきました。リーマンショック直後に起きた世界的規模の採用凍結や停止を大津波に例えるとするなら、今はまだひざ下程度の波が来ている状況です。しかしながら、視野を広く持ち、ダウンサイドリスクとアップサイドリスクの両方の取り方を考え、第二、第三のプランを準備すべきです。そのような必要性についてもセミナーではお伝えしました。

ここ数年、つねに出してきた上記のような注意喚起は、おそらく2025年ごろまで続けることになるでしょう。加えて、今回はご参加いただいた皆さんに、以下のようなエールをお贈りしました。

『希望や夢の実現化のために、過去の常識にとらわれず、けれども現実的な世界の変化を直視してください。そして、ご自身の変化を恐れず、自ら変化していくことが重要です。その変化の期間が、MBA+Post MBAの数年間になります。10年後に大きく変わっている自分を、自分自身がデザインし、それに向けて努力してください』

混沌とした世界情勢の中でも、新しい秩序は生まれてきています。その中にあって、キャリアは単なるMBA新卒時の就職活動にとどまるものではありません。Post MBA、さらにはその先の長期的なキャリアデザインをするという視点を持つべきです。その際には、ご自身の軸ともいえる“Aspiration”が何より重要なキーワードとなります。その“Aspiration”を見つけ、自覚し、しっかりと持ってこそ、持続可能なキャリアが叶うとメッセージさせていただきました。

参加者からの質問

今回、参加者の方々から多数のご質問をいただき、時間が許すかぎりセミナーの中で回答させていただきました(セミナー後、希望者には個別相談でさらに丁重にお答えさせていただきました)。それらの内容は、MBA留学中の方々がいま抱いている関心事、懸念や不安、意見などを反映・象徴しているものでした。代表的な質問(一部は回答も)を以下にご紹介・共有させていただきます。

・円安の影響について
円安の影響で、会社からの派遣費用が2年間で約2500万円から約4000万円になってしまう見込みとなり、帰任せずに転職をした場合、費用の一括返済が難しくなりそう。返済費用の支援をしてくれる採用企業があれば、その支援内容を教えてほしい。支援が見込めなければ、賃金の高い企業、すなわち戦略コンサルティングやPEなど限られた業界への就職を余儀なくされてしまう。

円建てよりも、ドルや海外通貨での報酬を狙える海外勤務も魅力的に思える。自分のことだけではなく、これから海外MBAを目指す私費留学生への負担も大きくなり、派遣を中止する会社も出てくると思われ、後輩のことが心配。

・海外勤務について
海外勤務を希望しているが、具体的にどのように就職活動をすればいいのか?
海外でどのような仕事をしていれば、日本に帰国後、評価をされるのか?

・Aspirationについて
“Aspiration”がまだ見つかっていない。どうすれば見つかるのか?

・ヘルスケア業界について
ヘルスケア業界の求人が多い、あるいはヘルスケア業界を希望する人が多いのはなぜか?
給与水準が高いといわれるが、実際はどうなのか?

・報酬/給与について
コンサルティングファーム、PE、VC、商社などの具体的な給与提示額を教えてほしい。

・オファーレターへのサインについて
採用側のアクション(オファー提示、回答期限)が年々早まってきていると聞いている。ある人材紹介会社の方から「今後、オファー取り消しなど何が起きるかわからないので、フルタイムのオファーレターをもらったらサインしておき、その上で他も探し続けるべき。後で断っても構わない。個人には職業選択の自由があり、入社前でも、入社後の試用期間中でも断る・離職することが可能」という趣旨の助言をもらった。個人的には問題があるように思うが、アクシアムとしてはどう考えているか?

※回答:
このご質問には、即座に「NO」とお伝えしています。オファーレター(雇用契約書)にサインをした後は、他社の正式な採用審査を受けることができません。職業倫理の観点だけでなく、契約書の破棄はとても重いことです。オファーを提示した会社のみならず、採用枠を得られなかった他の候補者にも不利益を与えます。また断るタイミングが遅ければ、場合によっては採用できなかったことでビジネスに遅滞や損失が生じることすら起きます。

日本の大学の新卒時のままの職業観は、ミドルマネジメント、トップマネジメントの転職には通じません。海外でミドル以上、経営管理職以上でサインをした後に辞退した場合、会社側が損害賠償を求めることもありえます。世界基準で転職を考えている方は、海外の雇用契約の基準を心得ておくべきです。サインをするまでしっかり活動をし、熟考の上、意思決定をしましょう。

新卒MBA採用で、過去にトラブルが起きたケースを耳にしたことがあります。コンサルティングファームA社のオファーをサイン後に断り、別のファームB社を選んだXさん。B社へ入社した後、A社から転職をしてきた方が上司となりました。当然ながら、上司はXさんの信頼できない行為をB社に伝え、Xさんはほどなく職を失いました。

倫理観に合わない不義理という側面ももちろんありますが、ビジネス・プロフェッショナルとしての信頼を損なうような行為は、隠し通せるものではありません。特にMBA保有者のネットワークは広いようで狭いので、くれぐれも信頼を損なう行為は、ご自分の利益を損なう行為となることを知っておいてください。

*  *  *  *  *

これからも皆さんのキャリア相談をお受けする際には、ご質問に具体的、かつ個々人の過去のご経歴やスキルを踏まえたうえて回答・助言させていただきます。そして、お一人ひとりの価値観や展望を備えたキャリアデザインを共に考え、その実現に向け一緒に行動してまいります。

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)

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