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2017年7月

革新的な会社の質問力
河田真誠(著)

最近、以下のようなキャリア相談を受けることが多くなりました。

  • 「こういう経歴なら、どのような企業に転職ができるか?」
  • 「私のキャリアでは、どのような仕事をやらせてくれるのか?」
  • 「私の経歴をプロが客観的にみた場合、どのような企業で可能性があるのか教えてほしい」
  • 「オファーをもらったが、本当に受けてよいものか悩んでいる」

具体的なキャリア構築に関する相談というより、じつはその中身は、キャリアについての根本的な「質問」や「悩み」で、その先の「回答」を求めておられるように感じます。

「そもそも何故、転職を考えるようになったのでしょう?」と伺うと、「年齢的に今動かないと、この先転職ができなくなるのでは」「現職ではキャリアアップができないから」など、様々な状況やお気持ちが出てきます。さらに、「3~5年後、どうなりたいとお考えですか?」などと「なぜなぜ」を繰り返すと、本質は現職への不満や「このままでいいのか」という漠然とした不安であり、それゆえ転職を考えている、というようなことがしばしばあります。そして、そのような背景をさらに探っていくと、必ずしも転職を希望しているのではないことに気づくこともあります。回答はご自身の中にあるのですが、じつはご自分でその回答に気づいていない、その回答を引き出せていないのです。

「何かを変えなければならないのに、どう変えればいいのかわからない」「オファーが出たが本当にそのオファーで決めていいのか」「あれもこれも興味があり、何を選択して良いのかわからない」など、自分で判断して決めねばならない状況は常に起こります。そのような時、ちょっと立ち止まって気持ちをフラットにして考えるため、自分で的確な自問ができ、自分で答えをみつけられたらたらいいですよね。

何かを始める決心も、オファーの意思決定をする際のような人生の大事な決断も、最終的な決定者は“自分”です。キャリア相談の中で皆さんにご助言する際には、ご自分でより良い選択をするために役立つポイントについて、実際に一緒に書き出してみることをよくします。ですが一緒に書き出せなくとも、なんとかこれらを体系立ててお伝えできないものかと考えていたところ、今回ご紹介する『革新的な会社の質問力』と出会いました。私のお伝えしたいポイントやコツがわかりやすい言葉でまとまっており、我が意を得たりという思いです。

本コラムでは、本書の中で特に私自身が「そうそう!」と共感した『しつもんマインド』と『自分しつもん』に的を絞り、ポイントとなる本文の抜粋を交えながら、キャリアコンサルタントとしての視点でご紹介したいと思います。

* * * * *

「しつもん」は自分のマインドを鍛えてくれます。発想を広げるコツを掴み、『自分しつもん』を繰り返しながらそれに答えていくことでマインドは鍛えられます。「しつもん」の答えを考え抜くことで「ベストな選択」につながります。本書は自分自身にむけて発する『自分しつもん』だけでなく、会社の中や仕事上で実践できるポイントが満載されています。『部下にしつもん』『会議でしつもん』『お客様にしつもん』の章も読み進めると、会社での様々な課題解決に役に立つと思いますが、ここでは割愛させていただきます。

⬛️「しつもん」とは何か。「しつもん」のチカラについて⬛️
「質問」と「しつもん」の違いを簡単に説明すると、「質問」には「しつもん」「あいさつ質問」「疑問」「クイズ」「命令質問」「尋問・詰問」の6種類があります。「しつもん」とは「投げかけた相手のためになり、創造的な答えを引き出す問いかけ」で、答えは無数。それ以外の5つは「質問」として、答えはほぼ1つです。

本書は、「しつもん」には以下のような力があると説いています。

  • 「しつもん」とは、考えるスイッチを入れ自分の中にある答えを引き出してくれる
  • 「しつもん」には、今の自分に見えていないものに気づく力がある
  • 「しつもん」には、目の前の問題とあなたの中にある引き出しをマッチングさせる力がある

どうでしょう?
「しつもん」力を身につけると,キャリアを考える上でも役に立ちそうだと思いませんか?

ただ、この「しつもん」力を得るには自身の心のありよう、人間力を鍛えていく必要があります。「しつもん」はその内容も大事ですが、「しつもん」を発する人のスタンスや人間性、マインドにより受け手の意識も全く異なる側面があります。ですから、まずは人間力を鍛えるところが全てのベースになります。

そこで重要なのが、下記に紹介する「7つのマインド」です。極論を言えば、この7つのマインドをしっかりと習慣化すれば、「しつもん」は誰でもいつでも見つけられます。あとは的確な「しつもん」をするための「コツ」がわかれば効率よく「しつもん」ができ、考えることに集中できます。「しつもん」は創造的な答えを引き出す大事なきっかけです。その「しつもん」に対し真剣に向き合い、答えを考え抜くことがもっとも大事であると本書も語っています。

私は転職支援をするキャリアコンサルタントとして、できるだけ皆さんに寄り添い、悔いのない意思決定をしていただけるようサポートすることを信条としています。ですが、最後に決めるのは皆さん自身、つまりあなたです。あなたが心から納得して自分で決める力を身につけてほしい、と心から思います。そのためにこの「7つのマインド」はとても必要なことで、有効であると思います。キャリアを考える上で、仕事をする上で、生活をしていく上で、持っていると自分が楽になる、楽しくなる習慣ですし、ぜひ皆さんにお勧めしたいです。

【「しつもん」力を身につける7つのマインド】

  1. 思い込みを捨てる…「主観」と「事実」を分けて考える。それは事実ですか?
  2. 相手を信じる…自分ならどんな拘わり方をされたいですか?
  3. 愛の選択をする…「恐れの選択(○○しなければ)」と「愛の選択(どうすれば相手/自分が喜ぶか)」
  4. どんな答えも正解…どんな答えも「いいね」と受け止める。うまくいっていることは何ですか?
  5. 100%自分の責任…全体のために自分(たち)ができる事はなんですか?
  6. 自分を満たす…相手に「与える」ことができるよう自分を満たしておく。どうすれば満たされますか?
  7. 答えるより、考えることが大切……思考のマンネリから抜け出すため「本当に?」と自分に問いかける

⬛️「自分しつもん」とは。「自分しつもん」のコツ⬛️
私たちは日頃から数多くの質問を自分自身に発しています。いい「しつもん」を繰り出すことができれば、困難な局面でも突破口を開くことができます。また、人から押し付けられたものではなく、自分で生み出した答えなので自然とやる気も湧いてきます。

自分に対し、いい「しつもん」ができるように「しつもん体質」になることが大切なのです。 キャリア相談でも「経験がない、時間がない、年齢が高い(もしくは若すぎる)、家族がいる、商材・業界に興味ない」など無意識・意識に関わらず、ご自分の答えを狭めておられる方がしばしばいらっしゃいます。まずはこの制約をできるだけ取り払い、「自分に無限の時間・権限・予算(お金)があるとしたら何ができるだろう」と様々な角度から可能性を考えていただきたいのです。これは「拡散思考」と言いますが、キャリアを考える「自分しつもん」にも効果的です。

とは言え、実際に行動に移すには多くの制約があるのも事実です。「自分しつもん」では最初に「拡散思考」で自由にアイデアを出し、その後制約を勘案しながら実行案を絞り込んでいく「収束思考」に移ります。キャリアでも同じ。「拡散思考」からスタートすると「今まで考えていなかった業界や企業、ポジションだったけれど自分の志向とは合致する」など思わぬ気づきが出てきます。「制約から考える思考のくせ」を修正することが「しつもん」の上達を早めるアクセルになります。自由に発想を広げる5つのコツも7つのマインドと合わせて意識していただきたいコトです。

【自分しつもん5つのコツ/自由に発想を広げるための5つのコツ】

  1. 「べき」思考をしない……こうすべき、ねばならない→本当にそうなのか?
  2. 「できない」を考えない……できるかできないかはあとで考える(オファーが出たあと等)
  3. 自分を否定しない……ワクワクすることは何? できる小さな一歩は何だろう?
  4. 見えていないところにこそ意識を向ける……興味がない業界や企業にも目を向けてみる
  5. あきらめない。でも、やり方は変える……うまくいかなければやり方を変えてみる、あきらめない

⬛️ベストな選択をするのに役立つ「7つの自分しつもん」⬛️
実際に、今のベストな選択をするのに役立つ「7つの自分しつもん」を、キャリアを考える時に置き換えてみました。あなたはこれらに、どのようにこたえますか? 考える際には、できるだけ紙に書き出してみましょう。書くことで頭の中が整理され、新たな気づきが生まれます。そして、この「しつもん」を習慣化するくらい自分に問いかけていきましょう。思考の広がりや柔軟性を感じていただけると思います。

【ベストな選択をするのに役立つ「7つの自分しつもん」】

  1. いいところはどこだろう?……自分のいいところ、○○のいいところはどこだろう?
  2. 「なぜ?」×7……原因を探りたい時には、なぜを7回繰り返す。問題の全体像と課題の本質が見えてくる
  3. じゃあ、どうする?……できない理由を探さない。自分でコントロールできることでどんな手があるか?
  4. どうなっていたら最高?……ゴールを設定すると無意識のうちにその方向に進んでいく。自分はどうしたい?
  5. 違いは何だろう?……今の状態とゴールの違いは何? 距離はどれくらい?行動したらどのくらい縮まる?
  6. 本当に?……物事を決めるとき、別の見方はできないか? 違うやり方があるのでは?
  7. いま、できる事は何?……課題解決で掘り下げたら「収束思考」と「愛の選択」で行動に移す

いかがでしたか? マインドを鍛え、創造的な問いかけをみつけ、その「しつもん」に対して真剣に考え答えを出していく。「しつもん」の答えを考え抜くことが「ベストな選択」につながります。

発想を広げ、ご自身のより良い選択をしていただく一助になれば幸いです。

大石 順子
株式会社アクシアム
 エグゼクティブ・コンサルタント
大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。

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