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2018年2月

「今の自分」からはじめよう
田中 裕輔(著)

著者の田中氏は、2017年3月、東証マザーズに上場したファッションECを運営する株式会社ロコンドの代表取締役 兼 CEOです。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社し、日本支社の史上最年少マネージャーに就任。カリフォルニア大学・バークレー校にてMBAを修了後、2011年、ロコンドの創業に参画しました。

ロコンドは2010年10月、アメリカで大成功を収めたザッポスをモデルに、ドイツのVC、ロケット・インターネットが全額出資して立ち上げたアパレルECサービス企業です。「送料無料・365日返品無料・返品時の送料も無料」という常識外れなサービスを提供したザッポスに習い、ロコンドも送料無料・返品無料という自宅で試着可能なECをコンセプトにスタートしました。
(現在のロコンドのサービスについては、こちらを参照ください。 https://www.locondo.jp/shop/contents/about )

本書には順風満帆のように見える田中氏がロコンドに参画してから上場に至るまで、数々の難題にどのように立ち向かってきたのかがリアルに描かれており、ページを読み進める手が止まりませんでした。

というのも、じつはロコンドは創業から約半年でロケット・インターネットからの10億円の資金を使い果たし、いきなり経営破綻状態に。そんな中、東日本大震災も重なり、2011年4月、ロケット・インターネットからの倒産通告が届きます。話し合いの結果、マッキンゼーに籍を置きながらインターンとしてロコンドで働いていた田中氏が経営メンバーに加わることを条件に、追加の5億円の資金投入が行われました。ここから田中氏の経営者としての歩みがスタートします。

けれども当時、ロコンドは月の支払いが約1億円もあるという状況です。コストカット、リストラはもちろん、取引先への支払いもストップさせ、一日も早く財務状況を安定させることが目下の課題でした。債務不履行で裁判を起こす取引先もありましたが、弁護士を雇う費用の捻出も難しく、田中氏本人が裁判所に出向いて訴訟対応も行ったほど。プライベートではお子さんが産まれてまもないという状況の中、週末返上でオフィスに泊まり込むことも多かったそうです。

そして約半年後の2011年11月、ロケット・インターネットから2度目の倒産通告が届きます。ですが田中氏は、奔走のすえに新たな出資先を見つけることに成功。MBOを行い、ここでいよいよ独立企業の経営者となりました。その後もロコンドの試練は続きますが、2015年10月に単月黒字化。2017年3月にはマザーズ上場を果たすのです。

数々の困難を乗り越え、マイナススタートからの黒字化、上場までを成し遂げた田中氏のメッセージを、いくつかご紹介したいと思います。

●起業を考えるのなら、少なくとも1年半は苦労する覚悟でいてほしい
18カ月間は四六時中、会社に自分を捧げるくらいの覚悟がないと、事業を軌道にのせることはできない。逆に、18カ月やり抜く覚悟があれば、その企業は成功する確率が高くなる。ロコンドもサービスローンチから約1年半で売上が急に伸び始めたので、起業する人はだまされたと思って、18カ月間は走り続けてほしい。

●「逃げない」人を集める
以前は「逃げてきた」人間だった自分が、マッキンゼー時代の常に成長と価値創出を求められる厳しい環境のなかで「逃げない」人間になることができた。実際、ロコンド代表の打診があったときは、逃げたい気持ちもあった。逃げるのは簡単だが、逃げずに価値を出せたときの喜びに勝るものはない。逃げ続けていると「逃げ癖」がついてしまうが、自分同様、逃げない人に育つ可能性は誰にでもある。

●コンサルタントはしょせんコンサルタント
ロコンドの経営を通して、コンサルタント流の「思考」は役に立つものの「調査」や「戦略」は役に立たないことを痛感。マッキンゼー時代の先輩や仲間には幾度となく助けられたが、コンサルタントと経営者の間には天と地ほどの違いがあり、どんなに経営の手法に詳しくても、実際にやってみないとわからないのが経営の世界である。

●「カリスマ性」なんていらない
社長の右腕が「社長はこう考えると思う」と社員に社長の思いを代弁するという構図になってしまうと、企業は衰退していくばかりではないかと思う。それは、社長がいなくなったらその会社は拠り所とするものを失い、迷走する可能性が高いからだ。だから、経営者にはカリスマ性など必要なく、ロコンドではそのミッションにほれ込んでくれる人を集めている。そして、田中氏が引退した後も続いていく企業をつくることがこれからの課題だという。

田中氏は、会社の経営には特別な才能や能力は必要なく、どんな困難に見舞われても乗り越える覚悟さえあれば、だれでも今の自分からスタートできると伝えてくれています。起業を考えている人はもちろん、「今の自分を変えたい」と思うすべての人に、手に取っていただけたら嬉しいです。

「今の自分」からはじめよう 出版社:株式会社KADOKAWA
田中 裕輔(著)
白木 晶子
株式会社アクシアム
 アソシエイト

東証一部上場IT企業、美術関連企業にて社長秘書業務を経験した後、キャリアの可能性を広げるキャリアコンサルタントに興味を持ち、2015年アクシアムに参画。キャンディデイトの"展職"実現に向けた各種サポート支援、リサーチを行っている。

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