転職コラム転職市場の明日をよめ

四半期ごとにお届けする転職市場動向。アクシアム代表・キャリアコンサルタントの渡邊光章が、日々感じる潮流を独自の視点で分析しています。

2001年 4月~6月 
2001.04.01

働き方について

最近あちこちで目立つのは転職関係の広告です。電車の中、ラジオ、そしてコンビニ至る所で目に付くのは気のせいでしょうか?そもそも春が近づけばこの手が気になるのは当然ですが、注目すべきことは各社のコピーが変わってきているというよりは明らかに変わったということです。「名前でなく仕事内容で選ぶ」「年俸制になった。厳しく成果が問われるから、頑張っていこう」といった類のコピーが目立ちます。

これらの事はアクシアムが創業以来コンセプトとしてきた「転職から展職へ」という事そのものです。まさにこのような考え方がニッチであった時代から主流となってくる時代の転換点かもしれません。

さて、このコーナーをご愛読の方々にはもうおなじみのこのコンセプト、そこにはどういった要素があるのか今一度振り返って見たいと思います。

転職とは目的や将来のビジョンもなく、あなたは照らし合わせることなどしないで、有名企業だから等の理由で会社を変わることとアクシアムでは捉えています。目的がはっきりしていないので、「こんなはずではなかった」「やりたいことが出来ない」「やりたいことが他に見つかった」といってしまい、文字通り会社を転々としてしまうという結果を招く行為と考えられます。今までこれがある程度正当化されていた背景には明らかに終身雇用や年功序列、そして手厚い福利厚生というものがありました。

ところが昨今の広告で言われているように年俸制、成果主義等が進んでくると、自分の得意なこと、やりたいことで仕事を行い、それが評価されなければ納得がいきづらくなります。そこで必要なのが人生を会社に委ねる(就社ともいいます)のではなく、自分の仕事に対して正当な評価を得て、報酬を得る場としての会社(就職ともいいます)という考え方です。これを個人の側に立って表現すれば、「自己のキャリアを形成する場としての企業、そのポジション」ということになります。今の仕事の自分にとっての価値、位置付けがしっかりしていれば、制度の変化の方向は逆に好ましい方向に変わっているはずです。アクシアムではこれを個人のキャリアが将来の展望のもとに一歩一歩築く道筋があり、それを踏まえた上で職を新たに選択することを今までお手伝いしてきました。(キャリアが展開され、展望が開けるので展職と表現しています)

そこで再び個人に問われるのは、「あなたは働き方について短期・長期のヴィジョンを持っていますか?」「それについて具体的アクションを興していますか?」ということです。いくらメディアや我々のような中間媒体がこれからは職の内容を吟味していかないといけないと言っても、肝心の個人の気持ちがしっかりしておらず、単なるコピー・流行語の一つとして捕らえられていると結局、展職したつもりが、実態が転職になってしまうことが容易に予測されるからです。ではこれを防ぐためにどうしたら良いのか?そもそもその探し方自体教えていないに等しいし、あまり積極的にプロモートされていないのが現実かもしれません。今一番、個人に必要とされているのは展職することだけでなく、その大前提のキャリアについての展望を持つことなのです。アクシアムでは、今後新しいサービスを5月以降随時導入して、皆さんが展望を持った展職ができる機会を広げてゆきたいと考えております。請う御期待ください。

関連情報

コンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)