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四半期ごとにお届けする転職市場動向。アクシアム代表・キャリアコンサルタントの渡邊光章が、日々感じる潮流を独自の視点で分析しています。

2018年10月~12月 
Published:2018-10-11

来たるべき荒波に備えるため、自ら考え、行動せよ

厚生労働省が9月末に発表した8月の有効求人倍率は1.63倍で、1974年の1.74倍以来、引き続き43年ぶりの高水準を維持しています。一方、近年の低水準としては、2007~2008年に起こった金融破綻により、2009年7月の有効求人倍率が0.42倍であったことが思い起こされます。当時の有効求人倍率は、じつに現在の1/3だったのです。

人材紹介・職業紹介を主たる業務とし、実際に求人・求職双方の声を受け止め続けてきた立場からすれば、この有効求人倍率だけでは見えてこないことがあります。それは、求人の増加速度/減少速度です。変化の結果を罫線でとらえることはできますが、変化のスピードは表現できにくいものです。実感としては、求人の増加はじわじわと起こり、減少はあっという間に進行する印象です。2009年の3倍以上という現在の状況も、いつ急変するかしれません。そんな時、たいてい求職者の動きは鈍く、企業の経営判断・投資判断に比べると、はるかに遅れてしまいがちです。

投資が活発で株価が高いいま、求職活動(転職活動)を始める人は増えています。転職によってもっと賃金を高めたい、より恵まれた待遇を獲得したい・・・その理由は様々ですが、現在のような好景気下では、その望みを叶えるチャンスも多いでしょう。

転職に意欲的であっても、慎重であっても、その活動の姿勢にかかわらず、現職よりもベターなものを探すことは容易です。目の前に存在する求人、オファーを得られたものの中から取捨選択をするだけなので、比較して良いものを見つけることはできます。

ただ、くれぐれも注意してほしいのは、比較検討をした中で良いと思ったものが、必ずしも“人生にとって良いもの”とは合致しない点です。ご自身の人生にとって必要/最良と感じるものを探すはずが、条件の比較検討に終始して選んでしまう人がいます。これは、求人募集が豊富な時に多く見受けられる、誤ったキャリアの選択の仕方です。

案件が少ない不景気下では、総合的にすべてが満たされた案件は少なくなります。ですが逆説的に、ご自身にとっての付加価値があぶり出され、ご自分の人生にどんな意味があるかを重視する転職が増えます。しかし、案件が多いとどうしても、条件・見かけのタイトル・年収などという“わかりやすさ”に選択がひっぱられるのです。

それは勿論、悪いことでも間違っていることでもないのですが、人生の意味を置き去りにする選択をしてしまっては、大変不幸なことです。

いったん不景気の波が起きれば、どんなに積極的に求人を行っていた企業もどんどん求人を停止します。前回の金融破綻の際には、外資系企業はその翌週には採用活動をストップしていました。日系大手企業の動きは極めて遅く、外資に半年以上遅れましたが、その採用は止まりました。もし今度何かが起きれば、きっと日系企業も外資と同様に、求人の停止、凍結、リストラへの経営判断を次々と行い、その反応は前回よりも早いでしょう。

そのような荒波が来たとき、自分はどうするか/どうしたいか。ぜひ一度考えておいてください。(パラレルキャリア、創業、個人事業主などの対策をたてて実行する人たちも増えています。)雇用に堤防はありませんから、あらかじめ自分の身を守る道筋に思いを馳せておくことは、大きな意味があります。

また、若い人の転職については、以前よりも慎重派が増えてきました。ある種の無謀な、自分の利益だけを考えて転職をする人よりも、家族や社会のことを考える人が増えた印象です。これはとても良い傾向だと思います。しかしながら、頭でそう考えて心でそのような価値がわかり始めたにもかかわらず、スキルが足りず、さりとて年収を下げてチャンスをとりに行くには守るべきもの(家族、教育、介護、ローン等)が重くのしかかってきて、結果的に、選択の自由がないと嘆く人たちも多数おられます。

これは若者に限らず見られる傾向です。このような人は「現在の選択を維持する」だけが選ぶべきものになっていて、「現在のコンフォートゾーンから抜けだしたい」と言いながら、実際には行動を起こせずにいます。

荒波が襲うのは、このようなタイプの人たちです。

若者ならば、荒波の中でも泳ぎ切る新しいスキルや体力を獲得できる余地があり、負債も小さく、身軽です。スキルが古く、体力もなく、重りや負債のある40代・50代こそ、好景気特有の華やかな見た目に引きずられることなく(年収を一時的に下げてでも)、本質的に将来性のある企業、業界、職種を選ぶことを強くお勧めします。いずれやってくるであろう、大きな荒波が来る前に。

余談ですが、経営のプロ、リーダー、女性リーダー、バイリンガルで言語以外のスキルを持つ人、イノベーションをリードできる人(ITエンジニアを含めて)・・・これらのタイプの人材は年齢にかかわらず、荒波にも強いです。さらに言えば、荒波が去った後に産業を支えるのは、やはりこのようなタイプの人であると、私は思います。

上記のようなタイプの人、そして「夢や未来のデザインを、情熱をもって語れる人」というのが、今もっとも求められる人材なのではないでしょうか。

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