転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第33回
2008.01.24

研究職から、研究を活かすベンチャーキャピタル側へ転身したい

ある日本の大学院で研究職に就いている29歳です。専門はバイオ分野であり、博士号を取得した後、助手として約3年勤務して現在に至っています。

研究を続ける中でベンチャーキャピタルの方々とお話しする機会があり、今後は「研究者」としてではなく「研究を活かす仕事」をしたいと考えるようになりました。限られた専門分野の知識・経験しかないことから、ビジネススクールへの進学を検討中です。もし進学が叶ってMBAを取得した場合、卒業後、キャピタル側へ転身するチャンスはあるでしょうか?

Answer

バイオベンチャーのブームは、過去日本では何度かありました。不景気の時代があり、ベンチャーブームが到来し、ベンチャーブームの最後あたりでバイオ分野への投資が盛んに行われるというパターンを、昭和の不景気の頃から何度か繰り返しています。

現在は、2001年あたりから波が来ていた3.5次、あるいは4.0次ともいえるバイオベンチャーブームが既に去ってしまった状況で、残念ながら弊社が把握しているベンチャーキャピタル各社におけるライフサイエンスあるいはバイオ分野出身者への採用意欲は、壊滅状態にあります。したがって、転身できるチャンスは、ごく限られたものになるといえます。

いつ、ベンチャーキャピタルでバイオ研究者の採用が再び活発化するか、それは私にもこの段階で予想することはできません。

ご自分の希望や時間軸のみならず、産業・市場など社会全体のニーズや時間軸を的確に捉え、考えることがキャリアメイクにおいては大変重要です。ご自分の時間という大切なキャリアの資本を、いつ投資すべきか。投資するタイミングの見極めが、成功のポイントになります。時間軸を把握することをせずに売りどきを間違うと、大切な資本を無駄にしてしまうことになります。

今後は「研究者」としてではなく「研究を活かす仕事」をしたい、とご希望を述べられていますが、「研究を活かす仕事」については、様々な見方があると思います。ベンチャーキャピタルだけが、その答えではないように思います。

「研究を活かす仕事」を目指すために、ビジネススクールへ通われてMBAを取得されることはプラスになると思いますが、MBAホルダーになったからといって、キャリアのパスポートを手にできるわけではないことをご承知おきください。

バイオ関連の事業会社あるいはベンチャー、アナリストや技術セールス、コンサルタントなど、今後のキャリア展開としては、ベンチャーキャピタル以外にも、いくつか可能性があると思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)