転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第46回
2008.08.07

応募するも面談に至らず…職務経歴・志望動機作成のポイントは?

現在、転職活動中の28歳です。コンサルティングファームへの転職を目指していくつか応募をしているのですが、なかなか書類選考に通らず面談に至らない状況です。もちろん、自分自身のスキルや経験不足がその要因だとは思いますが、職務経歴や志望動機などの書類内容を見直し、なんとか企業との面談の機会を得たいと考えています。企業へ提出する書類について、作成のポイントを是非教えていただければと思います。

Answer

書類選考で落ち、ご自身を直接アピールできる面談の機会も貰えないというのは非常に残念ですね。ご自分でも言及されているとおり、そもそも求人企業側が求めているスペックとのミスマッチはあるかもしれませんが、提出書類を改善することで、面談へのチャンスを広げることは可能だと思います。

まず、職務経歴書・英文レジュメの書き方等については、アクシアムのサイトにそれぞれを解説したコンテンツがありますので、ご一読いただき、再度基本を確認してみてください。

つぎに、職務経歴書の中でも重要なパートである志望動機について、作成の際の注意点をお伝えしたいと思います。企業によっては応募時に別途「志望動機書」の提出を求める場合も多々あり、それだけ書類選考において志望動機が重視されているといえます。

志望動機に記載すべき基本内容

  • これから何をしたいか?
    ※できるだけ具体的に。ここがしっかり定まっていないと単なる願望に見えたり、稚拙だとプロらしくなかったりします。
  • なぜその会社なのか?
    ※その会社をどう捉えているか、しっかり理解しているかを採用側は見たいと思っています。
  • なぜその仕事なのか?
    ※その仕事をどう捉えているか、しっかり理解しているかをチェックされています。
  • 自分の将来の展望と、上記3点がどのように関係するか?

志望動機には、何よりもまずコンテキスト(脈絡)が重要になります。ご自身の過去、そしてその企業に入社した後の未来(5-10年後)のイメージが文面の中で繋がっているでしょうか? あるいは、事実(これまでの経験)を列挙するだけの単なる「自分史」になっていませんか? 「自分史」はその人柄や想いを伝えるには、ある程度有効かもしれませんが、そればかりでは採用側が読み取りたいことを伝え切れているとはいえません。これまでの経験を語りつつ、それを活かして入社後にできること、したいことがイメージできる内容にする必要があります。

また、入社後にご自身が得られる利益については具体的に記載しやすいのですが、採用企業が個人(採用対象者)から得られる利益=個人が提供できる価値については、あいまいになりがちです。極端に要約すると「御社で学びたいので、ぜひ入社させてください。私が貢献できるものは、私の熱い思いです。それ以外は提出した経歴からそちらで見つけてください。私自身は具体的にはわかりません」という内容になっていないか? ということです。

コンテキストと、提供できる価値。この2つの観点から、ご自身の志望動機を見直してみましょう。もし十分に表現できていないようなら、下記のような点を意識しながら再度作成してみてください。

志望動機作成のコツ

  • 単に”入社したい”と書かない。”入社してどうしたいか”を書く。
  • 求人情報にある「職務内容・職責」が”自分が(短期的に)やりたいこと”であると伝える。
  • 「求める能力・知識・経験」については、”○○があります”というよりも”持っているからこそ達成できた実績”を提示する。
  • その上で、5年後・10年後、その会社の顔として社内外(会社や顧客のみならず産業社会、一般社会、世界に)どのような貢献をしたいのか、まで書くことができればベスト。
    ※特に、コンサルティングファームへの転職をお考えの場合には、コンテキスト・論理性・合理性・具体性に加えて”夢”が欲しいところ。

求人情報の中身には、職務内容や職責と呼ばれる採用側が「やってもらいたい」と考えている仕事内容の部分と、応募条件や応募適正など「持っていてほしい」と望んでいる要件の部分があります。

志望動機では、前者の「やってもらいたいこと」を自分の「やりたい、やり遂げたいこと」だと伝え、かつ後者の「持っていてほしいこと」を「提供できる自信があるもの」として証拠・論拠を挙げ、証明すればいいのです。そのように文面の中でプレゼンテーションすることができれば、おのずと書類選考を通過し、面談に進めると思います。

ちなみに面談では、さらにそれを肉付けしていけばいいわけです。

ご自身の売り込みに気を取られるのではなく、採用側、需要側、バイサイドの要望にしっかり耳を傾けることが大切です。自分史を書きあげ人生の要約を押し付けるような志望動機、勝手なひとりごとでは面談に至ることができません。

最終目的は、自分の思いを言語化することではなく、あくまで「面談に呼びたい」「会ってみたい」と思わせる文章作り。その点を改めて認識していただければと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)