転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第122回
2013.04.04

現在45歳。タイトルアップを目指していますが内定に至りません

45歳で大手家電メーカーの課長職です。希望退職制度が発令され私も次の人生をかけて社外に出る決意をしました。英語はあまり得意ではありませんが、理工系大学院を卒業しています。今の会社では開発エンジニアとしてスタートし、28歳からセールス部門へ異動しました。

現在、1300万円の年収を得ていますがタイトルアップは見込めず、中小企業でも良いので部長職に挑戦したいと思っております。年収を1000万円程度に下げて半年間活動を続けていますが、書類選考を通過し面接へは進むのですが最終オファーに至りません。

何故、内定にたどりつかないのか正直、わかりません。この先、どのように活動を続けたら良いのでしょう? アドバイスを頂きたくお願い致します。

Answer

以前にも再就職のための助言は、「展職相談室」でも行ってきましたが、今回は方法論ではなく「考えていただくための助言」をもって回答としたいと思います。

「中小企業でも良いので部長になりたい」と仰っている部分を見つめ直してみてはどうでしょうか?

なぜ「部長」になりたいのでしょうか?

面接の中で今後の展望を聞かれると思いますが、ご自分の強みは伝えられているとして、年収も下げてもいいと仰っているのであれば、この「部長になりたい」という展望が採用側にとって、敬遠される原因になっていると思われます。

「部長職に挑戦したい」「管理職に挑戦したい」「役員に挑戦したい」これらすべてNGです。

挑戦心を持つことは評価されますが、問題はその対象です。残念ながらタイトルに挑戦するとか、キャリアアップをしたいとか、インタビューで回答すると敬遠されます。 極端な話をすれば、社員に向かって、「私はキャリアアップをはかりたい」と言っている社長や役員はいません。そのようなリーダーに、部下はついていかないでしょう。 オファーが出て結果的に、タイトルや職責が上がりキャリアアップになることもありますが、 選考過程で最初からタイトルアップを強調しますと採用側にしてみれば「職務よりタイトルに拘る頭でっかちな人」と見なされ、マイナス評価となってしまいます。 同じ挑戦でも、タイトルに対してではなく、仕事に対して説明してみてはいかがでしょう。

例えば「自分は○○の業界で、このような仕事をしてきた。今後はこんな製品を作り海外に展開して行きたいと考えているが、今の会社では生産はすでに海外に移動してしまっているため、実現することが難しい。貴社の生産拠点は国内にあり国内生産をさらに突き詰めて世界に挑戦できる製品を生み出すことに挑戦できる思い、貴社が目指す挑戦に、私も一緒に挑戦したい。」というように職務への積極的な姿勢をインタビューではお答になるほうが良いでしょう。

部長職を目指すならば、「部長」のタイトルを忘れて、「仕事の内容」で探し「その職務で何を目指すのか、どのように貢献出来ると考えるか」しっかりと語れることが大事です。 また、年収を800万円に下げて対象を広げてはいかがでしょうか。面接をしてオファーが出た時に年収を考えれば良いので、1000万円以上に絞って探すより可能性が広がります。

極論を言えば、あなたの値段(年収)は採用側が決めることです。本当にうまくご自分を生かせる場所であなたが「やりたい」「出来る」職務で、そして企業側もあなたに「やって欲しい」と思う職務であれば、たとえ800万円を想定した求人でも、上のポジションを提示してくれて、過去の年収よりも高い金額でオファーが出る可能性もあります。

タイトル、年収に拘っていては、何社面談に臨んでも結果はでてきません。 年収も決まっていない「セールス」というだけのノンタイトルの求人が、面談後、「執行役員」での採用となることも実際に起こり得えるのです。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)