転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第124回
2013.06.06

キャリアの相談をしたいが、どこへ行けば良い?

現在IT企業のセールスのヘッドとして40名のチームをリードしています。45歳です。

これまで日系と外資系企業の両方でキャリアを積んできました。現職の年収は1800万円程度で、仕事についても会社についても満足しています。ただ、現職企業の業界は傾斜産業と言われており、漠然とですが、これからの人生をどうしようかと考えるようになりました。

すでに友人や先輩、恩師、上司、家族に相談していますが、コーチングやメンタリング、キャリア・カウンセリング、あるいはサーチ会社とのキャリア相談など、外部の専門家の意見も参考にしたいと思っています。これらサービスについて、サービス内容の違いや報酬支払の有無など教えていただけますか。

Answer

人材紹介会社にはいくつかタイプがありますが、アクシアムは、サーチ会社(サーチ型の人材紹介会社)で、求人企業の依頼に基づき最適な人材を探し出し、求人企業に紹介しています。紹介した人材が入社に至った(マッチングした)際に、紹介の成果報酬として当該人材の入社時の年収の25~35%を求人企業から頂戴するというビジネスモデルで、人材となる個人の方のキャリアの相談や求人案件のご案内は、一切無料です。

アクシアムは、常日頃から優秀な人材とのネットワークの構築に努め、日々多くの方にキャリア・コンサルティングを実施しています。アクシアムのキャリア・コンサルティングでは、ご相談者の希望を伺い、求人案件を紹介するだけでなく、労働市場で求められる人材とはどのようなものか、それに対しご相談者に過不足があるとすれば、それは何か、どうすれば充足が可能か、そして共にキャリアについて考え、現実的なキャリアの選択枝を提案し動機づけを行いますので、いわばキャリアに関するコーチングやメンタリングを無償で提供しているといっても過言ではないかもしれません。

人材紹介会社と関連するサービスについて、簡単に仕分けを書いておきましょう。


 

◆人材紹介会社 (ウィキペディア「職業紹介事業」より引用)

職業紹介事業(しょくぎょうしょうかいじぎょう)とは、就職・転職の仲介を行う事業の、行政における呼称である。一般的には「人材紹介」と呼ばれている。隣接する事業に、労働者派遣事業がある。 日本においては、厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者が、転職を希望する求職者と労働者を求める企業(求人者)との仲介を行って、双方の要求を満たすような転職の実現を目的とするサービスを提供する、とされる。 企業(求人)側は、戦力となる労働者を「人材」もしくは「人財」と呼称することが多く、「職業紹介事業」という表現よりもむしろ「人材紹介」という言葉のほうがはるかに一般的である。

◆人材紹介会社の3つの形態 (一般社団法人 日本人材紹介事業協会HPより引用)

<一般登録型(employment agency)>
求人企業と個人(求職者)それぞれからの依頼に基づき、最適なマッチングを仲介(企業に紹介)するサービス。職業紹介としては最もポピュラーなサービス。パーソナルプレースメントとかエンプロイメントエージェンシー(employment agency) とも呼ばれる。

<サーチ型(executive search)>
求人企業の依頼に基づき、その企業に最適な人材をサーチ(検索)し、企業に引き合わせるサービス。ヘッドハンティングとかスカウトと呼ばれることもある。

<再就職支援型(out placement) >
企業側の事情により要請を受け、社員の再就職を支援するサービス。本人への再就職紹介や受け入れ企業の開拓、活用のためのコンサルテーションサービスまで含めて広義に解釈されることも多い。雇用に限らず出向の仲介も行う場合もある。このサービスを取扱う人材紹介会社では、人材協において「再就職支援協議会」を構成し、さまざまな研鑚を行っている。

いずれの業態も単に情報を仲介するだけでなく、付帯してさまざまなコンサルティングサービスを企業と個人それぞれに実施している。


 

◆キャリア・コンサルティング
厚生労働省「キャリア・コンサルティング」とは?より引用)

「キャリア・コンサルティング」とは、「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施される相談その他の支援」のことを言います。

◆キャリア・コンサルタント
ウィキペディア「キャリア・コンサルタント」より引用)

キャリア・コンサルタントとは、就職を希望する人に対して、さまざまな相談支援を行う専門職である。キャリア・カウンセラー、キャリア・アドバイザーとも呼ばれる。主な業務は、就職希望者が自らの適性、能力、経験などに応じて職業生活を設計して効果的に職業選択や職業能力開発を行うことができるように、個別に相談を行うことである。また、この相談のことをキャリア・コンサルティングまたはキャリア・カウンセリングといい同義語である。

[渡邊メモ]
キャリア・コンサルタントの多くがハローワークや人材紹介会社など職業紹介事業者、企業人事、大学の就職課に所属しています。国家検定や民間資格があります。一部、個人に対して有償でキャリア・コンサルティングを提供する会社がありますが、職業紹介事業者に所属している場合、求人企業から利益を得るため、個人の相談(キャリア・コンサルティング)は無料となります。自発的に今すぐ転職を希望する方とのご相談だけでなく、スカウトがかかって転職を検討している方や、中長期のキャリアを考えたい方とのご相談など、様々なステージや状況に応じて個別相談が行われます。ご相談はキャリアを主体としたものとなりますが、キャリアについて話す中でプライベートな面についても触れることがあるため、その点についても安心して打ち明けることができる相手であるかどうかは、コンサルタントを選ぶ上での重要な判断基準となります。資格の有無も判断材料になり得ますが、資格の有無以上に、コンサルティングの実務経験や紹介実績が重要な基準となると思います。
優れたキャリアコンサルタントの選択:(転職成功への4つの鍵より)
 優れたキャリアコンサルタントとは、求人・求職の双方を顧客とし、双方に付加価値を創造・提供できるプロを示します。企業の人事部もコンサルタントの善し悪しを知っています。優秀なコンサルタントに自分をきちんと理解してもらいましょう。単なる転職相談ではなく、人生のキャリアプランを念頭においた上で転職について考えてこそ、適職にたどり着けるのです。 最後に、キャリアコンサルタントを選ぶ場合のチェックポイントを挙げてみました。すべて揃うことはなくても、半分以上が適合しないコンサルタントとはつきあうべきではありません。

    Check Point

  1. 希望する業界の動向など、ある程度の知識があるか?
  2. 企業や求人の具体的な説明能力に長けているか?
  3. 秘密を守るという職業倫理観が実感として伝わってくるか?
  4. 常に(あるいは適時に)、コンサルタントから連絡を入れてくれるか?
  5. 採用側から評価されているか?その証拠を示せるか?
  6. 自分の気持ちや考えを理解してくれるだけではなく、予想以上の回答・アドバイスをもたらしてくれるか?
  7. 考えるきっかけを作ってくれるか?
  8. たとえ違った職業観や人生観をコンサルタントが持っていても、それなりに自分に対して納得できる説明・アドバイスを得ることができるか?
  9. 自分のことを時間が経過しても覚えてくれているか?
  10. 相談すると、元気になれるか?


 

◆コーチング (ウィキペディア「コーチング」より引用)

コーチング(coaching)とは、人材開発の技法の1つ。「コーチ」(COACH)とは馬車を意味し、馬車が人を目的地に運ぶところから、転じて「コーチングを受ける人(クライアント)を目標達成に導く人」を指すようになった。

スポーツ選手の指導のほか、交流分析や神経言語プログラミング(NLP)などの手法を取り入れてビジネスや個人の目標達成の援助にも応用されている。

[渡邊メモ]
 無料から1時間5000円~数十万円のものがあります。自己理解を深め、目標達成やパフォーマンスの更なる向上を目指して、相談者を勇気付け、やる気を引き出して自発的な行動を促します。コーチの見つけ方としては、定評のある書籍を出している著名な方や、実際にコーチングを受講中の知人や友人から実体験を聞くのが一番安心な方法といえるでしょう。しっかり話を聞いてくれる素地があることは当然ながら、ご自分に近いキャリアや人生を歩んできたと思われるコーチを見つけると良いでしょう。


 

◆メンタリング (ウィキペディア「メンタリング」より引用)

メンタリング(Mentoring)とは、人の育成、指導方法の一つ。指示や命令によらず、メンター(Mentor)と呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言による被育成者たるプロテジェ(protege)ないしメンティー(Mentee)本人の自発的・自律的な発達を促す方法である。

プロテジェがメンターから指導・支援・保護されるこの関係をメンター制度(メンターせいど)ないしメンターシップ(Mentorship)と呼ぶ。

[渡邊メモ]
 無料から1時間5000円~数十万円ものがあります。コーチングよりも指導色が強く、またその相談内容も就職や産休からの職場復帰、職場での人間関係、友人関係、定年後の過ごし方、独立・起業などコンサルティング的な要素も強いといえます。従い、コーチングと異なり、話を聞いてくれる相手ではなく、助言力や情報提供力を期待できるメンターを見つける必要があります。人生のメンターと呼ばれるものとは異なり、多くは商業ベースで行われています。個人的には、メンタリングサービスが日本にあるか懐疑的です。


 

既にご存じのとおり、転職の際に人材紹介会社を利用することには、様々なメリットがあります。キャリアやスキル、適性を査定して最適な転職先を紹介してもらえるほか、転職に関するアドバイスや紹介先企業の情報を得られたり、有利な条件で転職ができるように企業側に交渉をしてもらえたりします。

人材紹介会社は、転職活動を一貫して応援するパートナーです。ただ、人材紹介会社の中には、企業に紹介が可能な人材だけを登録する会社もあれば、求人案件の案内のみでキャリアの相談をしない会社もあります。こうして事前に情報を収集することはとても大事ですが、実際に問い合わせてみない限り、実情を知ることも明確な区分けをすることも難しいでしょうから、人材紹介会社のサービスを受けたことがある友人や知人の体験談や意見を聞いてみるのが良いでしょう。ネットの口コミは、意外にあてにならないので注意しましょう。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)