転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第129回
2013.11.07

人材紹介会社で人生が決まる?!

38歳になって初めての転職活動で、人材紹介会社の対応に疑問を感じています。 相談していた人材紹介会社のコンサルタントから「早く、多数レジメを提出したほうが良い」と言われ、2か月程度かけて25社程にレジメを提出してもらいましたが、面談に進めたのは2社程度です。一般的に、書類選考の通過はこんなに厳しいものなのでしょうか?

また、幸いにしてその会社から内定をいただいたのですが、企業の将来性や、自分のキャリアの可能性、働く環境や雰囲気など、どのような会社かまだ十分理解出来ていません。紹介してくれた人材紹介のコンサルタントは、「これ以上の期間をかけても他の機会は難しいでしょうからこの企業に決めたほうがいいですよ。」と言われるのですが、何故その企業に決めたら良いのか具体的な説明はなく、企業と話す機会も設定してくれません。人材紹介会社とはそのようなものなのでしょうか?

Answer

私達も、求人をご案内したらできるだけ幅広く、そしてできるだけ早くアプローチしましょう。と助言しています。

しかし、それはできるだけ深くご本人を理解し、できるだけ個別求人の説明を行い、できるだけ早く理解してもらえるように努めた後での助言です。候補者ご自身が自己分析できてこそ、今後のキャリアプランが決まり、そのプランや展望に合った案件をご紹介することができます。あるいはご本人が想定していなかったような意外な案件をご紹介することもありますが、未経験の業界や職種であればあるほど、「何故それがお勧めなのか」十分な説明が必要となり、ある程度時間を要する事になります。

真面目に個人の方とキャリアの相談を何時間、何日もかけて行い、キャリアプランや展望を検討して、紹介案件を説明し企業へ紹介したところ、すでに他の紹介会社から案件を案内されて内容の説明もなく、履歴書が企業へ送られているということがよくあります。

求人内容の説明が不十分であってもそれは企業にはわからないことであり、先にキャリアデータやレジメを企業に提出した紹介会社が紹介者の権利を得るという構造になっています。そして半年や1年程度、その紹介者の権利は続きます。そのため、説明をほとんどせずに、早くレジメを企業に提出して成果を多く出すことに躍起になる紹介会社が未だに多く存在しています。これは本当に問題です。

個人の方も、先に紹介した紹介会社が権利を得て、成果報酬を得やすい構造になっていることや、そのため個人情報保護に反する行動をしているか否かなど、あまりご存じない状況です。

サーチ会社やコンサルタントの選択は書類選考通過のみならず、面接を突破し最終的な合否にも影響を及ぼします。さらに最終的な意思決定により人生が変わりますので、相談者となるサーチ会社やコンサルタントは慎重に考えて選んで頂きたいのです。 悪徳な紹介会社やコンサルタントを選んでしまうと、結果も出てきませんので、くれぐれもご注意ください。

以下に簡単にコンサルタントを選ぶチェックポイントをいくつかまとめました。

いくつかコンサルタントに質問して、納得できる十分な回答がなければ、そのサーチ会社からの紹介は受けないほうが良いでしょう。「弊社だけしか扱っていないので」という嘘をつくサーチ会社もありますが、役員クラスの求人や極秘の求人でなければ複数のサーチ会社が同じ求人案件を受託しています。信頼できる会社に、その案件を扱っているかどうか確認して、その信頼できるサーチ会社のコンサルタント経由で応募するほうが、ベターでしょう。

【コンサルタントを選ぶチェックポイント】

  • 候補者や求人の両方の本質をしっかり理解している
  • 求人内容について、求人要項に書かれていないような内容まで分かりやすく説明してくれる。
  • A社のXと言うポジションを紹介している時にでも、そのA社の業界や競合などと比較しながら、説明してくれる。
  • 紹介先企業からコンサルタントが信頼されている(=紹介実績や、深い付き合いがある)
  • 本気で説明してくれる。
  • 急いでいるケースと、ゆっくり進めるケースを分けて、進めてくれる。なぜ急ぐのかも説明してくれる。
  • 本人承諾、承認を必ずとってくれる。
  • 直接応募と異なり、応募、審査プロセス全体をリードしてくれる。

是非、信頼できるサーチ会社、コンサルタントと出会い、転職活動に成功して頂きたいと思います。

展職相談室 第62回「初めての転職。人材紹介(サーチ)会社を使う時、何を知っておくべきでしょうか?」にもサーチ会社の選別方法をまとめてあります。こちらもご一読頂き参考になさってください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)