転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第130回
2013.12.05

これからの日本で英語力は要りますか?

社会人3年目で日本の小売業に勤務しています。最近、グローバル人材やTOEFLについて話題が多くなってきましたが、どの程度の英語力があればいいのですか?大学時代にTOEICを受験して700点程度でした。効果的な勉強方法があれば教えてください。

Answer

やみくもに「英語力をつけた方が良い」、「グローバル化に乗り遅れるな」ということではなく、展望を達成するのに英語力が必要なのであれば、習得されれば良いということになります。展望がまだ決まっていない状況で、「とりあえず英語をやっておこう」というのでは、時間とお金を浪費するだけで成果は上がりませんので、やめておいた方が良いと思います。

例えば目的が、海外大学院に出願する、海外で資格を取る、海外で仕事を見つける、転職のためといったことであれば英語を習得すべきですし、その場合は、日本国内でしか通じないTOEICよりも公式に海外で通じるTOEFLを基準に英語を修得される事をお勧めします。

日本企業に勤務していても海外でのチャレンジの機会が増えてきましたし、外資系に転職するなら英語力は当然必要です。20年前は欧州やアジア企業の日本支社は、その国の言葉が要件でしたが、今ではフランスの会社でもドイツの会社でもアジアの会社でも、すっかり英語が基本です。そういう意味でも英語力があればキャリアがより広がることは間違いありません。

英語を身につけるにあたっては以下を実践していただくと良いでしょう。

  1. 模擬テストを受けて現在の実力を知る
  2. 自分のキャリアプラン(大学院、資格、就職など)を再認識し、それが要求する得点を知る
  3. 現状と目標の差を具体的に、何年後に、どの程度の予算で向上させるかを3校以上の英語学校に問い合わせをして学習プランを立てる。
  4. マイルストーンを作っておき、めげそうになれば、キャリアプランだけではなく人生の展望の実現化をどれほど願っているか自分で再確認する。強い目的意識や強い希望が英語力を高める源泉になってくれます。

学習方法については諸説ありますし、海外にいったほうがいいとか、●●メソッドが凄いとかありますが、実際に英語力をアップさせた知り合いやメンターの方からその経験談を聞かせてもらい、自分にあった方法を見つけるのが良いと思います。学習方法については、私は残念ながらプロの英語教授法の先生ではないので、その程度のご助言しかできません。

純粋にテストの点数を上げるということであれば、それほど難しいことではないので、本気でやれば達成できると思いますが、本当の意味で、英語で仕事をするということであれば話は変わってきます。

例えば、サッカー選手はネイティブ並みの英語力がなくても試合でコミュニケーションがとれますし、アーティストもそこまで高いレベルの英語力が無くてもそこまでの大きな支障は無いでしょう。また、エンジニアやサイエンティストについても読解力があれば、会話力はそこそこでも良いという場合が多いです。

しかしながらマネジャーやマネジメントになると、「TOEIC900点以上、英語で喧嘩、指導、反論、慰めができるレベル」といった具合により高い次元の英語力が求められます。「TOEICは800点だが日系企業での海外勤務で外国人部下と一緒に仕事してきたので自信があります」という方が外資系企業の日本法人社長候補としてインタビューを受けて、英語が理由でNGとなるケースも少なくありません。本社に日本語で説明するのと英語で説明するのとは違いますし、また、自分が上司として外国人部下に英語で指示を出して聞いてもらえても、外国人上司に英語で込み入った報告や提案をして理解させるのは、後者のほうが数段上の英語力が必要と認識したほうが良さそうです。

言うまでもありませんが、英語は学問ではなくツールですから、できるだけ早くツールを獲得し、若くして使い始めれば、使えば使うほど上達します。まずは初級から中級を目指し、そして上級になれば、英語を使うことが普通の感覚になります。英語の達人を目指す必要はありませんが、自分の仕事で使えるようにしましょう。

最後に、年齢とともに学習速度は下がりますので、英語習得を始めるのであれば20代がお薦めです。20代であれば仕事をしながら睡眠時間を削って英語学習を進めることも可能です。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)