転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第199回
2019.10.03

転職後1年。仕事は順調、評価もされているが…今のキャリアでいいのか迷いがある。

現在41歳、事業承継に取り組む二代目社長の右腕として、管理部門を統括しています。先代の創業社長が築き上げてきた事業を二代目社長とともに拡大させるべく、管理体制の構築をミッションとし、本部長職で昨年転職しました。

もともと新卒で戦略コンサルタントとして経験を積み、前職ではベンチャー企業で経営企画部門の立ち上げ、そして経営管理体制の構築をリードしていました。その経験と実績を評価され入社。前職同様に管理体制を構築することを期待されています。

入社後1年が過ぎ、それなりに評価もされており、組織も予定通り立ち上がりつつありますが、ふと「今のままでいいのか?」と考えてしまいます。今後のキャリアの道筋を考えるにあたって、気を付けておくべきところは何でしょうか?

Answer

ご年齢的にも組織を任せられるようになってくる頃ですし、このような相談やお悩みを持つ方は増えてくるご年代です。今回の場合、ご本人も何が悩みであるのか、具体的にはお気づきになられていないように感じます。

このご相談者の場合には、まず、そもそものミッションを成し遂げることを考えていただきたいと思います。創業社長の想いを継ごうとされているのか、新しい何かを成し遂げようとされているのか、二代目社長のお考えは詳しくはわかりませんが、その企業のミッションやビジョンに共感されて転職の意思決定をしたはずです。それらを達成すべく、経営管理体制の構築を自らのミッションとして入社されているわけですので、まずはそれを実現しましょう。

また、「管理部門を統括する」という立場を考えた場合、たとえ取締役でないとしても部下もいらっしゃるわけですし、責任は相応に伴ってきます。であれば、ご自身の今後のキャリアのことを考えることはもちろん大事ですが、それとともにそろそろ組織や経営のことを考える必要が出てきたのだ、とお考えいただきたいのです。

ご相談者のように十分なご経験やご実績をお持ちの方であれば、再度転職することはできると思いますし、条件面の改善などもあり得ると思います。だからこそ、「今のままでいいのか?」とお悩みなのでしょう。ですが、まだ入社されて1年。期待されているミッションも完全には達成されていない状況です。

ですからまずは現職でしっかりとミッションを達成することが、これから先のキャリアにおいて、経営者や株主から評価される実績になると私は考えます。今後のキャリアを考えることは常にしていただいて結構ですが、ともすれば、本来達成できる、本当に評価される実績を出す前に、漠然とした不安にかられ(くわえて目先の好条件に気持ちが動いて)“転職”をしてしまうということにもなりかねませんのでご注意ください。経営者は言わずもがな、経営に近いお立場でいらっしゃる方ほど、この認識を持っていただければと思います。評価をされており、実績も出せているということですので、悩む必要はないように感じます。

「40代をどのように過ごすべきか?」という観点で申し上げれば、来るべき50代、60代に向けて「経験と実績を積み重ねていってください!」ということに尽きます。ただ、今のスピード感でいいのか、これくらいの実績でいいのか、という点で悩まれたり不安に思われたりする方もいらっしゃいます。その場合には、“転職”をひとつの選択肢として考えていただく価値はあると思います。もちろん、個別事情が大きく関わることですし、必ずしも転職ありきでなくて結構ですので、是非キャリアの個別相談にいらしてください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

伊藤 嘉浩

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント

伊藤 嘉浩

2008年、アクシアムに参画。エグゼクティブ・コンサルタントとして、経営者やプロフェッショナル人材、MBA、若手・次世代ビジネスリーダーまで、幅広い年齢層へのコンサルティング、キャリア開発、紹介実績あり。アクシアム参画前は、商社にてアパレルブランドの輸入販売や海外事業開発を手掛け、新規事業の立ち上げと事業の黒字化を達成。事業計画策定、商品企画、マーケティング、リテールマネジメント、組織開発、生産管理などの経験を持つ。海外事業開発をはじめとする“実業経験を持つキャリアコンサルタント”として、個人のグローバルなキャリア、イノベーティブなキャリアの実現を使命とする。

日本キャリア開発協会認定 キャリアディベロップメントアドバイザー(CDA)