転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第221回
2022.03.03

転職経験のない36歳。友人の活躍をみて自分も外でのキャリアを考えたいが…

大学卒業後、東証一部上場の大手機械メーカーで海外セールスやマーケティング関連でキャリアを作ってきました。現在36歳、係長の職にありますが、来年課長に昇格させるという話が出ています。会社のカルチャーや製品には愛着を持っており、居心地良く働いているため、今までは特段転職を意識してきませんでした。

だだ、大学時代の友人と久しぶりに会ったところ、既にディレクターという立場で部下を10名ほど率いているという話を聞き、私より職務の責任が大きく年収も高そうで、自分も「社外に目を向けたほうがいいのだろうか?」という気持ちになりました。これまで1社しか経験がなく、転職そのものにリスクを感じる部分がありますが、今後のキャリアのために、このタイミングで転職をしたほうがよいのでしょうか?

Answer

ご質問内容の中で、転職を意識し始められた理由として
(1)マネジメント経験を積みたい
(2)年収を上げたい
という2点を挙げられていますね。この2つは、一般的に転職を検討するに至った理由として、つねに上位にくるものです。

2つともに、いくら個人が頑張っても会社の制度やルール、強固な前例などがあると、構造的になかなか希望が叶いにくいものになります。私は基本的に「いたずらに社数を増やすべきではない」というスタンスですが、この2つを早期に叶えたいということでしたら、外の機会に目を向けてみてもいいと思います。

特にマネジメント経験を積みたいのであれば、日系の大手企業では本当にその機会は得にくいといわれています。どの会社でも年功序列のカルチャーは多少なりともあるでしょうし、課長になっても評価者としての上長ではなかったり、PL責任を伴わなかったりもします。ですから大企業の課長になってから「少しもの足りない」と考え、転職活動をされる方が少なくありません。

ただし、ご質問内容を拝見するに、まだ漠然と転職を意識し始められたばかりで、実際に『転職の覚悟』ができていないご心境のようです。タイミング的に「どうしても今すぐ転職をしたほうがいい」とまでは言えないと思います。

現状のまま転職活動を開始しても、面接の場で
「なぜ転職をしたいと考えているのですか?」
「弊社に興味を持っていただいた理由を教えてください」
「将来のキャリアイメージを教えてください」
といった比較的基本的な質問をされても、明確に答えるのが難しいのではないでしょうか。

いざ転職活動をするとなれば、仮にスカウトがきっかけで面接に進まれたり、あるいはカジュアル面談からスタートされたりした場合でも、どこかの段階(カジュアル面談時、もしくはカジュアル面談終了後、本選考に進んだタイミング)でギアを上げて気持ちを高めていかないといけません。また、面接の準備や企業研究もしっかりと行わなければ、希望条件が揃うオファーを勝ち取ることはできません。

企業への熱意を高めて、準備にも一定以上の時間を投下できるだけの『転職の覚悟』を持てるか? ご自身に問うてみてはいかがでしょうか。

あるいは、転職ありきで活動を開始するわけではなくとも、「いざ活動を開始して、自分が本当に挑戦してみたいと思える案件に出会い、オファーを勝ち取ることができれば、その時はサインをする」という明確なお気持ちがあるのなら、動き始めてみるのもよいかと思います。

なお、「転職回数が多すぎると、転職活動において不利になりやすい」というのはよく言われることですが、かといって同じ会社にずっと勤務し続けることも、実はポジティブにばかりとられるものではありません。私の感覚ですと、40歳まで1社のみのご経験ですと、転職で苦労される方がそれなりにいらっしゃる印象です。

いま一度、現在の環境を捨ててまで外に機会を求めるのがいいのか、熟考されてみることをお薦めします。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

若張 正道

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。