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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第248回2025.08.07
未経験から「AI・デジタル分野での事業開発」というキャリア選択は現実的でしょうか?
現在32歳です。大学卒業後、総合系コンサルティングファームで会計システム導入、製造現場の業務改革、営業生産性向上、アウトソーシング化検討などのプロジェクトに関わってきました。昨今のビジネスでのAIの進化、データ活用を目の当たりにして、自分も今後はこの分野で新しい事業を作り、世の中に新しいサービスを送り込むことをしたいと考えるようになりました。これまで経験してきたプロジェクトは比較的アナログな業界のクライアントが多く、AIやデジタルとは距離があるのですが、私のようなキャリアでもAIやデジタル分野に身を置くことは可能でしょうか?
Answer
近年、AIやデジタルという言葉は、テクノロジー業界にとどまらず、あらゆる業界で重要なキーワードとなっています。企業の競争力強化や新規事業の創出において、これらの技術をどう活用するかが、今や経営課題の中心となっているように感じます。
そんな中で、あなたのように「これまでAIやデジタルに関わってこなかったが、今後はこの分野で事業開発に関わりたい」と考える方も増えてきました。とはいえ、未経験からこの領域に挑戦するには、どこから手をつければよいのか迷ってしまう方も多いかと思います。
まず大切なのは、ご自分のこれまでの経験と、AI・デジタル技術がどのように交差するかを見極めることです。たとえば、製造業での経験がある方であれば、「製造現場でのAI活用(検品、保守、予測)」などが接点となり得ます。また、営業やコンサルティングの経験があれば、AIソリューションの提案や導入支援の役割で価値を生み出すこともできます。
AIやテクノロジーは、それ単体で価値を生むわけではなく、「誰のどのような課題をどう解決するか」が常に問われます。だからこそ、そのような本質を考え抜くことができる方が求められています。
未経験の方にとって、AIという言葉は敷居が高く感じられるかもしれませんが、事業開発に関わる上で、すべての技術的詳細を理解する必要はなく、むしろAIの基本的な概念や活用事例、仕組みが「ざっくりと」分かっていれば十分と感じます。
たとえば、「生成AIとはどんな仕組みか」「画像認識や自然言語処理がどのように使われているか」「企業はAI導入で何を解決しようとしているのか」といったテーマについて、基本的な知識を持っておくことで、面接の会話の中で信頼を得ることができます。
そういった分野の学習には、今では様々な解説動画やビジネス書、オンライン講座などがありますので自宅で知識を高めることもできますし、世の中にある実際のAI活用事例を調べることで、よりリアルなイメージがつかめます。
「事業開発」とは、一般的に以下のようなポジションを指します。
・BizDev(ビジネスディベロップメント):提携交渉や新市場の開拓、プロダクト改善など、事業の成長戦略に関わる業務
ただ、いきなりでは難しいこともありますので、そこにつなげることができ、かつ未経験者がチャレンジしやすいポジションとしては、以下のようなものが考えられます。
・CS(カスタマーサクセス):顧客に対して製品の使い方や活用方法を提案し、成功体験を支援する役割
・セールス/アカウントマネージャー:AIソリューションを企業に提案・導入する営業職
(※業界知見が活かせる)
・プロダクト企画:ユーザーの声を拾い上げ、開発チームと連携して製品に反映する業務
これらの職種はいずれも、「技術」よりも「顧客理解力」や「課題解決力」が重視される傾向にあります。
転職の場面では、「なぜこの分野に挑戦したいのか」「これまでの経験がどう活かせるのか」をしっかりと言語化することが重要です。その上で、「現在どのようなリテラシーを学んでいるか」「どんな領域に貢献できそうか」といった視点を伝えることで、企業側にもポテンシャルを感じてもらえます。また、業界の勉強会やミートアップに参加することで、ネットワークを広げることもできます。
ただし、まずは書類選考を通過しないことにはそういったアピールもできませんので、面接に進む可能性を上げるために、能動的に志望動機書を作成することも有効だと思います。
最後に、未経験からAIやデジタル分野の事業開発に挑戦するのは決して簡単な道ではありませんが、社会の変化が大きい今だからこそ、異業種からの越境が歓迎される場面も増えています。これまでのキャリアに自信を持ちつつ、新しい分野に挑む覚悟と準備を整えれば、必ずチャンスは巡ってくるものと思います。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
若張 正道
株式会社アクシアム
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。