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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第252回2025.12.18
3年後に継ぐ家業の経営に役立てようと転職を決意。転職先選びのポイントは?
現在、外資系企業のマーケティングに携わっています。3年後に家業(小規模ファミリービジネス)を継ぐため、それに役立つ経験を積むべきと思い、転職活動をしてオファーをいただきました。中堅企業の経営数字を扱うポジションです。社長直結で意思決定にかかわる数字を分析します。経営者に近い立ち位置で、経営判断に関わる経験を深められるとは思うものの、業界が異なることと年収が下がるので、同社でよいのか正直迷っています。アドバイスをお願いします。
Answer
いずれあなたが「経営者=社長」として実家を継がれることを前提として考えますと、今回の転職は、経営者のそばで経営感覚を養う良い機会であると思います。異業界であっても「経営に近いポジション」で経営者の「判断と意思決定」の過程を間近で体感し、習得することができますので、同社は3年後を見据えたキャリアステップとして有効といえます。
良い機会といえる理由は以下の3点です。
1.小規模の企業であるほど「社長の意思決定」が売上と利益に直結します。
社長が「事業の軸」を決め、意思決定することで売上の方向が大きく変わるので、経営力の影響度が大きくなります。あなたが承継するファミリービジネスは小規模ということですので、同社と通じるところがあり、同様に経営スキルは極めて重要です。社長直結のポジションですから、事業分析・予実管理・財務計画など経営判断に関わる数字に強くなるだけでなく、経営者に必要な判断と意思決定、リーダーシップも体得できる絶好の機会になるはずです。
2.業界知識や商慣習、現場での実務スキルは事業承継をしてからでも身につけられます。
ご実家のファミリービジネスの業種・事業内容がわからないので、少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、現場知識や業界ネットワークは後からでも身につけることができます。ご家族や、長く勤務しているメンバーの方がいらっしゃれば、現場での実務はその方々からラーニングもできるでしょう。
仮に、特殊技術を要するビジネスの場合でしたら、ベテランの技術者(職人)がいらっしゃるはずですので、現場はその方たちに任せることです。むしろ社長であるあなたの役割は、メンバー・職人たちと積極的にコミュニケーションをとり、良好な関係を築くこと。もちろん技術への理解は必須ですので、ファミリービジネスの事業理解、業界知識や商慣習などは今から少しずつキャッチアップをするなどして始めていけるのではないでしょうか。専門知識が必要な場合は関連する資格を取得する、勉強会に参加するなど、キャッチアップを進めておくことで対応できることもあると思います。
他方、外部の関係各社とのネットワーク、顧客開拓など、ご家族が長年培われたネットワーク、関係性も引き継ぎます。これは一朝一夕にはいかないと思いますが、事業承継(経営)をしながらこれらの方々との応対も身につけていけばよいのではないでしょうか。これまでの良いモノは継承しつつ、次の世代であるあなたなりの工夫を加えて「親の七光り」と侮られないようにすることです。そしてゆくゆくは「新たな価値」を社内外へ提供できるとよいですね。
3.将来、会社を伸ばすには「業界外の視点・経験」も強力な武器になります。
業界問わずデジタル化が進み、AIが様々な業界で仕事をこなす時代です。異なる業界である同社(転職先企業)でも、事業の継続と成長に向けて「経営改善」「差別化」「デジタル化」へ取り組んでいるのではと推察しますので、その経験はあなたが承継するビジネスでも十分役に立つはずです。そこで培える経営力・デジタル力が今後の成長の差になると言っても過言ではありません。
3年後、社長として事業承継をすることを前提に、スキル面を中心にお伝えしましたが、今回の転職はスキルだけではない人間力を含めて、多面的・客観的に学べる機会(良い点も反省点も)となるはずですので、金銭以上の価値を得られるのではないでしょうか。
オファーをいただいたその企業が、一緒に仕事をしたいと思える人/仲間/チームなのかも見極めながら、判断してください。企業/事業の継続を支えるのは共に進める「人」だからです。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
大石 順子
株式会社アクシアム
エグゼクティブ・コンサルタント

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。
