転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第259回
2026.08.06

他社オファー条件の開示は損?得? キャリアコンサルタントが条件を確認する理由

現在54歳、新卒から日系大手事業会社に勤め、子会社の経営などの経験を積んできました。55歳になると役職定年を迎え、年収や職務内容などが現在よりも魅力的ではなくなるため、転職を考え、人材紹介会社に相談をしました。

紹介された事業会社A社の最終面接に進んだのですが、別途、自分で直接進めていた事業会社B社から先にオファーが出てきました。相談していたキャリアコンサルタントからは、どういうオファーなのか具体的に教えてほしいと連絡がきたのですが、もしA社からもオファーが出てくるとなった場合、B社のオファーに影響を受けてしまうことを懸念して具体的な条件の開示をためらっています。B社のオファー内容を伝えるべきでしょうか?

Answer

ご相談ありがとうございます。ご懸念はもっともです。B社のオファー条件がA社へそのまま伝わってしまい、それを基準に条件提示をされるのではないか、とご心配されているのだと理解しています。

その点はご安心いただきたいのですが、私たちキャリアコンサルタントの目的は、B社の条件をA社へ伝えることではなく、ご相談者が納得感のある意思決定をしていただけるようサポートすることです。

具体的な条件をお伺いしたい理由は、大きく2つあります。

1つ目は、A社からオファーが出た際に、年収だけでなく、役職・ミッション・権限・評価制度・入社時期・働き方なども含めて客観的に比較し、ご相談者にとって最適な選択を一緒に整理したいためです。

2つ目は、A社との条件交渉をより効果的に進めるためです。もちろん、B社側の具体的な金額や条件をご相談者の了承なくA社へ伝えることはありません。交渉を行う際も、どの情報をどこまで開示するかは事前に必ずご相談し、ご意向を最優先に進めます。

一方で、B社のオファー内容がまったくわからないままですと、A社へどの程度の条件交渉を行うべきか判断が難しくなります。その結果、本来であれば引き出せた可能性のある条件改善の機会を逃してしまったり、A社から提示された条件が市場や他社比較で十分かどうかを適切にアドバイスできなかったりする可能性があります。

また、年収だけではなく、
・55歳以降も含めた役割や期待値
・裁量や意思決定権の範囲
・評価制度や昇給・賞与の考え方
・退職金や企業年金、福利厚生
・雇用形態や定年・再雇用制度
・将来的なキャリアパスや経営への関与度
なども、長期的な満足度を左右する重要なポイントです。

プロフェッショナルファームなど提示条件を外部へ開示することを禁止する企業もありますし、A社からの内容を受けてB社の提示が変わることも想定されます。ただ、いずれにしても今回の転職は、ご相談者にとって今後のキャリアを大きく左右する決断になると思います。だからこそ、できる限り多くの情報を共有いただいたうえで、条件面だけでなく中長期的な視点も含めて、後悔のない意思決定をご支援できればと考えています。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

伊藤 嘉浩

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント

伊藤 嘉浩

2008年、アクシアムに参画。エグゼクティブ・コンサルタントとして、経営者やプロフェッショナル人材、MBA、若手・次世代ビジネスリーダーまで、幅広い年齢層へのコンサルティング、キャリア開発、紹介実績あり。アクシアム参画前は、商社にてアパレルブランドの輸入販売や海外事業開発を手掛け、新規事業の立ち上げと事業の黒字化を達成。事業計画策定、商品企画、マーケティング、リテールマネジメント、組織開発、生産管理などの経験を持つ。海外事業開発をはじめとする“実業経験を持つキャリアコンサルタント”として、個人のグローバルなキャリア、イノベーティブなキャリアの実現を使命とする。

日本キャリア開発協会認定 キャリアディベロップメントアドバイザー(CDA)