転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第260回
2026.11.05

MBA卒業後のキャリア選択。専門性を活かす転職か、現職への復職か?

日系大手企業で事業投資に関わった後、休職して私費でMBA留学中です。以前より興味があった戦略コンサルティングファームを受けて無事オファーをいただきました。条件は申し分ないのですが、改めてやりたいことを考えてみると、自分はファイナンスをベースに日本企業(BtoB)の発展に寄与したいと思っており、コンサルタントとしてのキャリアを挟むことが本当に必要なのか、現職でもっと直接関われる機会があるのではと思い始めました。

復職した場合、元の部署には戻れないため(1)CVC業務、(2)M&A業務に就きたいと会社に希望を出してはいますが、その希望が通るかはわかりません。コンサルティングファームへの転身は年齢的にもラストチャンス(現在30代半ばですので)であると自分でも認識していますが、同時にファイナンスの専門性から遠ざかることに危機感も感じています。MBA卒業後のキャリア選択について、アドバイスをお願いします。

Answer

お話を伺うかぎり、「戦略コンサルティングファームへの転職と現職への復職、どちらがよいか」という単純なご相談ではなく、ご自身が磨いてきたファイナンスの専門性を維持しながら、日本のBtoB企業の成長に貢献できるキャリアはどちらなのか? 自分が本当に実現したいことに、この転職はつながるのか? を見極めたいのだと思います。その前提で考えてみましょう。

あなたが実現したいのが、「ファイナンスを武器に、投資判断・M&A・資本配分などを通じて、特定の企業や事業の成長を当事者として関わること」なのか、「事業成長をファイナンス面で支えるプロフェッショナルになること」なのかにより、次のステップのスタート位置は変わってきます。

■戦略コンサルティングファームでの可能性
事業投資の経験は、投資判断や企業価値評価を繰り返すことで深まる部分があります。そのため、コンサルティングファームに移った後、財務分析や投資案件から離れ、一般的な経営戦略や業務改革の案件が中心になるのであれば、専門性の連続性が弱まる可能性はあります。一方で、コンサルティングファームで投資先の事業戦略を立てる、事業ポートフォリオを再編する、投資後の企業価値向上を推進する、といった経験も、ファイナンスと事業をつなぐ能力を高めます。

むしろ、将来的に経営に近い立場で企業成長に貢献したいのであれば、投資評価に加えて「投資した企業をどう成長させるか」を理解することは大きな強みになります。大事なことは、ファイナンス中心のキャリアからにコンサルタントとして領域を広げ、ファイナンスの専門性をどう活かし、どこへ戻る(ポストコンサル)のかイメージを持っておくことです。オファーをいただいたファームに下記を確認してみるとよいです。

・M&A、企業価値向上、投資戦略、事業ポートフォリオ戦略に関わる案件はどの程度あるか
・自分が希望する案件に配属される可能性はどの程度か

また、ファームとの面談などを通じて得られた情報を元に、下記についても考えを整理しておくとよいと思います。
・3~5年後に事業会社のCVC、M&Aや経営企画などへ展開する際、どのような経験が資産になるか

つまり、そのファームで得られる経験が、自分の目指すキャリアにどうつながるかを考えていただきたいです。

■復職した場合の可能性
復職した場合、すでにある投資の経験を途切れさせずに発展させられる可能性があります。

(1) CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)業務
投資評価、企業価値評価、投資判断など、これまでの経験を活かせますし、出資後の協業や事業開発まで関与できる可能性もありますが、事業シナジーが重視されることもあり、投資実行の頻度や裁量については確認が必要です。

(2)M&A業務
買収・売却、資本提携などを通じて、企業の成長や事業ポートフォリオの変革を推進しますので、これまでの経験に加え、MBAで深めた企業価値評価、財務分析、投資採算、ディール推進などを活かせます。案件の発掘から交渉、実行などを通じM&Aのエキスパートには近づけます。現職側へ確認できる範囲で、次の点を確かめてみてください。

1.希望する2部門への異動・配属は現実的にあり得るのか
2.CVC、M&Aそれぞれの部門で、どのような業務を担当できるのか、投資実行や経営意思決定にどの程度関われるのか

希望部門への配属が確約できるとは限りませんが、現職に戻る選択肢がどの程度具体的かつ現実的なのかを見極めてから判断してもよいと思います。復職して、仮に希望部門でスタートができたとして、それが実現したいことと直結するのかも考えてみてください。

転職をするにしても復職するにしても、「本当に実現したいこと」につながるか、上記の点に留意しながらご自身で見極める参考になれば幸いです。人生の投資判断を行うチャンスがあるのは“今”です。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。