株式会社MCJ

「マウスコンピューター」をはじめとする、12の企業を統括・運営する株式会社MCJ。1993年に創業者・髙島勇二氏(現・代表取締役会長 兼 CEO)がパソコン事業を起業したことからはじまり、現在ではIT関連機器の製造・販売及びその周辺ビジネス(複合カフェ展開など)までを展開する複合企業に成長しました。同社は創業から23年で東証二部上場、グループ全体の売上高1千億円超を果たし、快進撃を続けています。 そんな同社に今年4月、社長 兼 最高執行責任者(COO)として安井元康氏が新たに就任されました。安井氏はかつて同社でIPOを実現するなど活躍され、その後、MBA留学を経て戦略コンサルティングファーム等で辣腕を振るった人物。二度目の参画となる人材をあえてトップにすえた株式会社MCJとは、どのような企業なのか? 同社の今後の目論見とは? エグゼクティブ・コンサルタントの若張正道が、就任されたばかりの安井氏にお話を伺い、同社の魅力を探りました。 (インタビュアー アクシアム 若張正道) [掲載日:2017/*/*]

(以下敬称略)

ニッチフォーカスとテーラーメード型のBTOで急成長

若張:
この度は社長へのご就任、おめでとうございます。本当にお久しぶりですね。以前、経営共創基盤様におられた時にお話を伺って以来か、あるいは弊社のイベント(※キャリアフォーラムCareer Talk Live)にご登壇いただいて以来でしょうか。

安井氏:
ありがとうございます。たしかイベントに出させていただいたのが2014年ですから、もう3年が過ぎたのですね。

若張:
今回のご就任のニュースには驚きましたが、いよいよ安井様がトップマネジメントとして事業会社で手腕を振るわれるということで、大変嬉しく思いました。本日は、どうぞ宜しくお願いします。では早速ですが、まず御社の事業やグループの概要についてお教えいただけますか?

安井氏:
MCJ単体としてはホールディングカンパニーですから、グループ会社の統括および運営がその仕事です。傘下には12の会社があり、パソコンおよび周辺機器の開発・製造・販売からアフターサービス、サポートサービスまでを行うマウスコンピューターやユニットコムをはじめ、海外でモニタの開発販売を専門的に行うiiyama、IT機器の卸販売を手掛けるテックウインド、インターネットカフェを運営するaprecioなど、多岐にわたる事業を展開しています。

若張:
マウスコンピューター様の印象が強いですが、色々な事業を手掛けておられるのですね。

安井氏:はい。ただ、パソコンとその関連ビジネスが、やはり売り上げとしては大きいですね。弊社の場合、パソコンの中でもスペシャリティPCといいますか、特殊用途PCに強みがあり、おかげさまで順調に事業が成長しています。特殊用途PCとは、例えばゲーミング用であるとか、クリエイターさん向けのハイスペックなものを指します。そういった、いわばニッチフォーカスのパソコンに大きな強みを持っています。

さらに他社様と違うところは、そのようなニッチフォーカスのパソコンを、見込み生産型ではなく注文を受けてから製造・出荷するBTO(Build To Order)のビジネスモデルで提供している点です。すでにパソコン産業は成熟化しており、消費者ニーズはじつに多様。いわばマス層がいない世界なわけで、そこに画一的な商品を供給しても対象となるマスが存在していないわけですから、ニーズはありません。したがって私たちのように、テーラーメードで出せるビジネスモデルが伸びてきているのだと思います。

若張:
なるほど。「ニッチフォーカス」と「BTO」が、御社の優位点なのですね。この他にも事業の特長はありますか?

安井氏:
日本の製造業において、製造拠点をどんどん海外に移していく流れがある中、弊社は国内生産にこだわっています。開発拠点もしかり。長野県飯山市に自社工場があり、コールセンターやリペアセンターも自前です。ユーザーの皆様に「スペックのわりに価格が安い」と言っていただけていますが、安いものを売って終わりとは考えていません。やはり買っていただいたその先、アフターサービスやサポートサービスの質の高さも重視しています。このように国内で開発からアフターサービスまで、自社において一気通貫で有している点が弊社グループの特長であり、強みであると自負しています。

「ハードウェア」に加え、「ソフト/コンテンツ」にも領域拡大を狙う

若張:
これまで順調に事業を拡大され成長されてきたわけですが、安井様がトップに就任されたいま、今後のグループをどのような会社にしていきたいとお考えなのでしょうか? 事業のビジョンをお聞かせいただけますか?

安井氏:
そうですね…長い目で見ての目論見でいうと、「ハードウェア」に加え「ソフト/コンテンツ」にも領域拡大を狙い、2つの柱で成長していきたいと考えています。

現在の弊社は、いわば「パソコン屋さん」です。パソコンとはハードウェアの一部であり、ハードウェアは究極的には情報との接点であり、その為のツールのひとつです。情報を発信する、アクセスする、シェアするツールのひとつであり、以前はそのようなツールはパソコンだけでした。しかし今はスマートフォンをはじめ、ウエアラブル、ドローンなど様々な機器が生まれ、今後もそれらは増えていくでしょう。ただ形は変わるとしても、情報をやり取りするためのツール=ハードウェアそのものは決してなくならないと考えています。

その様にユーザーにとってのツールの選択肢が増えているなか、私たちもパソコンというひとつの領域に留まっているのではなく、扱うハードウェアの種類をいかに増やしていくかが重要であり、IoTなども含めた最先端のハードウェアを必要とする分野にどんどん領域を広げていきたいと思っています。いまやグーグルやアマゾンといったハードウェア屋以外からのも参入も増えており、ハードウェアはまさに成長産業。ですから私たちもその成長産業の中で領域を広げることによって、どんどん伸びていきたいのです。

それから2つめの柱として、「ソフト/コンテンツ」にも領域拡大をしていきたいと考えています。これまでハードウェア産業というのは、やはり“ものづくり”の観点が中心でした。ですが前述のようにハードウェアをツールのひとつであると捉えると、見え方は違ってきます。例えばスマートフォンを買うときに、ただスマートフォンが欲しいからと購入する人はいません。何かをしたいからデバイスとしてのスマートフォンを買うのです。ですから「何かをしたい」という、ハードウェアを製造・販売したその先の領域にも軸足を置いていきたいですね。

若張:
御社自らが研究開発し、ソフトやコンテンツを発信されていくということでしょうか?

安井氏:
そうですね。これまでも私たちは日本発の製品を発信しており、例えば手のひらにおさまるスティックPC、指紋認証デバイスなどを開発してきました。ですが今までの研究開発の中心は、あくまでPCデバイス。今後はそれ以外の領域でも、積極的に開発を推進していきます。

ただ、これだけマーケットのサイクルも早いですし、すべてを自社だけで開発しようとは思っていません。いまは面白い製品開発やサービス展開を行っているベンチャーがたくさんありますので、彼らと積極的に手を組んで投資を行い、事業を展開できればと考えています。

若張:
オーガニックの成長に加え、積極的にM&Aなどの手法もとっていくということですか?

安井氏:
はい。先ほども申し上げたように、私たちには製造インフラがあり、その後のアフターサービス、サポートサービスの仕組みも自社で保有しています。製造系ベンチャーには、それらを活用してもらいたい。例えば彼らには研究開発に特化してもらい、製造販売は我々が担えばいい。このように、彼らと組むことはリアルなビジネスとして双方にシナジーが出せ、WIN-WINの関係になれると考えています。これは通常のベンチャーキャピタルにはできないこと。このようなスタイルで、投資活動でも積極的に勝負をしていきたいと目論んでいます。

大企業のインフラと、ベンチャーマインドを併せ持つ組織

若張:
グループ全体に共通するカルチャーや、社員の方が共通して持っておられる「思い」のようなものがあればお教えください。それとも各社でそれらは異なるのでしょうか?

安井氏:
マウスコンピューターは創業時からの会社ですが、その他はM&Aで一緒になった会社ですので、やはりそれぞれに特徴やカラーがあります。ただ共通点を挙げるとするなら、『面白いもの、ワクワクするもの、誰もやっていないものを世の中に生み出したい』というマインドでしょうか。

おかげさまでグループ全体では売り上げが一千億円以上、従業員も千名以上の規模に成長することができました。ですからオフィス環境や福利厚生など、いわゆる働く場としてインフラは大企業並みに整っています。その一方で、先程申し上げたようなチャレンジ精神が社内に溢れている。大企業的なインフラと、ベンチャー的なマインドをバランスよく持てているところが、弊社らしい特長ですね。

それから、マネジメント層と一般社員の距離が近いことも、うちらしい点かもしれません。もちろん職位の階層は一般的な企業と同様にありますが、その組織はとてもフラット。この規模の会社でありながら、職位の上下にとらわれず話せる環境がある。必要なところに必要な情報がきちんといきわたることを、非常に大切にしています。それでこそ、スピード感をもって仕事ができるのだと思います。

本気でマネジメントを目指す人材に、チャンスは無限

若張:
安井様は以前、MCJ様に在籍されていましたが、経営共創基盤様を経て再度ご参画されました。今回、社外から入ってマネジメント(社長)にご就任されたわけですが、ご苦労をされたこともあるかと思います。そんな時、どのようにしてうまく組織をまとめてこられたのでしょうか?

安井氏:
そうですね…マネジメントの職にある以上、反対や反発を受けることなど日常のこと。私の仕事の一部であると思っています。部下や周囲の人間に動いてもらうには『大きな絵を描き、それを示したうえで言い続けること』が必要ですが、その絵を描くときに「本当にその絵でいいのか」「自分が先頭に立ってやる意味が本当にあるのか」と自らに問い、突き詰めて考えることを非常に重視しています。そのうえで情報発信をしていくよう気を付けていますね。自分自身が腹落ちして納得しているからこそ人を説得できますし、信念をもって話すからこそ相手に伝わるのですから。

一方、リーダーとは、周囲の人間を引っ張っていくだけでなく、皆で作っているのだという一体感をいかに醸成するかも重要な役割であると考えています。周囲を引っ張るリーダーとしてだけでなく、マネージャー的な役割、つまりその人(部下)が「活躍できる場所を提供すること」「言いたいことを言える環境を用意すること」も私の大切な仕事。ですから、引っ張っていく部分と任せる部分をつねに分けて考えていますし、常に発言しやすい雰囲気や提案を素直に出せる雰囲気(=場)作りを意識的にやっています。絵を描くのは私かもしれませんが、その絵を実現していく中で“適切な人材を、適切な場所に配置し、任せる”というやり方をとっています。

若張:
なるほど。それが安井様のマネジメントスタイルなのですね。ではつぎに、ずばりMCJ様がほしいと思われている人材像についてお聞かせください。

安井氏:
ホールディングカンパニーであるMCJは、それ自身で何かモノやサービスを作っているわけではありません。その価値の源泉は『人』です。『人』しかないと言っても過言ではありません。つまり、社員ひとりひとりが自ら考え、成長しなければ、会社としての成長もないのです。その意味では、「仕事をこなす」とか「指示を待つ」という姿勢ではなく、自分で考えて仕事を創り、それを実行できる人材、自分の領域を決めることなく仕事をクリエイトして自己成長していける人材がほしいですね。傘下の企業が展開する事業は多岐にわたり、スピード感もあります。その中でグループをまとめ牽引していくためには、主体的かつクリエイティブに仕事を創っていける方に来ていただきたいです。

若張:候補者にとって、御社にはどのようなキャリアチャンスがあるのでしょうか?

安井氏:
MCJ、そして私たちのグループは、まさに成長の過程にあります。2004年のマザーズ上場時から、売上高は約10倍にまでなりました。このような成長の局面では、そこにいる人にじつに多くのチャンスが溢れています。つまり会社の成長と個人の成長の相乗効果を狙えるということであり、その環境は、個人のキャリアにとって非常に魅力があるのではないでしょうか。

今後、会社の目指す姿を実現していく過程には本当に色々な仕事があり、何でもできるチャンスが出てきます。できる人、やりたい人に、そこをどんどん任せていきたい。私自身がそうしてキャリアを重ね、成長してきたのですから。

若張:
「安井様の後継者を狙っていきたい」というような、いい意味での気概のある方は歓迎ですか?

安井氏:
はい。マネジメントを本気で目指したい人、大歓迎です。私が実例のとおり、弊社は人材登用に躊躇する会社ではありません。もし、私の後継者たる人が参画してくれたとするなら、私がこれまで培ってきたことを伝え、マネジメントとしての教育を施させていただきます。やりたいと手を挙げてもらえるなら、ほとんどすべてのことにチャレンジしてもらいたいと考えています。

仕事の範囲がどこまでか、どんなことができるかは、まさにその方次第。先程も申し上げたように、人材が気持ちよく働ける場を提供し、そこで120%の実力を発揮いただき、次の後継者になっていただくことも私の重要な役割です。ぜひそのような気概をお持ちの方に来ていただきたいですね。

若張:
本日はお忙しい中、貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。MCJ様、そして安井様の益々のご活躍を祈念しております。

株式会社MCJ 
社長 兼 最高経営執行責任者(COO)
安井 元康(やすい もとやす) 氏
1978年東京生まれ。都立高校を経て2001年明治学院大学を卒業、GDH(現ゴンゾ)に入社。翌2002年おなじくベンチャー企業の株式会社エムシージェイ(現MCJ)に転職。2004年、同社のIPO実務責任者として東証マザーズへ上場達成後、26歳でCFO(執行役員・経営企画室長)に。その後、自身の学歴コンプレックスを解消し、同時に自己流の仕事術がどれだけ通用するかを確認するためにケンブリッジ大学大学院へ私費留学。同大でMBAを取得。その後、2007年に経営共創基盤に入社し、4年弱でディレクターに昇進(同社最年少)、その3年後にはプリンシパルに。2016年、再び株式会社MCJに執行役員として入社。2017年4月より、同社の社長 兼 最高経営執行責任者(COO)に就任。

インタビュアー
若張 正道
株式会社アクシアム
 エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー
若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。

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