転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第55回
2008.12.18

法人営業の経験のみ。今後はコンサルタントを目指していきたい

転職を考えている27歳です。大学卒業後からの4年強、法人向けにWebソリューションサービスの営業を行ってきました。現在は小さいながらチームのリーダーに昇格し、自分自身がアカウントを担当するだけではなく、営業企画・営業管理的な業務も行っています。

今の仕事に不満はないものの、営業活動の中で企業へ向けて様々な提案をしていくうち、さらに深くクライアントに入り込み、一緒にビジネスを改善していくようなコンサルタントの仕事をやっていきたいと考えるようになりました。

いわゆる法人営業の経験しか現状は持っていないのですが、コンサルタントへの転職は可能でしょうか。また、今後コンサルタントとなるために身に付けるべきものなどがありましたら、お教えください。

Answer

まず、今回のご相談者の方が、すぐになれるコンサルタントがあります。Webソリューションの営業職を「Webコンサルタント」という名称で呼び、コンサルタントとしてのスタンスをより強く打ち出してサービスを提供している会社です。そのような会社であれば、今のご経験をストレートに活かしていけるでしょう。

ですから、もっとも好ましい(実現の可能性がもっとも高い)選択は、顧客と一緒にビジネスを改善することができる「Webソリューション(営業)コンサルタント」の募集を探す、というのがシンプルな回答です。営業経験しかないのでコンサルティング力が足りないというお考えであれば、コンサルタントとしてのスキルを高めてくれるような環境も、プラスアルファーの条件として探すことになります。28歳までなら、その機会は十分に得られると思います。

現職では「顧客に深く入り込み、一緒にビジネスを改善していくことができない」とおっしゃっているようにとれますが、転職後にそれが必ずできるかどうかは分かりません。会社だけの問題ではなく、個々人にも要因があると思います。現職ではなぜ実現できていないのか、転職の前に、一度考えてみられるのもいいかもしれませんね。

また、現在は「コンサルタントになりたい」というお気持ちが強くて気づかれていないかもしれませんが、コンサルタントになった後こそが、ご自身のキャリアには重要です。顧客から何度も「○○さんにコンサルティングをしてほしい」と思われたり、別の顧客から「うちもお願いしたい」と思われるには、コンサルタントとしてのスキルや知識はもちろん大切ですが、顧客志向があること、そして営業力が備わっていることがポイントのように思います。

そうでないと、結局、受託した案件をこなすことはできるが、継続的に仕事がまわってこず、機能しないコンサルタントになってしまいます。そして今回のご相談者は、きっと顧客志向や営業力というベースの資質を既にお持ちなのだろうと推察します。その点を意識され、ご自身のベースを大切にしつつ足りない力を身に付けていかれることをお勧めします。

ですから、すぐに「コンサルタント」と名のつく職に就ける可能性はあるが、中期・長期のことを十分視野に入れて今後の選択を考えましょう、というのが第二の回答になります。

中期的には、まずコンサルタントとしての実質的なスキル・知識を鍛えることが必須ですし、プロジェクトをマネジメントする、顧客を満足させる経験をどんどん積む必要があります。長期的には、顧客から多くの要請を受け、仕事の受託をし、部下の面倒をみながら会社の利益に貢献できる能力を身に付けることが、成功の要件となります。(このような視点でいえば、スタッフが案件の開拓/営業活動を行っており、実際の案件に関する業務はマネージャーが手がけ、パートナーは管理者としての役割のみを担っているようなやり方の会社は、避けたほうがいいかもしれません。)

また、IT・戦略・人事・マーケティング・技術など、手がける分野や個々の会社によってもコンサルタントに求められる専門性・経験・知識・スキル・資格・語学力などは異なりますが、ご参考までに、様々なコンサルタントの求人に共通する典型的な要求要件を記載しておきます。

  • 論理的思考力
  • 分析力
  • プレゼンテーション力
  • 文章化(言語化)力
  • コミュニケーション力
  • 問題を発見、掌握する力
  • 客観的にとらえ説明する力
  • 交渉力、折衝力
  • プロジェクトマネジメント力
  • 様々なステークホルダーとの関係構築力
  • モチベーションを維持する力
  • 創造力
  • チームプレーヤー
  • 責任感
  • 柔軟性
  • タフさ

いかがですか。まだお若くチャンスも多いでしょうが、だからこそ中期・長期の目論見を持って、転職をお考えいただければと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)