転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第111回
2012.04.05

転職回数と在職期間について質問です。

現在31歳、大学卒業後6年間勤務した日系証券会社を退職し、海外MBAに留学。卒業と同時に第一希望であった外資系投資銀行に転職しました。しかし半年後、私が所属していた部門を急に縮小することが決まり、試用期間中ではありますが解雇されてしまいました。友人からの薦めで、すぐに戦略コンサルティング会社に転職しましたが、自分にはやはり金融機関のほうが合っていると思い転職活動をしていました。

しかしながら金融業界は不況が続いており、あまり希望に合致した求人がなかったことから、業界に固執しても仕方ないと思い、現在はオファーをもらった大手外資系事業会社の財務部門で勤務しています。今回は長く勤めることを希望していましたが、戦略変更から日本支社長が交代となり、私の仕事も当初言われていたM&A関連の仕事とは異なり、平凡な財務分析の仕事になってしまいました。

転職回数を重ねてしまうことは本意ではないのですが、これ以上、時間を無駄に過ごすことは耐えられず、やりがいのある仕事に就きたいと思い、再度転職しようと思っています。ただ、このままだと今後も転々と転職してしまうのではという心配も拭いきれません。平凡でも現職に残って転職回数を重ねない方が良いでしょうか?

Answer

結論から申し上げますと、しっかりと成果を出すまで現職に残ることをお勧めいたします。転職回数だけではなく、各社の在籍期間の短さを解消するためです。そして、本当にご自分が実現したい展望を見つけるためにも、これまでの選択のパターンから、視点を変えて考えてみることをお勧めいたします。

貴殿はすでに4社に在職されており、転職回数のみならず、その理由や在籍期間の短さは、履歴書に生涯残り、長期的に見ても今後のキャリアの資産としての価値、評価を下げてしまう原因になります。それぞれの離職理由は会社理由が1回、今回転職活動をするとすれば自己理由が3回です。在籍期間も最初の日本企業こそ6年ですが、それ以外の3社は1年未満ばかりとなってしまっており、極めて問題だと思います。若い時であれば仕方ないと言ってくれる理解者もいるでしょうが、それも30代中盤ぐらいまでであり、それ以降に理解を示してくれる方は少ないでしょう。

恐らく、貴殿はご自分が優秀だという自覚はあると思われますが、「本当に自分がやりたいこと」をご自分でも理解できていないことが一番の問題であり、優秀な方によくありがちなパターンです。優秀な方は、それなりにオファーをもらえ、採用されてしまいますが、ご自分の本当の価値を勘違いしていることもよく見受けられます。若い間は転職回数などそこまで関係なく、きっとオファーを得ることができるでしょう。その意味では35歳あたりまでは心配ありません。また、たとえ在籍期間が短くても、優秀だからとちやほやして採用してくれる企業もあると思います。

しかし、企業は10年も20年も雇用する責任など取ってはくれませんので、その裏では若いうちに採用して40代になったら辞めてもらえばいいぐらいにしか考えてくれていないこともままありますので注意が必要です。本当に困るのは35歳以上になってからです。キャリアデザインには戦略性が必要ですが、過去のご経歴からは残念ながら戦略性が見受けられませんので、今一度キャリアデザインをしっかり考えてみてください。

また、現職が平凡な仕事だと断言してしまっているあたり、考え方についても問題があると申し上げざるを得ません。その考え方を変えないと、ご自分をキャリアの上でより不幸な状況に追い詰めてしまう可能性があります。少なくても、現職はMBA留学中に学んだ経営、財務など基本的なことを、やり方によっていくらでも生かせる職場の一つだと思います。将来の展望によってはご自分から辞めるべき理由はないかもしれません。MBA卒業後の外資系投資銀行は部門の縮小による解雇ですので仕方ないとしても、少なくともコンサルや現職についてはご自分で選んだわけですから、例え不本意な変化があったとしても、現職で出来る限りの努力をし、30代中盤までにしっかり成果を出さないと、その後のキャリアの可能性は閉じてしまいます。

MBA後の不本意な2年間を取り戻したいと焦っておられるお気持ちは良く分かります。ただ、人生設計は必ずしもその通りにコントロールすることはできません。しかし、選択はできます。幸運か不運かは分かりませんが、ご自分が選択したものを受け入れ、解雇にならない限り、現職を継続されることを選択し、最低限努力してみる必要があります。

現職の戦略もまた変わる可能性すらあります。もし今、転職したとしても、その次の職場でも、想定していないネガティブな出来事が起きる可能性だってあります。良かれと思った選択が貴殿の思うような結果になっていないのは、果たして運が悪いからでしょうか?私には選択パターンに大きな原因があるように思われます。

転職回数が増えてしまっていること、ならびに直近の在籍期間が短期となってしまい、結果として不幸なキャリアとなってしまっていることの一番の原因は、「本当に自分が実現したい展望や希望から選ぶ」のではなく、「今やりたいことを選択枝の中で一番と思われることから選ぶ」という行為を繰り返しているからだと、そろそろお気づきになるべきです。人々がいう「自分のやりたいこと」というのは、実は単なる思いつきに過ぎなかったり、周りの人の意見に影響されているだけのものであることも多く、個人個人のこれまでの経験や出来事、あるいは年齢によっても、いとも簡単に変わってゆくものです。長期にやり続けたいことを見つけることが出来た人は幸福ですが、そのような「自分が本当に希望するもの、人生を賭けたいこと」に遭遇した人は稀です。

つまり、本当に自分が実現化したい展望や希望を見つけ出せていない人は、視点を変えて考えてみることが必要だということです。例えば安定という視点であれば、長期の安定を求めて、安定=大手企業という安易な図式の中で選択してしまうと、大手企業に転職してもまたリストラされることもあり得ます。これは安定=大手企業という期待から生じたことであり、キャリアの選択時においては、過度の期待は本当のリスクが見えなくなるので注意しなければいけないということです。現に現職は大手で安定していても、貴方のキャリアが安定していることを保証してくれるわけでなかったわけですから。

長期的にキャリアを考えると、貴殿におかれましては、転職回数を重ねないことも重要ですが、在籍期間の短さを解消することが最優先課題だと思います。これまでのご自身の選択を受け入れ、現職を続けて3年程度でしっかり成果を出せば、ミドルリスク、ミドルリターンにはなりますが、今転職するとリスクだけが高まってしまう危険性があります。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)