転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第144回
2015.02.05

MBAランキングについて教えてください

海外ビジネススクールへの留学準備中の28歳です。英語力はまだ不足していますが、資金面での問題はなくなりました。これからいよいよ出願するにあたり、学校のランキングについて将来の就職の観点から、注意点やアドバイスをいただけないでしょうか。聞くところによると、トップスクールでないと希望通りの就職は難しいという話もあるようですが、出願時から考えておきたいと思います。

Answer

ランキングと就職についてお答えします。(前号のご質問への回答の続きでもあります。)35歳以上のエクゼクティブコースを考えている方は、前職の経験内容に対する評価が、ランキングよりもはるかに比重が高くなるため、アドバイスが違ってきます。今回はあくまでも35歳以下の方を対象とした回答をさせていただきます。

3つの観点で考えてみてください。

  1. ランキングとは何か?
  2. 単に就職ということではなく、何をしたいかということで目指すべき学校が異なる
  3. 海外ビジネススクールで就職に役立たないところが存在するという事実

1. ランキングとは何か?

まずランキングについての考察ですが、世界的に知られているランキングは5種類程度あります。参考までに、主なものを末尾につけておきました。(2015年2月時点)

これらのランキングは当然のことながら、毎年入れ替わります。ランキングの指標も様々で、学校関係者が評価するもの、企業の採用担当者が学生を評価するもの、学生が学校を評価するもの等、誰が何を指標としているのかでランキング結果が大きく異なります。従い、名門とかトップスクールと一口に言っても、評価軸が違えばランクも変わるので、一定の結果は得られません。在籍者も、その学校を卒業する時や、外部へのプレゼンテーションで都合の良いランキングを使って説明することがよくあります。したがい、こうしたランキングは参考データ程度に考えておいたほうがいいでしょう。

2. 単に就職ということではなく、何をしたいかということで目指すべき学校が異なる

第二の点が、MBA留学で、本質的に何を学び、何を目的として、どんな教授のどんなクラスを履修したいのか等を考えることが懸命だという点です。将来のキャリアプランをしっかり出願前に考えることは、合否を左右することにもなりえます。MBA卒業後のキャリアプランをどのように考えているかといった点や、Objectiveと呼ばれるものがしっかりした人のほうが合格率は高くなります。特に上位校のように出願者が多く、合格率が低い競争の激しい学校では、エッセイの重要度は高くなります。出願先の学校を漠然と就職が良いか、悪いか程度の調査では、完全に調査不足です。もっと各大学のホームページを調べて、どんな業界に、どれほどの年収レンジで就職しているか、最新データが開示されているので、トップスクールから中堅ながらこれらのデータが開示されているはずです。社名が実名で開示されている学校もあります。入口の入学審査よりも卒業後の今年の卒業生の就職データこそしっかり読み取っておきたいところです。

3. 海外ビジネススクールで就職に役立たないところが存在するという事実

3つ目の点は、就職できないMBAが存在するということです。私が20年あまりの間海外MBAのキャリアと接してきた経験から、留学しないほうが良いと考える海外ビジネススクールMBAは下記に該当する学校です。

  • GMAT不要
  • 授業料だけ支出すれば卒業可能
  • 学友同期が数十名
  • ビルの一室で専門学校以下の施設
  • 英語の学校なのかビジネススクールなのか分からないほど、外国人が多い
  • クラスの質が極めて低レベル
  • 卒業してもTOEFLやTOEICの点数が低く、英語のインタビューで自己紹介もままならない

当たり前のことなのですが、このようなレベルのビジネススクールも海外MBAとして乱立する時代になっています。歴史のある、由緒正しい海外ビジネススクールで努力してきたMBAの方にとっては、混同されたくないのも当然で、大きな迷惑になっていると思います。まったくどんな企業の採用対象にもならない(少なくとも留学したことが就職にまったくプラスにはたらいていない)という酷い状況です。

こんな学校には絶対に留学しないでほしいです。時間も費用も無駄としか言いようがありません。もはやプロフェッショナルスクールとは言えません。ビジネススクールのランキング20位以内の学校、20位以下の学校、そしてどのランキングにも全く出てこない無名の学校、がありますが、この無名の学校の中の一部に、「就職できないMBA」というのが存在しているということです。

(以前、ランキングによっては20~30位程度の中堅のビジネススクールの卒業生の方から「アクシアムはトップスクールだけ対象にしている。私などは対象ではないのですね。」とのご指摘を頂戴しました。残念なことですが、その方は私がお目にかかったことがない方で、非常に優秀な方とお見受けできる方でしたので、このような誤解を招いたことはとても残念で、当方のサイトでの説明が不十分であったと反省しております。)

こうした様々なビジネススクールが存在する中で、アクシアムはランキングにかかわらず、その人のコンピテンスやキャリアの強みを見つけて、採用側が求めるコンピテンス等とのマッチアップをご提案します。こうした本質と本質のマッチングを目的としたキャリア紹介を通じて、MBAの皆さんの、個々人の展望にあったキャリア開発を長期的に支援しています。

さて、改めて様々なビジネススクールランキングをご紹介します。海外MBAの人数が減少してきたとはいえ、中堅ビジネススクール以上で非常に優秀な方がいらっしゃいます。これらのランキング外の学校の中にも、もちろん非常に優秀な方が見つかることもあります。私達は広く様々な学校を対象として、全ての学校から、優秀な、採用企業が求めるMBAの方を探しています。

ご質問へ回答ですが、トップスクールでなくても、MBA前のご経歴、大学時代の専攻、今後の展望、パーソナリティなど性格や資質のすべてが採用側の審査基準であることから、中堅、あるいは無名の学校でも、ランキングに関係なく就職できますが、前述した条件に該当するような「就職できないMBA」も存在するということにご注意ください。出願された後、合格通知を取得された段階で、弊社にお問い合わせいただければ、合格された学校が、留学すべき学校か、否かを、正直にお答えします。


各種ビジネススクールランキングはこちらのページをご覧ください。
https://www.axiom.co.jp/mba/mba-ranking


※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)