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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第143回2015.01.08
35歳以上のMBAでキャリアアップは可能でしょうか?
日本の大学はあまりトップスクールといえない大学出身の者です。将来の事を考えてMBAを修得して、いわゆる高学歴となってからキャリアアップを希望しています。現在、留学の資金的な問題はそれほど心配ありませんが、英語力はあまり高くなくこれから準備が必要です。
すでに34歳で、今から準備、卒業すると35歳を超えてしまいますが、キャリアアップは可能でしょうか?
Answer
ご相談者の方への回答と同時に、これからMBAを目指す方にも参考としていただきたく、以下に回答します。
まず5つのポイントを先にお答えします。
- できるだけ若くしてMBAを取得することをお薦めします。
- 留学するかどうか決心するのは「今」ではなく、実際に、留学準備の上、出願し、どのビジネススクールに合格したか、合格校が揃った段階で、現実的に留学先も含めて意思決定する事をお勧めします。ランキング外なら、就職、キャリアアップには難しくなりますし、企業(業界)によっては逆にマイナスとなりかねません。
- MBAはキャリアアップや転職のためだけではなく、MBA後の長期の人生設計を豊かにするものかどうか、ご自分のキャリアの展望にMBAが必要なのかどうかでご判断ください。
- 資金の心配がある方もいると思いますが、その場合は、1年制、1年半制、なども考えてみれば良いでしょう。米、欧州、アジアと広くランキング評価が上がっている学校もあります。現地にいくと各種奨学金を取得申請することもできますので、合格した大学の卒業生で私費留学の先輩がいたら詳しく聞きましょう。
- (キャリアアップが前提で)留学するのであれば、ランキングの上位を目指すことをお薦めします。
上記について詳しく説明していきます。 これらを参考にして本当にMBAの留学が必要かどうかしっかりと考えてみてください。
1. できるだけ若くしてMBAを取得することをお薦めします
逆の極端な例をあげると、60歳でハーバードの博士号を取得したとして、その後、何年間、博士号取得までに学んだ知識や成果をいかすことができますか?
企業が期待しているのは、学歴、職歴、知識、経験、資格をそのキャリアの資産として、何年間使ってもらえるかということです。35歳までにMBAを取得したほうがいいのではなく、35歳まで、MBA取得後何年残っているかと考えてみるほうが良いと思います。
35歳を超えて、どうしても留学されたいのであれば、エクゼクティブコース※<Executive MBA(EMBA)>をご検討ください。それでも、キャリアアップに使えるかどうかといえば、エクゼクティブコースのMBA卒業生は元の派遣元に帰任することが前提の場合が多く、リクルーターからもお声がかかりにくく、私費で就職活動を伴うのであれば、35歳以下の方にくらべ、圧倒的に不利です。また、各学校の年齢は多岐にわたるものの最近のトップスクールは26歳から32歳あたりの年齢層が多数です。
これは採用側のニーズを反映しているものです。
※Executive MBA(EMBA)
職歴が組織の中核を担う層を中心に、現職を続けながら短期滞在型の授業で集中的に学ぶことができるプログラムです。欧米、アジアで多くの有力校がEMBAプログラムを開設しており、プログラム内容は大学により異なります。
2. 留学するかどうかは決心するのは、今ではなく合格後をお薦めします。
具体的に準備して、英語力や資金調達を行ってから判断しましょう。合格するかどうか分からない学校に留学するかどうか議論しても、行動を伴わないと時間の無駄になります。
上位校に合格すれば就職の情報が得やすくなり、就職にも有利にはたらく場合があります。中堅の学校でも就職先の情報を得ることができます。合格後に本当に留学することがキャリア形成に有利なのか検討しましょう。
3. MBA後の長期の人生設計を豊かにするものかどうかをよく考えましょう。
日本の求人市場は、MBAだけが評価されるのではなく、MBA前のキャリアとMBAを合わせて審査されます。MBA前の人生を消し去ってくれる効果をMBAに期待するのは間違っています。転職してキャリアアップするだけなら、逆に現在までの職歴だけでMBAがなくても、十分に転職、キャリアアップできる可能性もあります。MBAの本当の価値は、MBA前+MBA+PostMBAの3つの時期をどのように過ごして、何を成し遂げたかが、その後のキャリアに大きく影響を及ぼします。MBAの取得は人生設計全体に影響するということです。
4. 奨学金はそれぞれのビジネススクールでも獲得できるものがあります。
MBA取得時に年収が600万円か1200万円かという議論もできますが、MBA後の生涯報酬がどうなるかで判断しましょう。大まかにいうとMBAだから年収や生涯報酬がアップするのではなく、ランキングの上位校のMBA卒の方々は、5つのバリューを理解し、活かしているのでキャリアを豊かにすることができる人が多いのです。 5つの価値は絶対的なものではありませんが、MBA留学を目指す方には知っておいていただきたい視点です。
【MBAの5つの価値】
1)知識、スキル、ビジネスフレーム
2)留学して得るコミュニケーション力や生活体験
3)価値観。共通概念、経験値
4)ネットワーク(友人、教諭、有名人、著名人の講演や交流会など)
5)機会(インターン、就職、ビジネスなど)
5. キャリアアップを目指すのであれば、ランキングの上位を目指すことをお薦めします。
絶対的上位のビジネススクールは存在しません。ランキングは毎年変化しますし、主なランキングだけでも5種類以上あります。ランキングの調査主体者や調査の指標が異なるため順位もそれぞれ違います(下記参照)。これらいずれかのランキングでトップ20位ぐらいに入っている学校であれば、キャリアメイクにプラスになると思います。
◆各種ビジネススクールランキング
https://www.axiom.co.jp/mba/mba-ranking
ランキング外の学校でGMATが不要である(=高い英語力を必要としない)、学友がほとんどいない、リクルーターが来ない、卒業生の報酬をサイトで発表していない、卒業生の進路をサイトで発表していないという学校も多く、そのような学校の場合はMBAであっても企業によっては関心が低いでしょう。ランキングについてのご質問もいただいているので、次回さらに解説します。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)