転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第162回
2016.08.04

インフォメーション・セッションに参加するも、実際に応募すると落ちました。

ある日系企業に勤務する30代です。現在は、海外での製品展開に関するマーケティングを担当しています。先日、外資系企業に勤務する大学時代の友人に「転職を考えている」と相談したところ、彼が勤務する会社のインフォメーション・セッションに参加しないかと誘われました。「レジュメなどは不要だし、来てくれたら人事の担当者が会社の説明をしてくれる。応募するかどうかはセッションで話を聞いてからでよい」とのこと。そこで、せっかくの機会なのでと参加してみることにしました。当日は、人事の方と私だけのマンツーマン。色々と細かく質問することができ、その会社に対する理解と興味が深まりました。人事の方から「ぜひ応募してほしい」と言われたこともあり、その後その会社の求人に応募したのですが、履歴書や英文レジュメを提出してすぐに「書類選考でNG」との連絡が来てしまいました。お会いした際の感触がよかっただけに、残念でなりません。インフォメーション・セッションというのは、実際には選考を意味するのでしょうか? 当日、既に審査されていたということでしょうか?

Answer

難しいご質問ですね。インフォメーション・セッションは正式な面接ではありませんが、個人としては候補者として査定されているものと思って臨むべきだと思います。今回の場合は、すぐに結果が来たということからも、インフォメーション・セッションの場であなたのことが審査されていたと推察されます。

キャリア採用の初期段階には、色々なプロセスがありますので、まず整理しておきましょう。

エントリー(応募登録)
インフォメーション・セッション(企業説明会)
インフォメーション・エクスチェンジ(意見交換)
カジュアル・ミーティング(手軽な面談、意見交換)
スクリーニング・オブ・ザ・ドキュメント(書類選考)
ディスカッション(面談)
アプライ(応募)
インタビュー(人事面接、部門面接、役員面接)
テスト(筆記試験)

以上が採用プロセスにおいてよく使われる単語と、その基本的な意味ですが、難しいのは採用企業や採用担当者によって、単語の意味する内容が若干違う場合があることです。例えば、「インフォメーション・セッションに来てほしいと言われていたのに、会社説明だけではなく、参加者との意見交換の形式だった」など。このような場合、採用企業側はおのずと参加者のハードスキルやソフトスキルをある程度知ることができます。その後、書類でその裏付けを確認できれば、正式な面接を経る前に基本的なスクリーニングが可能になります。「カジュアル・ミーティングをして気軽な情報交換をしましょう」という場合も同じです。本格的な審査・インタビューほどは質問がされませんが、求める人材としての基本条件を満たした、適格な候補者かどうかを判断されていると見たほうがいいでしょう。

また、人材紹介会社を経由してスカウトを受けている場合にも、注意が必要です。人材紹介会社のコンサルタントが会合の意味を曖昧に理解したまま、いわば企業からの受け売りのみで個人の方に伝えているケースを時折耳にします。このような場合、採用企業と個人の間で大きな祖語が生じてしまい、不幸な出会いになってしまうことが多いからです。インフォメーション・セッションやカジュアル・ミーティングの参加者の中には、転職活動を既に始めている方もいれば、まだ決心をしておられない方もいらっしゃるはず。現職で満足をしているが、声をかけてもらって関心が高まったので一度話を聞いてみたいという方や、レジュメ作成や企業研究の時間はないが、それでもよければ意見交換をしてみたい、という方もおられます。本来は、ビジネスの第一線で活躍中の優秀な人材が欲しい企業側と、多忙だけれど広くキャリアチャンスを知りたい個人側の双方にメリットの多い手法なのですが…。

個人側の対策としては、まずは正式な応募前であっても、審査プロセスが始まっていることもあるとの心構えをしておくこと。そして人材紹介会社を通じて活動をする場合には、採用企業の事情に通じ、ご自身のステータスや意向を正確にしっかりと伝えてくれる、信頼できる会社やコンサルタンントを選ぶことが重要です。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)