転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第213回
2021.03.04

海外事業部門で採用されるも計画がストップ。任されたプロジェクトはやりがいがあるが…

外資系企業から中堅日系企業へ転職して既に数ヶ月が経ちました。海外事業の強化に関わる部署に配属されたのですが、コロナの影響もあり、当面は社長直轄のプロジェクトを兼務することとなりました。

入社後から特命プロジェクトをいくつか任され、幸いなことに自身の強みであるプロジェクトマネジメント力を発揮できていること、早期に結果を出せつつあることで、上司・役員の評価も得られ会社に貢献できそうだと実感しています。一方で、日本のモノづくりの力を海外に訴求したいとの思いから転職をしたものの、特命プロジェクトは国内事業であり、前職と同様の業務をしています。

コロナ禍であることや社内状況を理解し、できることから取り組んでいるつもりですが、いつから海外事業に取り組めるのかは不透明です。このままでは本来やりたかったことからどんどん離れて、国内事業にキャリアがシフトしまうのではと不安を感じ始めています。

現在36歳。やはり30代のうちに手触り感を持って海外事業に携わりたいとの思いがあります。現状をどのように考えたらよいでしょうか? 転職の相談でなくて恐縮ですが、アドバイスをいただくことはできますか?

Answer

キャリアのご相談をいただきありがとうございます。もちろん喜んで回答させていただきます。

最近、今回の方のように今後のキャリアに関するご質問を多くいただきます。個別にお話をお伺いすると、皆さん、ご自身のキャリアについて本当に真剣に考え、向きあっていらっしゃるので、とても頼もしく嬉しく感じます。目の前の転職に限らず、キャリア相談もWelcomeです。お気軽にご相談ください。

さて、話を本題に戻しますと、ご相談者の場合、大きく3つの視点で考えてみることを助言させていただきます。

1.会社を受け止める

少し冷たく聞こえるかもしれませんが、客観的にみると、社長直轄で自社の状況を把握できる「特命プロジェクト」から始められたのは、私には良いスタートを切ったように思えます。

全社の動き(ヒト・モノ・カネ、事業そのもの)や市場における位置づけなど、内部からしか見えないことも多くあるはずです。社長直轄なので、攻め/守りの考えなど経営者の頭の中に触れる機会も多々あるでしょう。入社して「まだ数か月」と受け止め、今のプロジェクトをしっかり進め、プロジェクトの位置づけや会社がどのような方向を向いているのかよく知る時期、貴重な機会と捉えてはいかがでしょうか。きっと希望されている海外事業を手掛ける際にも、プラスの経験・スキルが得られるはずです。

また、前職は外資系企業とのことで、現職(中堅日系企業)とは様々な点で違いがあるでしょう。前職でのことはリセットして違いをしっかりと認識し、会社や現在の立ち位置を受け止めることがまずは大事なことと思います。

2.周囲に存在感を与える

複数の特命プロジェクトをリードされていると思いますので、そのプロジェクトでまずは結果を出すことです。中途採用で入社、外資系企業からの転職ということで、プロパー社員の方々や他の中途入社社員を含めて、周囲は「お手並み拝見」といった目で見ていると思います。

その中で、プロジェクトリーダーとしてあなたの強みを活かせる現在の立ち位置は、社内外の人たちを巻きこんで結果に告げる絶好のチャンスです。結果を出すことで、周囲が認めてくれるはず。それが積み重なると、今後ご自身が社内で発言しやすくなります。

ただ、気をつけていただきたいのは、前職の成功体験が現職でも通じるとは限らないということです。

先にも申し上げましたが、現企業の風土、社風、環境、ヒトなど、前職とは大きく異なるでしょう。前職でのノウハウは現職になじむようアレンジして、現企業ならではのプロジェクトマネジメント・ノウハウを見つけてご自身のスキルを広げ、プロジェクトを成功に導いてください。既に結果を出しつつあるとのことですので、どうやって結果に繋げたのかナレッジをまとめておくこともお勧めします。

3.ご自身のキャリア戦略を立てる

一度、現企業でのキャリアの戦略を立ててみることです。例えば、入社3か年計画など。3年目にどうなっていたいのか、画を描くことです。それが実現するのは未来のことなので確約はできませんが、近づけそうなイメージ持つと、迷ったときの指標になります。今どこに向かって自分は進んでいるのかが、把握しやすくなります。

仮に、3年目には海外事業の●●に携わるためには、入社1年目は会社を理解し、周囲に認められる存在になる。そのためには…、2年目は…などといったように。自分なりに、現企業の時間軸に添った目標を立て、定期的(上期/下期でも四半期毎でも節目を決めて)に振り返り、進捗度を確認してみることをお勧めします。

今は海外事業のタイミングではないのかもしれませんが、アンテナを張り、チャンスとみれば自ら手をあげて動く。また、戦略到達に向けて、結果を出すだけでなくご自身の目標とやりたいことを常に社内や上司、役員、社長へ発信し続け、対話を重ねていくことも意味があります。

あなたはこの状況下でも、もともと、海外事業で採用され部署にも配属されたのですから、会社として海外事業への戦略・目論見はあるはずです。焦らず、周囲をよく観て今やるべきことをきちんとやり、結果を積み重ね、必要なことは発信と対話を続けていくと、しかるべきタイミングが来た時、きっと道は繋がります。今は会社の理解を深めるラーニング期間と捉え、焦らないことをご助言致します。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。