転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第255回
2026.04.09

MBAを経て企業再生コンサルへ。人材育成に興味があり、キャリアチェンジしたい

新卒で日系製造企業へ入社、経営企画で経験を積み、その後MBAを取得しました。ビジネススクールで身に着けた知識やスキルを活かせると思い、マネジメント・コンサルティングファームに入社したのですが、企業再生の現場は修羅場の連続であり、貴重な経験を積んでいるものの、正直なところ精神的・体力的にきついと感じています。

そのような環境で3年間、踏ん張ってやり切りましたので、その経験を活かしつつ別の機会を探したいと考えるようになりました。事業再生では特に、人・組織の改革に携わっており、「人材育成」の領域に興味を深めています。現在40歳、「人材育成」は再生案件の業務で3年程度の経験ですが、この方向へキャリアを展開できるかご相談したいです。

Answer

ご相談いただいた、「人材育成」への展開は可能です。
リアルな現場での3年間の取り組みは、あなたの中で資産化されているでしょう。また、ご年齢(40歳)も即戦力のミドル人材として適齢といえます。ただし、採用企業側からみると、評価される点と懸念点がありますので、両者を整理して転職活動をすることが必要です。
   
1.評価される点
これまでのご経歴・ご経験から、「人材育成と経営をつなげて考えられる人材」として見ていただける点です。
・製造企業(現場理解)+経営企画(全社視点と数字の理解)がベースにある
・MBA(経営視点、理論)
・再生コンサルティング経験(実戦・修羅場+人・組織改革)
・人材・組織への関心(次の軸が明確)
という流れに一貫性があり、違和感はありません。
また、再生現場の修羅場を「人・組織改革」で実際に取り組んでいることは評価ポイントになります。

2.懸念点
一方で、採用側は以下の点を重視します。
・人事としての専門性はどの程度あるか?
・制度設計・育成の設計経験はあるか?
・再現性のある成果を語れるか?
つまり、再生コンサルタントとして人事領域の改革に3年間携わってきた中で、「やってきたこと・成し遂げてきたこと」をどのように「価値化」して、書類上で見せるかが鍵になります。

もちろんクライアントとの守秘義務がありますので、開示できる範囲でどこまで具体的に語れるか、棚卸して整理してみてください。また、3年間での転職は短期間では、という懸念を持たれる可能性がありますので、状況を整理することが必要です。

・3年間、再生現場でコンサルタントとして人事領域に取り組み「資産化」できている
・それ以上続けても得られるリターンより、心身の消耗が大きくなる
・興味軸(人材育成)が明確になり、軸足を変えることを決意している

というロジックで納得性を持たせることが大事です。

あなたの強みは、「経営改革に紐づく人材・組織改革」といえます。
再生現場という修羅場で実施してきた改革は「現場で人が変わるプロセス」を自身で企画・実行し、肌で感じているはずで、これはあなたの強みです。その強みと、前職で得た「できること」と「MBAで得たこと」を足し算して、人材領域への展開ストーリーに一貫性を持たせることで、人事領域経験が3年でも展開がしやすくなります。

では、実際にどのような方向に展開ができるのか、考えてみましょう。

1.事業会社の人材開発・組織開発
・人材育成
・組織変革
・リーダーシップ開発
特に、変革中の企業の組織変革なら親和性は高くなりますし、製造業なら更に確度があがります。とはいえ、人事領域一筋で経験を積んでいる方との比較では不利になりますので、経営×人材育成、経営×組織変革など、再生で培った強みを最大限活かせるところを目指すのがよいでしょう。

2.HRコンサルティング(組織・人材系)
いわゆる、組織開発コンサルティングや人材戦略コンサルティングは、すでに再生の業務で3年の経験・実績がありますので、即戦力となりえます。しかしそれらは、あくまでコンサルワークですので、再生の現場とは異なるもののワークロードの負荷はそれなりにかかるとお考えください。

3.研修・人材開発会社
・企業向け研修設計
・人材育成プログラム開発
企業成長のリーダーシップ育成プログラム・研修設計などで活かせます。
あなたは前職で経営企画と現職再生の現場を経験しているので、経営課題に直結して必要な人材、必要な能力に対し、必要な研修プログラムの企画、実施に落とし込む力があるはずです。合わせて、対象者との軋轢、抵抗、モチベーションのギャップをどう埋めていくかなど、現場のリアルを経験し、人・組織の理解の解像度は高いはずです。この経験が「人が・組織が変わる/変わらない」理由を理解し、現場に再現性ある形で人材を育成する仕組みに活かすことができるといえます。

これまで述べた3方向はいずれも可能性がありますが、より確かなオファーにつなげるために、先に述べた「人材育成」への展開ストーリーに一貫性を持たせることが不可欠です。経営企画(Past)からMBAを経てなぜコンサルタントになったのか(PostMBA)、そこで何を得たのか、なぜ人材領域なのか、なぜ人材育成なのか。そして何を目指すのか(future)まで、経験と志向のストーリー(キャリアデザイン)を描いてみてください。

また、1つに絞り込むのではなく3つの方向にトライし、面接を通して最終的にオファーを手にしたときに、ご自身がやりたいことを選べばよいと思います。

よろしければ、転職活動をキャリアデザインを描くところからご支援しますので、ぜひ個別のキャリアコンサルティングをお受けいただければと思います。人事領域、人材育成への展開を一緒に目指しましょう。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。