転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第80回
2010.02.25

36歳、ITコンサルタントをしております。MBA留学を考えているのですが…。

大学工学部卒業後、基幹業務系SEおよびシステムコンサルタントとしてSIer 2社で経験を積んできました。現在はマネジャーとして大手消費財メーカを担当し、同社の全社的な業務管理システムのコンサルティングを任されています。
今年36歳になりましたが、システムエンジニアとして顧客の経営状態をみていると、経営改善は決してITだけではなしえないことを改めて感じはじめています。

そこで、この機にMBA留学し経営を学び、卒業後はITに限らず経営全般について提案のできるコンサルタントになれればと考えていますが、留学とその後の就職について一般的なことでもいいので助言していただければ幸いです。

Answer

アクシアムでは、キャリアコンサルティングとして今後のキャリアの展望をご相談させていただいておりますので、あくまでもMBA留学をされるとして、長期的なキャリアをどう考えるかという立場での一般的な回答とさせていただきますこと、あらかじめご了承ください。

留学するべきかどうかまたは専攻をどうすべきかどうかというような詳細のご相談については、弊社より留学準備校などの専門のコンサルタントの方とご相談していただくほうが好ましいと思います。ぜひそちらにもご相談してみてください。

以下、キャリアや転職という面からみた、MBA留学を考える際の一般的なアドバイスです。

まず、弊社サイト上でも参考にしていただける情報を掲載しておりますので、こちらをご参照ください。

【for MBA:ステージ別アドバイス stage1:MBA留学検討中 ほか】

【”展”職相談室】(一覧)
┗第26回「元ITコンサルタントでMBAホルダー…」 ほか

おおざっぱに申し上げて、28歳までなら、留学によって学んだ専門知識(専攻)にフィットした業界や職種であれば、いわゆるキャリアチェンジとなる転職でも成功する可能性は高くあります。

これが28歳から35才くらいになると、いくら留学によって専門知識を身につけたとしても、業界と職種を両方同時に変えるような転職はかなり難しくなります。ただ、どちらか片方だけ変えるような転職であれば、まだ成功する可能性は十分にあるとも言えます。

ところが、学位取得の年齢が35歳を超えてしまうとなると、いくら上位校で学び専門知識を得たとしても、業界や職種を変える転職をすることは、急に難しくなってしまうのです。

業界や職種を変えるということは、実質、社会人としての10年以上のキャリアの大半を捨てるに等しいものでもあるので、労働市場では圧倒的に不利となってしまいます。 (採用側の視点からすれば、どうせ経験のない人材を採用するなら、若くて伸び代が大きく、報酬も高くなくてすむ20代をと考えるのは自然なことです。)

このことから考えると、ITコンサルタントから戦略コンサルタントへのキャリアチェンジだとしても、やはり32-33歳程度、遅くとも35歳までであることが望ましく、MBA留学が必ずしも希望どおりのキャリアチェンジにつながらないという可能性が高くなってしいます。

なお、年齢以外の要素を考えるとすれば、経済状況が好景気で人材のマーケットも売り手市場になることを期待するとか、知人や友人、あるいは教授をたよって機会を開拓するというストーリーを追いかけるとか、あらかじめ年収をかなり下げる覚悟でいくなど、いくつかの方策を用意すれば少ないチャンスに期待して「賭け」に出ることも可能かもしれません。

実際、運の良い人は、一般的には考えられないような機会を得る人もおられます。

何事も断定的には言い切れませんので絶対にやめたほうがよいとは申しませんが、上記の点、参考になさっていただければ幸いです。

また、一般的には、経営学、経済学、法学、医学、理工系、最近では環境学などいわゆる Professional School では、単なる大学院というだけではなく、社会のニーズにあわせたプログラムが提供されているので、就職、求人市場にも合致すものであることが多いといえます。とはいえ、MBA、LLM、MS、工学系、理工系、PhD、留学の分野、専攻領域、研究テーマ、大学ランキングやレベルなどによっても状況は変わってきます。

MBA校のランキングも毎年複数の調査結果が発表されていますので、調べてみるとよいでしょう。上位校になるほど就職・転職に有利なのは言わずもがなです。 また、有名な学校では必ずといってよいほど充実したCareer Management Centerがあります。 一方、Professional Schoolでもそれらの就職支援機能が十分でない学校も存在します。 その意味でも上位校は格段に就職に有利です。

通常、各校ともサイト上で就職先情報を掲載していますので、希望校のサイトを確認してみてください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)