転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第133回
2014.03.06

インターンシップの適正期間はどれくらい?

インターンシップの期間はどの程度が妥当でしょうか?MBA留学を終えたばかりの35歳なのですが、業界と職種を変えたキャリアチェンジに挑戦したいと思っています。そこで、どうしても入社したい企業に無償でインターンシップをやらせてくれないかと申し込んだところ、快く受けてもらうことができました。インターンシップの期間は、2週間、1か月、3か月、半年のいずれかを選択することができ、先方は当方の希望を聞いてくださるとおっしゃっていますが、どの程度の期間が良いのでしょうか?実のところ、他社より年収1,000万円以上のオファーをもらっており、その回答期間が1週間後に迫っていることもあって、このインターンシップについて悩んでいます。インターンシップ自体やるべきなのか、やるのであれば、どの程度の期間が妥当か、また特にインターンシップを実施した後に採用とならなかった場合のリスクについて心配しています。

Answer

キャリアを考える上で、時間を重視しておられる点はとても良いことだと思います。結論を先に申し上げると、半年間のインターンシップの実施に挑戦されるのが良いと思います。ダウンサイドリスクを必要以上に懸念することより、できるだけ長くインターンシップの期間を設けてもらい、インターンシップ後に採用してもらえるよう自分で活路を開いていくことに専念すべきです。

留学直後に無償で半年も働くことで、経済的に厳しくなるかもしれません。有償で働いた場合の報酬が惜しまれるのも理解できますが、それは貴方が学ぶための授業料ととれるはずです。このインターシップがキャリアを開発していく上で大事な機会であることをしっかり受け止めましょう。無償とはいえ、採用側もかなり高いリスクを負うことになります。業種と職種が変わることに加えて、35歳未経験でスタートをするのですから、貴方が、まとまった研修もなく、実際に実践の仕事を通して学び、成果をあげられるかという可能性はまさに未知数です。そのような中、採用側は貴方の職能や知識、スキルセット、人柄や人間性、価値観、会社や他従業員との親和性なども細かく吟味していかなければなりません。ましてやそれをパートナーや経営者レベルが時間をかけてやっていくならば、それは企業にとってかなりの負担となります。

ご質問の「どの程度のインターンシップ期間が妥当か」に戻りますが、一選択肢としてあるのが、他社のオファーの回答期限を1か月程度延期してもらい、2週間だけインターンシップを実施することでリスクを回避する、です。もちろんそれも作戦としてあり得ますが、キャリア開発の観点からすれば、全く意味がありません。リスクを回避することが人生(キャリア)において大事なのではなく、キャリア投資のリターンを最大化すること、人生を豊かにすることが大事です。2週間は、ご自分が入社を強く希望する会社から評価をしてもらうのに不十分です。十分な時間を投下して挑戦し、自分で活路を開き希望を実現するということ、これが貴方の人生を豊かにすることに繋がります。

万が一、他社のオファーを断ってインターンシップに臨んだものの、インターンシップ実施後に採用してもらえなかったとしても、その時にはレジメにインターンシップの経験を加筆して、就職活動を再開すれば良いのです。恥じる必要などありません。また、インターンシップ後に無事採用された場合は、MBA卒業の間際からその会社に在籍している形で記載できますので、多くを学び価値ある経験ができたことに加えて、その点プラスαのアップサイドかと思います。顧客対応などにも参加させてもらえるなら、その経験はレジメ上でもかなりのプラスとなるでしょう。

実り多きインターンシップとなりますことを祈念しております。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)