転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第135回
2014.05.01

MBA上位校に入学するには?

海外MBA留学を考えている25歳です。2年後、絶対にトップスクールに入学したいと考えて努力も経費も惜しまないつもりです。しかしながらネックが2つあります。1つは英語力が中級であること。特に会話が全く駄目です。次に現職は日系製造業で営業職です。そのため、会社を退職して、語学学校に留学してそこからMBAを狙うか、あるいは外資系企業やコンサルティングファームに転職しトップスクールに合格できるような職務内容をエッセイに書けるようにしたいほうが良いかと悩んでいます。

どうすればトップスクールに入学できるでしょうか?

Answer

何時も申し上げていることですが、MBA合格後、どんな人生を歩みたいか、どんなキャリアを目指しているのかによっても助言が異なります。しかし、おそらくポストMBA、MBA卒業後のキャリアプラン等は、まだ定まっていないのだろうと思いますので、シンプルにご質問のみに回答致します。

日本の大学名も専攻もわかりませんし、日系企業のどんな会社でどんなセールスをされているのかもわかりませんが、端的に回答すれば、トップスクールに合格するには、語学留学も転職も不要です。逆に、語学学校への留学や転職はマイナスに評価されると思ったほうが良いです。

仕事をしながら英語力を高めてこそ評価されますが、仕事を辞めてフルに英語を勉強しても実務で使える英語力とは見なされません。また会話力を伸ばす事だけ考えれば、短期でフィリピンに留学することなども最近は効果があると言われていますが、それでも会社を辞めて語学研修してトップスクールに合格することはまずないでしょう。語学学校などでは会話力中心の助言がされてMBA向けの価値観からは遠い話題となり、また英語がネイティブではない人に揉まれてもさほど語学力は伸びません。

なによりビジネスから離れることを簡単に選択してしまう人への評価は低いです。苦難と見えるかもしれませんが、多くの先輩が仕事をしながら英語力、TOEFLの関門を国内の準備校や英語学校で研修し得点を獲得しています。海外の語学学校よりも、会話、聞きとりを不得意とする日本人にあわせた効果的な教育が実施されています。職務経験を減らす点でも、コスト的にも収入を止めてまで語学学校留学には賛成できません。

次に、外資系企業やコンサルティングファームへの転職プランですが、これも、むやみに転職回数を増やすだけで、且つMBA留学のため1年程度ですぐに退職するような人を歓迎する企業はありません。黙っていればわからないので採用してくれると言う人がいますが、採用側の上司の信頼を裏切っていては、将来、リファレンスが必要なマネジャー以上の転職市場で、リファレンスを引き受けてくれる人がいなくなります。生涯、自分のレジメに「私は自分の目的のためならすぐに会社辞めます。会社のことは二の次です」と記載しているようなものです。

合格率を高めるエッセイを書きたいのであれば、現職でも書けます。転職して自分の価値を高めようという発想を捨てない限り、上位校に合格は難しいと思います。自分の価値を高めるために、現職でも仕事に工夫をされるべきで、ビジネススクールもそのような逆風の環境でも自己成長した、リーダーシップを発揮した、あるいは挑戦した人を評価し、そのような人を採用するからです。

転職も語学留学も、安易な選択です。若い人の価値は若い時にどれだけ率先して苦労し、それを乗り越えたかが重要な資質となります。

現職を継続し、トップスクール合格を目指してください。1年間一生懸命やってみてダメならまたご相談ください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)