TOPページ転職支援実績 > “展”職成功者インタビューVol.10 佐々木 栄和 氏

徹底的に、自分の強みと存在意義を問い続けた。
“自分の時間=経営資源”という覚悟が継続的な成長を支える

“展”職成功者インタビュー Vol.10
佐々木 栄和 氏

UNchained Labs 株式会社 取締役社長


2015年にアメリカのシリコンバレーにて創設された、UNchained Labs。バイオ医薬品の研究開発を革新的に加速させる分析機器や、創薬・有機合成などの際に必要だった人手による既存のワークフローをオートメーション化する装置を開発・販売するライフサイエンス企業です。

すでに世界で330社以上の導入実績を持ち、日本でも大手製薬会社5社をはじめ複数社が導入。創業からわずか3年で5社を買収し、シリコンバレー本社のほか、ボストン、ロンドン、ブリュッセル、上海に次々と拠点を開設。その躍進は大きな注目を集めています。

そんな同社の6番目の拠点として、2017年に日本法人が設立されました。その代表となられたのが、佐々木栄和氏です。佐々木氏とアクシアムのご縁は今から9年前。コンサルティングをお受けいただき、キャリアチェンジを含む2度の転職をお手伝いさせていただきました。

その頃から抱いておられた「経営者になる」「起業する」という思いを、みごとに叶えられた佐々木氏。当時からの担当コンサルタントである渡邊光章が、これまでのキャリアのこと、転職をご経験されてからのこと、そしてマネジメントとなられた現在について、あらためてお話を伺いました。

「変革」を体現した父の背中が、『展望』の原点

渡邊:
大変ご無沙汰しております。改めて、社長就任おめでとうございます。昨年43歳でいよいよスタートアップベンチャーの社長にご就任されたわけですが、これまでのキャリアパスやご就任後の1年を振り返っていただきながら、今日は佐々木さんのキャリアについて色々とお話を伺いたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

私が佐々木さんに初めてお会いしたのは、2009年秋。佐々木さんは35歳だったでしょうか? フランスの製薬・医療機器の大手メーカーであるサノフィ・アベンティスに在籍して13年目を迎えられた頃で、プロダクトマーケティングのマネージャーとしてバリバリと活躍されていましたね。

当時私はある企業からの要請で同社のプロダクトマネージャー候補となる優秀な人材を探しており、その対象者として佐々木さんにご連絡しました。私はその時のことを今も覚えているのですが、同社へのスカウトのお話をさせていただくに留まらず、キャリアのグランドデザインのお話になり、佐々木さんに将来の展望を伺ったところ「できれば起業したい」とおっしゃったのです。

そこから8年。Unchained Labs株式会社の日本支社長への就任は、ほぼ佐々木さんが起業されたに等しいと私は思っています。その意味で「ついに展望を叶えられたのだな!」と、とても嬉しく思いました。

佐々木氏:
本当にご無沙汰しています。こちらこそ、よろしくお願いいたします。じつは私も、渡邊さんと最初に面談させていただいた際のことをはっきり覚えているんです。一番印象に残っているのは、「給与をみて仕事を選んではダメだ」とお話しされたこと。カンファタブルゾーンを出て、チャレンジングな仕事に適応することでポジションと給与は後からついてくる、というお話のポイントには、全身がカミナリに打たれたような衝撃を受けました。

渡邊:
そんな細かなことを覚えてくださっているのですね。

佐々木氏:
またそのタイミングも最適でした。当時は担当製品が無事に薬事承認を受け、発売2年目まで順調にシェアを伸ばせたときで、きっとむこう1~2年の内に次のキャリア選択を迫られるだろうと意識していました。そこでエージェントとコンタクトを取り始めたのですが、エージェントを介した転職活動なんかしたことがありませんでしたので、片っ端から20社くらいと話をして、約1年活動を続けていたんです。ですがその中で、一緒に私のキャリアを考えてくれたのは渡邊さんだけでした。

そうしてご紹介いただいて転職したGEは、私にとって翼を与えてもらったようなものでした。製薬業界という最たる規制ビジネスから脱却し、コンシューマーのアプローチ、デジタルマーケティング、代理店政策、新規事業のインテグレーションなど幅広いテーマで経験を積むことができました。

つぎにサポートいただいて転職した日本医療機器開発機構は、約1年の在籍となってしまいましたが、スタートアップでなければ出会えないような方々とつながることができ、何より後任者を残していけたことは私自身の経験としても非常に良かったと思っています。その節はまた渡邊さんにお世話になり、おかげさまで私はUnchained Labs株式会社の立ち上げにスムーズに移行することができました。

渡邊:
コンサルタント冥利に尽きるお言葉…嬉しい限りです。佐々木さんのような方のキャリアの節目に立ち会えたこと、私こそ感謝しています。佐々木さんが起業あるいは経営者となることを考え始められたのは、いつ頃からなのですか? また、なぜそのように思われたのですか? 一般的には、大手の外資系企業でマーケティングや事業開発のキャリアを積んでいる方は、ディレクターやマネジメントディレクターを目指すというのがスタンダードな道だと思うのですが。

佐々木氏:
そうですよね。「起業」「経営」を目指したいと思うようになったのには、私の育った環境要因も大きいと考えています。私は大学時代まで地元の福井県におりましたが、この地域には中小企業が多く、私の両親も共働きでした。父はある同族企業に勤めるサラリーマンでしたが、その中で唯一、同族以外から役員に選出された立場の人間でした。父は様々な制約がある中で、自社の技術を磨いて大企業とコラボレーションをしたり、いち早く中国に製造拠点を移す牽引役となったりするなど、おそらく同族内ではできなかったであろう強烈な「変革」を実現していきました。そしてその背中を、私は高校から大学時代、間近に見ていたんです。

渡邊:
素晴らしいお父様ですね。なるほど、そんなところに佐々木さんの展望の原点があったのですね。

グローバル大企業を経て、より自分が活きる場所へ

佐々木氏:
その後、社会人になってからは営業とマーケティングでキャリアを積んでいくのですが、自分の責任範囲が大きくなるにつれ、システマチックに組織が細分化された大企業で働くよりも、フレキシブルな小規模組織で裁量をもって、イノベーティブなアプローチをドライブしていくほうが自分の強みとマッチすると感じるようになりました。

ある日、自分の時間分析をしたところ、50%以上が社内調整に使われていたんです。仮にそれがダイレクターというポジションであれば止むを得ないと思われるかもしれませんが、お客様からみればその会社組織や社内処理は全く関係がないわけで、間接的にでも、「これはお客様に貢献しているのか」と考え問題意識を持つようになりました。

渡邊:
自分をストレッチしていくには、もう“大企業”ではないと?

佐々木氏:
そうですね。もちろんアマゾンやGoogle、アップルなどはスタートアップから大企業になってからもイノベーティブな製品を出し続けており、当時も非常に興味深かったです。しかし日本では変革に対しての意識が総じて低く、課題突破力のあるリーダー育成には積極的でも、上司や経営者のコミット不足による変革プロジェクトの頓挫も少なくなく、既存企業の「事業再生」や「ターンオーバー」の進め方に課題を感じていました。

渡邊:
そのような問題意識もまた、佐々木さんをUnchained Labsの日本法人立ち上げへ導いたのですね。

目の前の課題に必死に取り組み、学び続けて今がある

渡邊:
私は大阪府立大学の生物学の専攻出身で、留学カウンセラーやコンサルタントとして数多くMBAの方をお手伝いしてきましたが、MBAホルダーではありません。じつは佐々木さんのご経歴に関し、勝手にシンパシーを感じている部分があり…本当に不躾な質問で恐縮ですが、いわゆるメジャーな大学やMBAホルダーでもない佐々木さんが、どのようにして大手外資系企業でプロとしてキャリアを形成できたのか、どのようにマーケティングや事業開発、さらには会社設立や経営に関することを学べたのですか?

佐々木氏:
選択肢がなかったからでしょうか。というか、選択肢を持てるほど秀才でもなかったし、英語もぜんぜんできませんでしたから、目の前の課題に対してとにかく必死に結果を出し、学んでいくしかありませんでした。

いま思うと運が良かったのは、14年間在籍したサノフィ・アベンティスで5部門(営業→事業開発→専務室&プロジェクトマネジメント→市場調査部→マーケティング部)を歴任できたことです。ほぼ3年毎に違うテーマとポジションを経験でき、ラーニングカーブが途切れませんでした。その中でも2年間、専務のかばん持ちをする機会があり、M&Aの中で行われる経営判断とプロジェクト、タスクの立案から実行に直接関われた点は特に大きかったですね。自分の頭の中で「人・物・金」と「経営戦略」のいくつかが具体的につながって見えた瞬間でした。

渡邊:
分析機器に強い佐々木さんのキャリアを表す単語のひとつは、“sequencer(※)”であると個人的に思っています。佐々木さんのキャリアの一連の連続性、つまり「なぜそれが、そうなっていったのか?」という点にも符号しますし。佐々木さんが辿ってこられたのは、ライフサイエンスや医療機器の近代化の流れに沿ったキャリアの連鎖ですが、その中で絶対に守られている「遺伝子」というキーワードもあるように思います。

サノフィ・アベンティスからGE、GEからザルトリウス、ザルトリウスから日本医療機器開発機構、日本医療機器開発機構からUnchained Labsへと4回のキャリアチェンジで「継続したこと」と「変えたこと(新しい挑戦領域)」を教えてください。そしてそれが、どう経営力や起業の実現につながったのかが知りたいです。
※sequencer…シーケンス制御装置。機器などの動作順序を制御する装置

佐々木氏:
まず「継続したこと」ですが、特にGE以降のキャリアでは、徹底的に自分の強み(親から刻まれ、自分の経験で修飾したDNA)と存在意義(作用点)を見つめ直していきました。「どのような環境に身を置くか」「どのテーマに関わることが一番自分のパフォーマンスを発揮できるか」について妥協しないことで、優先順位の付け方、時間の使い方をより厳しく考えるようになりました。つまり、「自分の時間=経営資源」と考えるようになっていったのだと思います。また自分の知識、経験、能力では実行できない課題に対しては、すぐに他者に助言を求め、任せるということをより大胆にしていきました。その過程である程度、経営力について自信もついてきたと感じています。

「変えたこと(新しい挑戦領域)」としては、積極的に同じ志をもった方々の会に参加したり、ベンチャーキャピタルや若手経営者の方々とお会いしたり。彼らの経験や知見に触れていくことで、経営者の視点から今後ももっと学んでいきたいと思っています。

「個」を大切にするカルチャーのもと、益々の成長を舵取りする

渡邊:
日本支社長となられた現在、今度はトップマネジメントとしてのご苦労が始まったことでしょう。社長としても、きっと成長され続けると思うのですが、過去のご経験の中で社長業に役立っている、また支えてくれているものがあれば教えてください。

佐々木氏:
そうですね…「個との対話」を適切に行うことの訓練と経験をできたことです。これまでの5年間、中途採用面接や新人面接として、少なくとも週に1人の方とは面談をしていました。短時間でその人の本質を聞き出すのは、まさに柔道の組手で相手の力量を計り知るのと匹敵する鍛錬になりました。Unchained Labの設立にあたっても過去9ヶ月で数十名の方とお目にかかっています。まったく実績も経験もない、このスタートアップを選択していただいた素晴らしい方々といっしょに、革新的な未来を作っていきたいと考えています。

渡邊:
最後に、Unchained Labsの今後の展望を教えてください。

佐々木氏:
Unchained Labsは過去3年で5社を買収し、2桁成長を続けるカリフォルニアスタイルの企業です。昨年7月に日本法人を設立し、10月には東京ラボをオープンし、英語で戦えるメンバー4名が日本独自のオペレーションを開始しています。そして今年もSales Specialistを増員し、益々事業も組織も拡大していくつもりです。

渡邊:
Unchained Labsに興味を持った方に、何かメッセージはありますか?

佐々木氏:
Unchained Labsの大きな特徴は、競合を寄せ付けないユニークな製品と、お客様へのアプローチにあります。扱う製品はこれまでのバイオ医薬品の研究環境を大きく改善するポテンシャルをもっています。そしてUnchained Labでは「お客様」のことだけを考えて行動できる環境があります。また、「個」をもっとも重視しています。参画いただける方は、様々な局面で「私はどうしたいか?」を自問することになるでしょう。「時間」の使い方もお任せします。そしてその評価は「お客様」がする…そんな、とても面白くエキサイティングな会社です。

自由な発想でライフサイエンスビジネスをドライブしたい方、グローバルで通用する営業スキルを身につけたい方、BtoBビジネスをまったく新しいアプローチでやって見たい方など、Unchained Labsのカルチャーでぜひ実現してください。日本にいながらシリコンバレー流のスタートアップを感じ、アジアでドライブできる機会です。

渡邊:
本日はご多忙を極めておられる中、貴重なお話の数々をありがとうございました。後輩諸氏に大いに参考になる、また刺激になるお話を伺えたと思います。快進撃を続けるUnchained Labsがさらに発展していかれること、そして佐々木さんご自身の経営者としてのキャリアが、さらに充実されていくことを願っています。

Profile

佐々木 栄和

UNchained Labs 株式会社 取締役社長

福井県立大学・生物資源学部卒業。サノフィ(旧サノフィアベンティス)で14年間、事業開発やマーケティングリサーチ、プロダクトマーケティングに従事。その後、GEヘルスケアのライフサイエンス事業部にて、バイオ医薬品や再生医療分野のバイオプロセス製品、および研究開発に用いられるタンパク質、細胞解析機器などのラボ製品における、アジアパシフィックのマーケティングディレクターに。つぎにザルトリウスジャパンにてマーケティング部門を新設し、その初代ディレクターとして実績を挙げた。日本医療機器開発機構では事業開発/マーケティングディレクターとして活躍し、昨年、シリコンバレーのスタートアップであるライフサイエンスベンチャーの日本法人立ち上げに伴い、Unchained Labs株式会社の取締役社長に就任。

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
 代表取締役社長・キャリアコンサルタント
渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)

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