転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第147回
2015.05.07

ブラック企業に勤めていることは、転職に不利でしょうか?

海外の大学を卒業後、日本に戻り、2002年大手外食産業の会社に就職。当時はネットバブルが崩壊し、大手企業の採用も手控えられているなか、外食産業は元気で勢いがあり未来を感じたので入社を決めました。店舗、地域統括、事業開発、経営企画とキャリアを積み、今年35歳になりますが、この約12年間でスキルセットもリーダーシップも培うことができました。

しかしながら、ここ数年、周りからうちの会社がブラック企業だと言われることが多くあります。私自身は内部にいて、そのような風評は事実無根であり、ブラック企業に当てはまることはないと思っているのですが、実際のところ転職活動に不利になるのでしょうか?

Answer

ブラックな行為をされていれば転職できません。

しかし、ブラック企業に勤めていたというだけで不利になるとは思いません。

ブラック企業の定義をここでは論じませんが、広く世間でブラック企業だと認識されてしまった企業に在籍されていたとしても、重要なことは、「どんな会社に属していたかではなく、どんな仕事をしていたか?」ということです。

ブラック企業に在籍して、ブラックな行為をしていれば、もちろんアウトです。しかし、ブラック企業に在籍していたとしても、その人が正当な仕事、キャリアの考え方を持っているのであれば、転職に不利になることはありません。インタビューの中で、しっかりその点をアピールされることが大事です。ご自身の所属していた会社がブラック企業かどうかという点ばかり面談の限られた時間内で議論することになってしまうと、自分のアピールができない可能性がありますので要注意です。残念ながら、あなたの会社がブラック企業だと思い込んでいるインタビュアーに対して、そうでは無いといくら主張したとしても、理解してくれることはあまり無いでしょう。また、採用インタビューの場で、応募者は議論する立場では無いはずです。それよりも、ご自分が前職で何をしていたか、それは巷で言われているブラックな行為ではないことを伝え、理解してもらえれば採用に至ります。

言うまでもありませんが、不当な労働を強制していた等、違法行為であることを分かっていたのであれば、それは問題です。また、違法行為だと認識しないまま不当な労働を強いていた場合も、知らなかったと言っても許されるものではありません。こちらも同様に違法です。転職には当然マイナスになります。

外食産業の内情をよく理解しておられるのであれば、次のキャリアを選ぶ際にも、応募先企業についての良い噂も悪い噂も鵜呑みにしないで、ご自信の目と心でその会社の中身、行為を審査しましょう。 

実際、過去にブラック企業と認識されている会社の経営企画室長(30代)や、会長が社会的に脱税を行った百貨店の役員(50代)であっても、その人の行為がブラックではなく、逆に是正しようというアクションを取っていたことを証明され、志望企業に再就職されたケースもあります。

余談ですが、日本は主体規制の社会から脱却し、行為規制の社会に変化しなくてはなりません。(主体規制とは、改善すべき点に対して、団体や企業などの主体者を罰するという考え方。行為規制とは罰すべき行為や、改善すべき行為そのものに対して規制をするという考え方のことです。)1950年代に作られた半世紀前の法律はまったく機能していないように思います。

例えば、働く女性を支える社会にしようとするなら幼稚園より保育園を増やさなければならないのに、なぜか保育園が増えない。脱法ハーブを取り締まるべきと分かっているのに新しいドラッグがどんどん出てきて間に合わない。規制緩和されたというのに新規申請の受理に10年もかかる等々、枚挙に暇がありません。日本の法規制は現代社会を支え切れなくなっています。主体者、会社、団体はどんどん変化しますので、罰しても仕方がありません。行為規制により、その行為自体を罰することができれば、団体に対して、即時、罰則が出せます。

にもかかわらず、今なおブラック企業かどうかばかりがネットでも喧伝されます。議論されるべきは、どんな行為がブラック経営と呼ばれるのかどうかということだと思います。

ブラック企業と世間に呼ばれる企業で働く人達にとって、労働環境改善の一助となる風評や批判ならプラスになるかもしれませんが、マイナスとなるような風評こそ生産性が無いと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)